兄弟の分かたれた道の選択 後編
「綺麗事・・・確かに私の言っている事はそうであるというようには思っています。ですが、ならばこそ聞きます・・・綺麗事を吐くなというように言うのならお前は耳障りのいい言葉や嘘など何一つ述べることなく、真実のみをファブレに入り込んでからの生の中で口にして来たとでも言うのか?」
「っ!?」
今まで丁寧な口調で応対してきたカイの口調が崩れると共に、お前呼びに加えて静かな圧力の込められた言葉と視線にガイはたまらず息を呑んでしまった。明らかに今までと違うカイのその姿と発言に。
「・・・大抵の人間が口にしたくないこと及び、大小関わらず秘密を持っていることは成長していく中で理解していく上で自身も少なからず持っていくものだ。かくいう私も一年程前に発表した陛下の養子になる事に加えてのガルディオスの生き残りという事実に関しては、それまで一部の方々以外には秘密にせざるを得なかった・・・これは理由があったからとは言え、嘘をついていたことに変わりはないというように言えることには違いないし、少ないながらも始めからガルディオスの生き残りがいたのなら明かせば良かったという声が届いたとも私は聞いている。その声は何も知らない人々から出てくるものとしては当然というより、有り得る物だ・・・しかしその声に対する釈明として私がローレライ教団にヴァン達が裏で何をしているのかだとか、それを調べるために行動していたなどと暴露していったならどうなると思う?」
「そ、それは・・・兄上達がそんな情報を掴んだことに賛辞の声が来るのではと・・・」
「賛辞、か。それもあると言えばあるだろう。しかしそれはその言葉を信じる人々達が口にする物であり、その言葉を信じない者達であったり不都合が生じる者達からからすれば妄言であったり言い掛かりを始めとするような、賛辞などとは程遠い反応もまた出てきたのは間違いない。その筆頭とも呼べる存在はモースを始めとした預言保守派であり、そのモースからしたなら・・・マルクトや私を是が非でも排除したいというのは想像はつかないか?」
「っ・・・!」
カイはその秘密についてから自身が何故やってきたことを公にしなかったのかということを丁寧に話していくのだが、その最後に向けられた問い掛けの言葉にガイはハッとしたような表情を浮かばせてしまった・・・今までの話を聞いたならばこそ、全てをぶちまけられた後のモースのような輩達の行動はまさにカイが言ったようなことになると思ってしまったが為に。
「・・・そのような考えが浮かんだのもあったからこそ、私やマクガヴァン元帥にピオニー陛下達は我々の裏での行動についてを黙ってきた。そのような事を明かせばモースにヴァン達といった人物達の敵意であったり悪意のある行動を向けられること及び、こちらの手が及ばないような行動を取られて取り返しのつかない事態になるのを避けるためにも不必要な情報の流出を避けるという意味でもだ・・・だからこそ私はヴァン達が動くまで行動を表向きには起こすことなく、本音も隠してきた。そうして動くならばこそ綺麗事だけでは済まないことも多々あった上で、綺麗事にまとめねばならないという矛盾したことも行わなければならない形でだ・・・だがお前はそれを復讐をしないようにするための名目としての綺麗事を口にするなというように言った。そんなお前に対して言わせてもらうなら・・・私からすれば表だけでも綺麗事のように見せながら事を為していき、ガルディオスがここに健在だと示してマルクトも無事に残したまま復興することが最終的な目的であり私にとっての復讐だ。それを綺麗事だと断じるなら断じればいい・・・綺麗事を抜かすな言うのなら、私からお前にこれ以上話すことなど何もない」
「っ!!?」
・・・そうして兄から弟へ、辛辣でありながらも肉親だからこそ向ける理解のない者に対する静かな怒りは語られていった。滔々と、それでいて自身がいかな気持ちや考えを持って動いていたのかと。
それでカイがそれらを話終えた時の静かな怒りを込められた瞳を見て、ガイはただ顔色を青くして絶句してしまった・・・兄の想いなど理解しないままに文句を言ったが、その兄がどれだけの想いを抱いた上でその文句がどれだけ兄の不興を買ったのか・・・いやが上にでもその重さを感じてしまったが為に。
