兄弟の分かたれた道の選択 後編

「・・・不満ですか、ガイ」
「っ、い、いえそんなことは・・・」
そんなリアクションにカイが不満かと聞くと、ガイは慌てて視線を反らしながら首を横に振る。
「気を使うだとか私の目を気にした答えを求めてはいないんですが、まぁそこはいいでしょう。どちらにせよこれで貴方には打つ手は無くなりましたし、貴方にはこの後にペールと共にセントビナーに行ってもらい生活をしてもらうことになります。これは受け入れていただきますよ」
「・・・何故、セントビナーなのですか?グランコクマではなくて・・・」
「単純な話としてルークにグランコクマに行ってもらうからです。彼に関してはアッシュがもしもキムラスカで馴染めないであったり何らかのトラブルがあった場合の事を考え、グランコクマで陰ながらではありますが教育を施していくことになっています。そしてそれはグランコクマで所有している私の家でやる予定ですが・・・そこに貴方を入れることの危惧を私は感じています。復讐を果たせなくなったのならせめてもの溜飲を下げようと、ルークを殺しにかかることを」
「っ・・・!」
その姿に一言口にしただけで後の事についてを話すカイにガイはどうしてセントビナーに置くのかと聞くのだが、ルークの事があるから警戒をしているとの中身を返されるとたまらず目を見張った。
「・・・前に話したことについてはまだ忘れてはいませんね?私のやろうとしている事を貴方は綺麗事だと断じた。しかしもしもの場合を考えれば私の心情として利用される為だけにヴァンに造られたルークを放っておきたくないのもあるが、キムラスカにもしもの事が起きた場合の保険は様々に必要になるのも事実ではある。だがそこで貴方の勝手に思い付きの為、ルークを殺されるような事になるのを避けたいと思ったからそうすると決めたんだ」
「お、俺がそうすると思っているんですか兄上は・・・!?」
「前に話しただろう。貴方は爆発するきっかけを望んでいる爆弾のようなものだと。そうならないかもしれないが、そうなるかもしれない・・・それこそいつ爆発するか分からない爆弾をもしもの為の存在と一緒になど出来ないと見ての判断だが、ヴァンのやったことからとはいえルークもファブレの一員だった身だ。そんなルークに何も知らなかった頃、一度も殺意を欠片とて抱かなかったと自信を持って偽りなく言えますか?」
「そ、それは・・・」
カイがその理由についてを前の話もそうだがルークへの殺意の有無についてを真剣な目で投げ掛けると、ガイは心外だと言うような態度から一転して視線をさ迷わせた。兄の追求に嘘などつけないというか、それが事実だったことが確かだというよう。
「・・・ファブレのやったことを全部許せと言いませんし、恨みを忘れろとも言いません。ですが復讐を出来なくなったからこそ、今の立場から来る不満を彼にぶつけるはけ口のような事を貴方にさせたくないと思ったからこその処置です。そしてその上で前も言いましたが貴方はガルディオスの名前を名乗ることは許されませんし、セントビナーからもマクガヴァン親子からの許可が出ない限りは遠出もさせないようにとする予定です」
「セ、セントビナーからも出れないと言うんですか・・・!?」
「・・・言っておきますがこれでも私が頑張って動いた結果で、マクガヴァン元元帥やピオニー陛下にもこれがギリギリ譲歩出来ると言われたラインです。これ以上を望むというのであれば、貴方を秘密裏に処理するということになる可能性は一気に高まりますよ」
「っ・・・!」
カイはそんな反応を想定した上で以降の処置についても話していくのだが、その処置に不満を口にした時の事を聞いてガイは唖然とした。カイが動いたからこそというのもあるが、マルクトがギリギリと判断したのだという事実に。









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