兄弟の分かたれた道の選択 後編
「・・・慎重に選択をするためと言えば聞こえはいいかもしれんし、そもそもの復讐を果たすためにファブレ入りを選択したと言えるかもしれん。だがカイ坊やと違いお主らはあまりにも時間をかけすぎた上で、今話したようなことなどほとんど考えたような素振りもないといったように見受けられた・・・そして極めつけはお主が今の立場に不満を感じているであろう様子だ。こんな状態だというのに、どうしてカイ坊やとお主を同列に見ることが出来ようか・・・」
「「っ・・・!」」
・・・そうしてマクガヴァンから出てきたのはカイと比べての弟への心底からの失望といった言葉であり、ガイとペールはたまらず苦心を顔に浮かばせるしか出来なかった・・・カイとマクガヴァンの関係性の深さについては話に聞いているからこそ、そのマクガヴァンがカイと比べていかに選択をしてこなかったガイ達に失望を始めとしたマイナスの念を抱いたのか・・・それらを感じ取ってしまったが為に。
「・・・少し話しすぎたが、そういうことだ。後はゆっくり休むとよい。ただ今の話を聞いて不満を抱くのであれば別に構わぬし、逃げ出したいならそれでも良い。その時はカイ坊やも仕方無いものと認識するとの事だから、遠慮することなく行かせてもらうがの」
「「っ・・・!」」
そして話は終わらせるとマクガヴァンは告げるが、もしもの時のカイの事も含めての事を鋭い目線を向けながら聞いたことに二人は愕然とした表情を浮かばせるしか出来なかった。そう許可というか、選択をしたカイの事について衝撃を受ける形で・・・
・・・そうしてガイ達はマクガヴァンの元を出て、自分達の住まう部屋に案内されてそこに入るのだが・・・
「ペール・・・俺は、間違っていたのか・・・いや、そもそも何も俺は選択していなかったのか・・・?」
「ガイラルディア様・・・」
・・・そこでガイはベッドに腰掛けながら虚ろな表情を浮かばせ対面上に座るペールに話すように漏らしていくのだが、そのペールもまた沈痛な面持ちのままに名を漏らすしかなかった。二人にとって様々に悩んでいた日々がどうするかの選択を避けていただけであって、カイという人物は選択するということを選んだ・・・という対比の事実を前にして・・・
・・・それから数ヵ月の後、オールドラントはマルクトの主導の元で預言による未来を避けるための行動についてを次々と成功させていった。その預言において対立者となった預言保守派達の行動を全て抑えるどころか、逆手に取って動いていく形でである。
その行動の結果もあって、いまやマルクトのみならずオールドラント全体において『カイランド=キスク=ガルディオス』の名は大きく名声という形で広まった。今や押しも押されぬ英雄という形でである。
しかしその裏で英雄の弟であるかつての復讐者がどこぞの街の片隅でひっそりと暮らしている事を知る者は一握りである。選択をした兄と違い、選択をしなかった後悔の念に苛まれる形でずっと暮らしていくことなど・・・
END
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「「っ・・・!」」
・・・そうしてマクガヴァンから出てきたのはカイと比べての弟への心底からの失望といった言葉であり、ガイとペールはたまらず苦心を顔に浮かばせるしか出来なかった・・・カイとマクガヴァンの関係性の深さについては話に聞いているからこそ、そのマクガヴァンがカイと比べていかに選択をしてこなかったガイ達に失望を始めとしたマイナスの念を抱いたのか・・・それらを感じ取ってしまったが為に。
「・・・少し話しすぎたが、そういうことだ。後はゆっくり休むとよい。ただ今の話を聞いて不満を抱くのであれば別に構わぬし、逃げ出したいならそれでも良い。その時はカイ坊やも仕方無いものと認識するとの事だから、遠慮することなく行かせてもらうがの」
「「っ・・・!」」
そして話は終わらせるとマクガヴァンは告げるが、もしもの時のカイの事も含めての事を鋭い目線を向けながら聞いたことに二人は愕然とした表情を浮かばせるしか出来なかった。そう許可というか、選択をしたカイの事について衝撃を受ける形で・・・
・・・そうしてガイ達はマクガヴァンの元を出て、自分達の住まう部屋に案内されてそこに入るのだが・・・
「ペール・・・俺は、間違っていたのか・・・いや、そもそも何も俺は選択していなかったのか・・・?」
「ガイラルディア様・・・」
・・・そこでガイはベッドに腰掛けながら虚ろな表情を浮かばせ対面上に座るペールに話すように漏らしていくのだが、そのペールもまた沈痛な面持ちのままに名を漏らすしかなかった。二人にとって様々に悩んでいた日々がどうするかの選択を避けていただけであって、カイという人物は選択するということを選んだ・・・という対比の事実を前にして・・・
・・・それから数ヵ月の後、オールドラントはマルクトの主導の元で預言による未来を避けるための行動についてを次々と成功させていった。その預言において対立者となった預言保守派達の行動を全て抑えるどころか、逆手に取って動いていく形でである。
その行動の結果もあって、いまやマルクトのみならずオールドラント全体において『カイランド=キスク=ガルディオス』の名は大きく名声という形で広まった。今や押しも押されぬ英雄という形でである。
しかしその裏で英雄の弟であるかつての復讐者がどこぞの街の片隅でひっそりと暮らしている事を知る者は一握りである。選択をした兄と違い、選択をしなかった後悔の念に苛まれる形でずっと暮らしていくことなど・・・
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