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「っ!?」
今まで丁寧な口調で応対してきたカイの口調が崩れると共に、お前呼びに加えて静かな圧力の込められた言葉と視線にガイはたまらず息を呑んでしまった。明らかに今までと違うカイのその姿と発言に。
「・・・大抵の人間が口にしたくないこと及び、大小関わらず秘密を持っていることは成長していく中で理解していく上で自身も少なからず持っていくものだ。かくいう私も一年程前に発表した陛下の養子になる事に加えてのガルディオスの生き残りという事実に関しては、それまで一部の方々以外には秘密にせざるを得なかった・・・これは理由があったからとは言え、嘘をついていたことに変わりはないというように言えることには違いないし、少ないながらも始めからガルディオスの生き残りがいたのなら明かせば良かったという声が届いたとも私は聞いている。その声は何も知らない人々から出てくるものとしては当然というより、有り得る物だ・・・しかしその声に対する釈明として私がローレライ教団にヴァン達が裏で何をしているのかだとか、それを調べるために行動していたなどと暴露していったならどうなると思う?」
「そ、それは・・・兄上達がそんな情報を掴んだことに賛辞の声が来るのではと・・・」
「賛辞、か。それもあると言えばあるだろう。しかしそれはその言葉を信じる人々達が口にする物であり、その言葉を信じない者達であったり不都合が生じる者達からからすれば妄言であったり言い掛かりを始めとするような、賛辞などとは程遠い反応もまた出てきたのは間違いない。その筆頭とも呼べる存在はモースを始めとした預言保守派であり、そのモースからしたなら・・・マルクトや私を是が非でも排除したいというのは想像はつかないか?」
「っ・・・!」
カイはその秘密についてから自身が何故やってきたことを公にしなかったのかということを丁寧に話していくのだが、その最後に向けられた問い掛けの言葉にガイはハッとしたような表情を浮かばせてしまった・・・今までの話を聞いたならばこそ、全てをぶちまけられた後のモースのような輩達の行動はまさにカイが言ったようなことになると思ってしまったが為に。
「・・・そのような考えが浮かんだのもあったからこそ、私やマクガヴァン元帥にピオニー陛下達は我々の裏での行動についてを黙ってきた。そのような事を明かせばモースにヴァン達といった人物達の敵意であったり悪意のある行動を向けられること及び、こちらの手が及ばないような行動を取られて取り返しのつかない事態になるのを避けるためにも不必要な情報の流出を避けるという意味でもだ・・・だからこそ私はヴァン達が動くまで行動を表向きには起こすことなく、本音も隠してきた。そうして動くならばこそ綺麗事だけでは済まないことも多々あった上で、綺麗事にまとめねばならないという矛盾したことも行わなければならない形でだ・・・だがお前はそれを復讐をしないようにするための名目としての綺麗事を口にするなというように言った。そんなお前に対して言わせてもらうなら・・・私からすれば表だけでも綺麗事のように見せながら事を為していき、ガルディオスがここに健在だと示してマルクトも無事に残したまま復興することが最終的な目的であり私にとっての復讐だ。それを綺麗事だと断じるなら断じればいい・・・綺麗事を抜かすな言うのなら、私からお前にこれ以上話すことなど何もない」
「っ!!?」
・・・そうして兄から弟へ、辛辣でありながらも肉親だからこそ向ける理解のない者に対する静かな怒りは語られていった。滔々と、それでいて自身がいかな気持ちや考えを持って動いていたのかと。
それでカイがそれらを話終えた時の静かな怒りを込められた瞳を見て、ガイはただ顔色を青くして絶句してしまった・・・兄の想いなど理解しないままに文句を言ったが、その兄がどれだけの想いを抱いた上でその文句がどれだけ兄の不興を買ったのか・・・いやが上にでもその重さを感じてしまったが為に。
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