兄弟の分かたれた道の選択 後編

・・・そうしてルークとアッシュの二人に関してを決定させたカイは、以降の事に関しては自分達に任せてほしいとインゴベルト達に願い出た。パッセージリングの操作及び外殻大地についての問題の解決をと。そんな主張に関してインゴベルト達は了承したというか、せざるを得なかったという所だ。

何せカイが調べ上げてきた情報は一朝一夕に他の者達に任せられないものばかりで、事情を事前に知らされていたインゴベルト達も実際に動けるような立場にはいないし実技に関してはからきしなのである。それに加えてパッセージリングを操作するに当たってダアト式封呪で閉じられた扉はイオンが開くということで済むが、そこでもう一つあるユリア式封呪に関してはユリアの血を引く者・・・ヴァンかティアを連れていく以外に解除の方法はないのだが、ティアは連れていくには何かを引き換えに取引せねば言うことを聞くとは思えないが、かといってヴァンも下手に自由にすれば何をしでかすかも分からない上、カイという人物だからこそ大人しく諦めて付き従っている・・・故に安全に事を進める為にはカイがヴァンを付き従えてイオンを加えて行動するのが妥当と見られたが故である。

それにそういった事情に加え、アッシュの事を始めとしてカイ達にキムラスカ側は引け目というものもある上でカイの清廉な見目に振る舞いも大きかった・・・ジェイドも今となっては皮肉的だったり嫌味な事を言うことはカイの影響を受けてかなり少なくはなったが、それでも何か一物も何物も抱え込んでいるような雰囲気は今も健在なのである・・・そんなジェイドと比べてみればカイの立ち居振舞いに人柄からパッと頼みごとをどちらにするかと考えてみれば、断然にカイの方だと大抵の人達は判断するだろう。

ともあれ、そういった諸々の事情からパッセージリングの問題に関してはカイに任せるとなったのである。そしてそれらの話をまとめた後にカイはジェイドやルークにヴァン、それにイオンにアニスと兵士達を連れてバチカルを一先ず離れる事となった。これは今一番パッセージリングのある場所の中でも問題のあるアクゼリュスに向かう為であり、人選に関してはルークはもうバチカルに残すのは良くないということに、アニスはもうスパイをする必要がないからとは言えバチカルに残す必要がないということからである。

・・・そうしてバチカルから離れたカイ達はケセドニアに立ち寄った後、一路カイツールに向かった。六神将にわざと奪わせ罠として使い一網打尽にしたタルタロスを使い、アクゼリュスに一番近い上にガイの待つ場に・・・



















「・・・というわけでバチカルでやれることはやり、無事に私達はここに戻ってきました。こうしてケセドニアでペールを拾ってくる形でです」
「っ・・・」
・・・それでカイツールのマルクト側の前に使った一室にて。
横にうなだれたようなペールをつけたカイの話を受けて、以前と違い拘束は解かれた状態で椅子に座っていたガイは何とも言いがたいというように表情を歪めていた。と言っても話の大筋が不満だった訳ではなく、その中で出てきたある部分に反応しての事である。
「・・・分かっていますよね?貴方の事に関して話の中でさりげに入れ込みましたが、公爵はすんなりと受け入れてくれました。ですのでもう貴方はファブレの一員ではありませんし、ペールが頼んで送っていた貴方の趣味の譜業もケセドニアで全部持ってきてあります。そして宝刀ガルディオスも次にバチカルに来る際には返却をするという手筈にするとの事ですから、貴方にはもうバチカルに戻らなければならない理由はないということです」
「っ・・・」
・・・そう、ファブレにはもう居場所などないという点である。
カイが改めて強調するようもう心残りはあるはずないだろうと材料を潰していくよう話していくと、ガイは息を呑むしかなかった。言葉遣いは丁寧でこそはあったが、有無を言わさずファブレにガイを戻さないという気持ちを確かに感じさせられた為に。









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