大空に包まれたものと拒否したもの

・・・ティアは二人の兄が好きなあまり、自分も神託の盾に入りたいという気持ちを抱いていた。勿論将来的な目的を持つだけなら問題はないと言いたいが、それは二人の兄と近い位置でいて二人の兄の役に立ちたいという気持ちからなのである。

そういった気持ちに目的を持つことを悪いとはツナヨシは思っていない。お行儀のいい大義名分を掲げないなら仕事に就くなという考えなどないし、モチベーションに目的は一人一人違うのが当たり前だと思っているからだ。しかしそのティアに関しては様々な意味で面倒がある・・・その面倒な部分はまとめて何かと言えば、ただ二人の兄と共にいたいという思いがあまりにも強いことにあった。

・・・一応というかツナヨシが言ったようにダアトのトップである導師を守るための役職である導師守護役を除き、神託の盾にも兵役につくための下限年齢というものは存在する。これはいくら食い扶持に困るであるとか事情があるからといっても、一桁や十に行ったくらいの子どもを兵士として運用するのは将来的な意味合いから良くないと見られている為だ。

ただ導師守護役はその限りではないというか、むしろ十代の前半の女子だけなのは・・・有り体に言ってしまうなら、導師からだったり導師守護役から性的な関係を持ち出される事を懸念してである。王族や貴族の血脈が重要視されるのは他国もそうだが導師の血脈が重要視されるのはダアトも同様の為に、導師守護役には華やかさを見せると共に性欲を抱きにくいし子どもを作ることを意識するにはまだ微妙な年齢の女子をつけることが常態化したのだ。そうすることにより導師の子どもを授かったとして上の地位に入り込まれるような事を避けるためにと。

故に導師守護役に関しては例外的な側面はあるが、他の神託の盾に関しては入るための下限の年齢が定められている上に、ある程度使えるか使えないかのふるいをかける為の訓練の期間がある。その点でその訓練を受けることは今のティアでも可能なのであるが・・・肝心な事を言ってしまうと、ティアはそれをしようともせずに神託の盾に入りたいと言っているような物なのである。ちゃんとその辺りはツナヨシも言っているのにだ。

この辺りの意識に関してはこのユリアシティで暮らす者達はダアトの者達にとっても特別な立ち位置であることが大きいというか、ティアがそれを利用する自覚のあるなし関係無く自分が兄達の近くに過程をすっ飛ばして近付きたいという考えからそうやろうとしているのだ。自分も兄達同様特別なのだからということでだ。

ただそれらに関してツナヨシ達が今の地位につけている部分が全くないかと言えばそういうわけではないが、だからと言ってその地位に見合わない実力で活動している訳ではない。むしろそれに見合うだけの実力を伴っている面もあるからこそ、こうして活動しているのだ。

だがティアは神託の盾としての訓練などろくに詰まないまま、それも兄達に近い位置にしか就きたくないというように言っているのである・・・兄としての欲目から言うなら可愛い妹に好かれること自体は嬉しくはあるが、反面ヴァンという自分がフォローしてくれるからと好き勝手している兄に手を焼いているこの状況の中、言い方は悪くとも子どものワガママと言っても差し支えない考えを実現させてやろうとはツナヨシは思ってないのである。自分達の都合があることも勿論だが、神託の盾のルールから言っても望まれないことだからと。









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