兄弟の分かたれた道の選択 後編
「・・・そして貴方にそういった自覚があったとは思えないというのがチップの言葉であり、下手に今言ったような形で刺激を与えると爆発しかねないということから、私にピオニー陛下は貴方に密談を持ち掛けない方がいいとなったのです。そしてそれはチップだけでなく後に別の人員として派遣した人物にも貴方についてをどうかと判断してもらいましたが、同じような答えが返ってきたことから何もしない方が却ってファブレやキムラスカに被害を与えるようなことはしないだろうと見たんですよ」
「っ・・・そんな・・・」
「衝撃を受けるのは構いませんが、だからといっていつ爆発するか分からない爆弾のような貴方をずっと放っておく訳にもいかないとも考えました。特にヴァンがいる今年の内はまだ復讐を実行に移さないようにするだろうと見ても、以降はそのヴァンがいなくなって誰かがストッパーになってくれるかどうかも怪しい上に、こちらが預言による戦争を避けなければならないと声高々に叫んだとしたなら、むしろ今のタイミングなら復讐を果たしても良いのではないか・・・という爆発の名分を与えることになるのではないかということから、今年の内に貴方をファブレから引き剥がさねばならないと」
「っ!・・・まさか、今俺がこうしてここにいるのは・・・」
「そう、貴方がいたからカーティス大佐にマクガヴァン元元帥がヴァンとその妹と共に捕縛出来るように手筈を整えたんです・・・もう二度とキムラスカ、それもバチカルに足を踏み入れさせないようにするために」
「っ・・・!」
それでいかにカイもだがマルクト側としてガイの事を考え、対応の行動を取ってきたのか・・・それらをまとめて今ここにいるのだと知らされて、ガイは絶句するしかなかった。最後に口にされた目的もあって。
「・・・そこまでするのかと思っているかもしれませんが、貴方をバチカルに帰してもしものことが起きれば目も当てられないどころの話ではないからこう言っています。そして貴方をガルディオスに戻して迎え入れるということもしないと、ピオニー陛下はおっしゃっています」
「なっ・・・な、何故ですか!?兄上はこうしてガルディオスとして戻ったというのに・・・!」
「・・・私がどのようにして活動してきたかはダアトやヴァン関連以外は大方発表した通りですが、貴方についてどう発表するというか・・・百歩譲って陛下達は受け入れたとしても、そもそもの経緯を聞いて人々が貴方の事を受け入れると思うのですか?ファブレに復讐の為に何年も入り込んでそれが我々に露見したから、説得に応じた為にマルクトに戻ってきた・・・と明かした所で、歓迎されると思いますか?」
「ぅっ・・・!」
そうしてカイが続けてガルディオスには戻さないとの言葉にガイは抗議の声を上げたが、自分の状況を考えてみるよう返されると言葉を詰まらせる以外に無かった・・・ガイの歩んだ人生についてを端から見聞きしたなら、とても誉められたような物ではないと自分でも気付いたのだろう。特に目の前にいて過酷でありながら、非難されるどころかむしろ賞賛されるような生き方をしてきたカイランドという今も尚敬愛する兄の存在もあってだ。
「・・・本来であれば貴方のやろうとしていた事も含め白日の元に晒すのが正しいことと思います。ですが今もそうですしこれからの事を考えれば、貴方の生存を発表することすら望まれません・・・ですので貴方はこのままマルクトに連れ戻す事にします。勿論貴方の正体に関しましては何も言わないままにし、その上で貴方の身柄に関してこちらが貴方を気に入ったから使用人として身柄を引き受けたい・・・といったようにファブレに言わせていただき、貴方を引き取るように言う予定です」
「そ、そんなことファブレが許可を出すのですか・・・!?」
「こちらの思惑がうまく行けばあちらはこちらに対し、色々と引け目であったり貸しを作ることになります。特にヴァンの企みにアッシュを手土産にバチカルを訪れれば決して我々の言うことを無下に出来ぬでしょうし、何よりアッシュは本物の『ルーク=フォン=ファブレ』になります。そんな事実を知っている彼がもしファブレに戻ったとして、貴方を無条件にファブレに置くと思うのですか?」
「っ!」
「っ・・・!」
更に具体的にどうガイをファブレから引き剥がすかをカイが話していく中、そこで出したアッシュの名にハッとしたようにガイが視線を向けると・・・猿ぐつわと拘束がなければ今にも斬りかからんばかりのアッシュの姿が目に入った。言葉などなくても分かるほど、ガイに対して敵意を滲ませているアッシュが。
