大空に包まれたものと拒否したもの

・・・それでそうして少しの時間を恋人同士の時間を過ごしたが、あまり長く二人きりでいても怪しまれるだろうことやツナヨシとしてはヴァンに会いたいという気持ちがあったことから、また後で・・・ということで二人は解散した。






「・・・済まなかったな、ツナヨシ。面倒をかけて」
「今度からはちゃんと注意してくれよ、兄ちゃん・・・何度も言ってるけどさ」
「済まないな。どうしてもお前がいると思うと安心して色々と任せられると思ってつい、な」
「くぅ・・・」
・・・そうしてツナヨシはヴァンのいる部屋に行って話をするのだが、当人はちゃんとしろとの言葉に暖簾に腕押しというように微笑を浮かべ、その様子に歯噛みしかけたツナヨシだったがすぐに首を横に振って表情を微妙そうに改める。
「・・・そこはともかくとするけど、次いつユリアシティに行くとか決めてる?」
「ユリアシティ?何故だ?」
「ここに戻ってくる前はユリアシティにいたんだけど、ティアと会うなら神託の盾にっていうか俺達の元に配置してくれっていう気持ちをなだめるようにするか、いっそこれからは会わないようにするかした方がいいと思ったんだよ・・・年齢的にそろそろ入れないって誤魔化すことが出来ないって段階になってきたし、神託の盾に普通に入っても下手に会ったら自分は役に立てるからって配置換えを望んでくるっていうのが見えてさ・・・」
「・・・成程、ティアに関してどうするかを私に聞いているということか」
「そういうことだよ」
そこからツナヨシがティアについてを口にしてきたことにヴァンもその中身に重く納得する中、頷きを入れて更に話を続ける。
「・・・性別も違うから一概には言い切れないけど、あの子は強さだけなら確かに俺達の近くっていうか神託の盾でやっていく分には強くなれるかもしれない。けれど久しぶりに改めて会ったからこそ言えることとしては、あの子は俺達に夢を見すぎている事もそうだし自分ならどうにでもなるって思ってることもだけど、あの子には俺達以外を拠り所に動けるような気持ちや考えなんてこれから見付けられるとはとても思えない・・・だから俺としては兄ちゃんにもその辺りを考えてもらいたいんだよ。俺達が行動するまで後二年半って所ってのもあるからさ・・・」
「・・・確かにあの子の事を考えた上で、ツナヨシが感じたことを併せるなら下手な対応は良くないということか・・・分かった。近い内に私もユリアシティに行くつもりであったが、その時にどうするかについて判断しよう。私としてもあの子を巻き込みたくないと思っているからな」
「あぁ・・・(こうは言ってるけどあんまり期待出来ないというか、状況がより悪くなりそうな予感がするんだよな・・・)」
そのままティアに対して兄としての気持ちを覗かせツナヨシが話をしていくとヴァンも重く理解出来たというように返すのだが、納得の声を上げる反面で内心は信頼出来ないというように漏らしていた。より酷いことになりそうだと。






・・・ツナヨシとしてはヴァンといずれ反目することになるのは承知しているが、その人格であったり目的に関してを全否定するつもりはなかった。それはそうなるに至った過程というものを自分もほとんど同じように歩んできているからであり、そういった考えになるのも致し方ないと見ているからだ。

しかしそれでヴァンのやることに全て賛同しないとなったのはツナヨシの中での善性によるものもあったが、ヴァンの終わりよければ全てよしといったような態度からの様々な見落としだったりがあったからいずれの離反を考えるようになったのだ。代表的な所で言えばリグレットの弟達のような本来助けられたはずでいて自分達の味方にもなれたはずの人物達をあっさりと見捨てたことだ。

ただだからこそというか、そんな見落としやすいという性分からティアに関しても何らかの失敗をやらかす可能性について、ツナヨシは危惧しているのである。ヴァンとしてはツナヨシからの言葉もあってうまくやるつもりでいるかもしれないが、ティアの事を見落として失敗するのではないかという危惧を・・・









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