兄弟の分かたれた道の選択 後編

「・・・そうですか。ではそう言っていただけるなら少し協力していただきたいことがあります」
「・・・協力、ですか?」
そんなガイについては見ることなくジェイドがならと協力という単語を持ち出してきたことに、ヴァンは首を傾げる。
「そう難しい問題ではありませんよ。我々マルクトとしては導師の奪還が目的であったとは言え、タルタロスを強襲され何人もの兵士達の命やタルタロスが強奪されたことは流石に見逃せる物ではありません。ですので少し時間を取らせていただくことになりますが、タルタロスを襲った神託の盾についての排除の許可を出していただきたいのです。ついでに言うなら貴方が彼らと関係無いと言うなら、そうだという証言も合わせる形でです」
「っ・・・それは・・・」
「一応言っておきますがこれはイオン様にもですが、この場にいる方々には謡将とそういった話をするというように許可はいただきました。勿論そちらからの言い分はあるでしょうから、そのあたりについての話し合いの時間をいただきたいんです」
「それは・・・」
「まぁ最悪貴方がその神託の盾と関係無いというような証言にアリバイがあれば構いません。その為にもティアとガイにもその場所には同席していただくことには了承いただいてます」
「っ・・・それは、本当か・・・?」
ジェイドはその協力の中身はタルタロスを襲った神託の盾についての苛烈な処置についてと口にしていくのだが、明らかに圧されていたヴァンは出てきた二人の名前に視線を向けると明らかに気まずそうに表情を歪める。
「・・・流石にちょっとそれは、なんて言えるような問題に雰囲気じゃなかったの兄さん・・・マルクトが受けた被害の事を考えると、教官達の事を多目に見てほしいとか・・・」
「あぁ・・・それにこれくらいは協力しないと、流石に旦那としても立つ瀬がないだろうって事でな・・・」
「そういうことです。まぁ貴殿方に時間を取らせる事は申し訳無いとは思いますが、その分として私は兵士と共にお二人の護衛を担当して先に進ませていただきますのでゆっくりされてください」
「本当なら師匠と一緒に行きたかったんですけど・・・流石に事情が事情だって思いますから、後で早く来てくださいね師匠」
「・・・はい、分かりました。そういうことなら協力致しましょう・・・」
そんな様子のまま二人は断りきれずに了承した事を返してジェイドが貴方も了承してくれるだろうというように言い、ルークも離れることに不満はないといったように言うとヴァンも仕方無いと折れたように頷いた。ここまで来てしまえば最早頷かないことが難しいといったよう・・・



















・・・そうしてカイツールに残ったガイ達と離れ、ルーク達は先へと進んでいった。だがそうやって遠慮なく先に進むとなったはいいものの、ガイ達とは距離が離れたまま進むことになっていき・・・道中でトラブルが何もなかったことも相まってガイ達がルーク達に追い付いてくることなく時間は進み、ルーク達はバチカルへと入ることになった。

それでそのままルークをファブレの屋敷に帰し、ジェイド達は自身らの役割を果たすためにバチカルの城に入った。そしてその数日後、ヴァン達がバチカルに戻ってきたと城にいた王のインゴベルトの元に報告が入ってきた。









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