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「っ・・・そんな・・・」
「衝撃を受けるのは構いませんが、だからといっていつ爆発するか分からない爆弾のような貴方をずっと放っておく訳にもいかないとも考えました。特にヴァンがいる今年の内はまだ復讐を実行に移さないようにするだろうと見ても、以降はそのヴァンがいなくなって誰かがストッパーになってくれるかどうかも怪しい上に、こちらが預言による戦争を避けなければならないと声高々に叫んだとしたなら、むしろ今のタイミングなら復讐を果たしても良いのではないか・・・という爆発の名分を与えることになるのではないかということから、今年の内に貴方をファブレから引き剥がさねばならないと」
「っ!・・・まさか、今俺がこうしてここにいるのは・・・」
「そう、貴方がいたからカーティス大佐にマクガヴァン元元帥がヴァンとその妹と共に捕縛出来るように手筈を整えたんです・・・もう二度とキムラスカ、それもバチカルに足を踏み入れさせないようにするために」
「っ・・・!」
それでいかにカイもだがマルクト側としてガイの事を考え、対応の行動を取ってきたのか・・・それらをまとめて今ここにいるのだと知らされて、ガイは絶句するしかなかった。最後に口にされた目的もあって。
「・・・そこまでするのかと思っているかもしれませんが、貴方をバチカルに帰してもしものことが起きれば目も当てられないどころの話ではないからこう言っています。そして貴方をガルディオスに戻して迎え入れるということもしないと、ピオニー陛下はおっしゃっています」
「なっ・・・な、何故ですか!?兄上はこうしてガルディオスとして戻ったというのに・・・!」
「・・・私がどのようにして活動してきたかはダアトやヴァン関連以外は大方発表した通りですが、貴方についてどう発表するというか・・・百歩譲って陛下達は受け入れたとしても、そもそもの経緯を聞いて人々が貴方の事を受け入れると思うのですか?ファブレに復讐の為に何年も入り込んでそれが我々に露見したから、説得に応じた為にマルクトに戻ってきた・・・と明かした所で、歓迎されると思いますか?」
「ぅっ・・・!」
そうしてカイが続けてガルディオスには戻さないとの言葉にガイは抗議の声を上げたが、自分の状況を考えてみるよう返されると言葉を詰まらせる以外に無かった・・・ガイの歩んだ人生についてを端から見聞きしたなら、とても誉められたような物ではないと自分でも気付いたのだろう。特に目の前にいて過酷でありながら、非難されるどころかむしろ賞賛されるような生き方をしてきたカイランドという今も尚敬愛する兄の存在もあってだ。
「・・・本来であれば貴方のやろうとしていた事も含め白日の元に晒すのが正しいことと思います。ですが今もそうですしこれからの事を考えれば、貴方の生存を発表することすら望まれません・・・ですので貴方はこのままマルクトに連れ戻す事にします。勿論貴方の正体に関しましては何も言わないままにし、その上で貴方の身柄に関してこちらが貴方を気に入ったから使用人として身柄を引き受けたい・・・といったようにファブレに言わせていただき、貴方を引き取るように言う予定です」
「そ、そんなことファブレが許可を出すのですか・・・!?」
「こちらの思惑がうまく行けばあちらはこちらに対し、色々と引け目であったり貸しを作ることになります。特にヴァンの企みにアッシュを手土産にバチカルを訪れれば決して我々の言うことを無下に出来ぬでしょうし、何よりアッシュは本物の『ルーク=フォン=ファブレ』になります。そんな事実を知っている彼がもしファブレに戻ったとして、貴方を無条件にファブレに置くと思うのですか?」
「っ!」
「っ・・・!」
更に具体的にどうガイをファブレから引き剥がすかをカイが話していく中、そこで出したアッシュの名にハッとしたようにガイが視線を向けると・・・猿ぐつわと拘束がなければ今にも斬りかからんばかりのアッシュの姿が目に入った。言葉などなくても分かるほど、ガイに対して敵意を滲ませているアッシュが。
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