兄弟の分かたれた道の選択 後編
「・・・彼には後で時間を取ってゆっくり話をさせてもらうが、それでも今の話を聞いたことからガイの事をファブレで受け入れさせるなんてつもりは一切ないだろう。何だかんだではあるがヴァンによりファブレを連れ出されその下で活動してはいたが、キムラスカやファブレに対する気持ちを全て捨て去った訳ではないというのは聞いていたが・・・何より貴方に対する敵意は見ての通りだ」
「っ・・・!」
カイはそんなアッシュの様子を強調するように話を進めていき、ガイも否定の言葉を返せず息を呑むしかなかった・・・拘束を解き放てばその瞬間今にも喉元を噛みちぎらんばかりに野獣めいた目を向けてきていることに。
「だからガイ・・・アッシュについては話をさせてもらうから、その上で貴方にはこのままマルクトに残ってもらう。その生存についてを知るのはマルクトの上層部に私、そしてこの場にいる者達だけにする形でだ。そうでなければ貴方が生存を主張するだけで預言による戦争への火種は一気に炎となって燃え盛る事になるからです」
「っ、ま、待ってください!・・・兄上が様々に深く考えた上で行動していることは、今までの話でよく分かりました・・・ですがここまで先を見通して行動してきた兄上なら、預言に詠まれた戦争の結果をマルクトの勝利に導く事も出来るのではないのですか・・・!?・・・そして、ファブレへの復讐を果たすことも・・・!」
そんなアッシュを踏まえた上でもうマルクトでガルディオスと名乗る事などせずに暮らしてもらう・・・そう告げていくカイにガイは反射的にといったように戦争をすれば勝てるのではと言うと共に、復讐についても考えなかったのかとばかりの声を向けた。といってもその真意はその言葉にあるのではなく、まだ話を終えたくないというような響きが強いのは明らかであった。
「・・・マルクトの勝利にファブレへの復讐、ですか・・・そういったことを全く考えなかったのかと聞かれれば、そうだとは言えません。ですが当時の私はマクガヴァン元帥に保護される傍らでホドが消滅するに至った経緯を聞いた時、ファブレやキムラスカだけでなくマルクトにもホドを消滅させた責があるのだと聞き、そしてローレライ教団を調べて出てきた事実の数々を前にし・・・それらに対して復讐を行うということは世界全てを相手にするようなものだと、子ども心ながらに感じたのです。そして今だからこそ言えることとしては、ヴァンが選んだ道はその復讐を達成する手立てとして一つの正解なのだともいうように考えました」
「っ!・・・兄上は、そう見たんですか・・・」
カイはそれに気付いてか気付かずか自身の気持ちに考えを真摯に話していき、ガイはヴァンのやり方を手立てと評した事に複雑さを浮かばせる。兄がそう認めたのだということに。
「はい。ですが当時の私はヴァンが行動を起こしていなかったこともありますが、マクガヴァン元帥の元で世話になって恩を受けていたこと・・・そして教団の預言保守派の事についてを知ったことから、私が復讐の為に私心から行動を起こすべきではないと考えていったのです。今貴方が言ったような復讐を大義とするような行動を取るのは、かつてホドを滅ぼすことを決断した預言保守派の者達と同列の物になるというのと、もしそうしてしまえば私のような立場の人間を私の手で作ってしまうのだということから」
「っ・・・確かにそういった人物が出てくることにはなるかもしれませんが、だからと言ってそれで我慢してしまうんですか・・・そんな綺麗事を口にして、ガルディオスやホドを滅ぼされた怒りを・・・!?」
そのヴァンについての流れを汲んだ上で話を続け自身の考えはこうなったとまとめるカイだが、それらにガイは怒りを浮かばせ綺麗事だろうと口にしていくが・・・その顔にカイもまた視線を鋭くして表情を険しくさせた。
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「っ・・・!」
カイはそんなアッシュの様子を強調するように話を進めていき、ガイも否定の言葉を返せず息を呑むしかなかった・・・拘束を解き放てばその瞬間今にも喉元を噛みちぎらんばかりに野獣めいた目を向けてきていることに。
「だからガイ・・・アッシュについては話をさせてもらうから、その上で貴方にはこのままマルクトに残ってもらう。その生存についてを知るのはマルクトの上層部に私、そしてこの場にいる者達だけにする形でだ。そうでなければ貴方が生存を主張するだけで預言による戦争への火種は一気に炎となって燃え盛る事になるからです」
「っ、ま、待ってください!・・・兄上が様々に深く考えた上で行動していることは、今までの話でよく分かりました・・・ですがここまで先を見通して行動してきた兄上なら、預言に詠まれた戦争の結果をマルクトの勝利に導く事も出来るのではないのですか・・・!?・・・そして、ファブレへの復讐を果たすことも・・・!」
そんなアッシュを踏まえた上でもうマルクトでガルディオスと名乗る事などせずに暮らしてもらう・・・そう告げていくカイにガイは反射的にといったように戦争をすれば勝てるのではと言うと共に、復讐についても考えなかったのかとばかりの声を向けた。といってもその真意はその言葉にあるのではなく、まだ話を終えたくないというような響きが強いのは明らかであった。
「・・・マルクトの勝利にファブレへの復讐、ですか・・・そういったことを全く考えなかったのかと聞かれれば、そうだとは言えません。ですが当時の私はマクガヴァン元帥に保護される傍らでホドが消滅するに至った経緯を聞いた時、ファブレやキムラスカだけでなくマルクトにもホドを消滅させた責があるのだと聞き、そしてローレライ教団を調べて出てきた事実の数々を前にし・・・それらに対して復讐を行うということは世界全てを相手にするようなものだと、子ども心ながらに感じたのです。そして今だからこそ言えることとしては、ヴァンが選んだ道はその復讐を達成する手立てとして一つの正解なのだともいうように考えました」
「っ!・・・兄上は、そう見たんですか・・・」
カイはそれに気付いてか気付かずか自身の気持ちに考えを真摯に話していき、ガイはヴァンのやり方を手立てと評した事に複雑さを浮かばせる。兄がそう認めたのだということに。
「はい。ですが当時の私はヴァンが行動を起こしていなかったこともありますが、マクガヴァン元帥の元で世話になって恩を受けていたこと・・・そして教団の預言保守派の事についてを知ったことから、私が復讐の為に私心から行動を起こすべきではないと考えていったのです。今貴方が言ったような復讐を大義とするような行動を取るのは、かつてホドを滅ぼすことを決断した預言保守派の者達と同列の物になるというのと、もしそうしてしまえば私のような立場の人間を私の手で作ってしまうのだということから」
「っ・・・確かにそういった人物が出てくることにはなるかもしれませんが、だからと言ってそれで我慢してしまうんですか・・・そんな綺麗事を口にして、ガルディオスやホドを滅ぼされた怒りを・・・!?」
そのヴァンについての流れを汲んだ上で話を続け自身の考えはこうなったとまとめるカイだが、それらにガイは怒りを浮かばせ綺麗事だろうと口にしていくが・・・その顔にカイもまた視線を鋭くして表情を険しくさせた。
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