兄弟の分かたれた道の選択 前編

「・・・お前と前に話したことは覚えている。確かにファブレに対しての恨みは完全にはないとは言い切れないが、それでもその恨みを晴らす為に行動をするのは望まれない事もマクガヴァン元帥の話から分かっているから、復讐に身を焦がすことはしないと言ったことを・・・俺はお前のそういった気持ちを聞いたからこそお前を支持すると養子にすることも含めて発表したし、将来的な事を考えればキムラスカとも友好的とは言わずとも小規模の小競り合いでも戦いを起こさないくらいの関係にするつもりだ。しかし・・・それを台無しにしかねん存在なんだよ・・・ファブレにいるガルディオスの生き残りが行動したらしたででもそうだが、秘密裏に接触出来てマルクトに引き戻せたとしてもそいつもガルディオスとして復帰させるなど、後のキムラスカとの関係を考えれば到底出来る筈がない・・・」
「・・・私の後に姉か弟かがどういった行動をしていたのかを明かすような事をしたなら、キムラスカがどういうことだと言い出す理由を作ることになり関係の悪化はまず間違いなく訪れ、経緯を誤魔化すようなことをしてもファブレの関係者と出会うような事になればそれも一気に台無しになる・・・といった懸念からですね・・・」
「あぁ・・・まだ復讐を諦めてガルディオスと名乗らないというのなら助けを出してもいいとは思うが、いつからファブレに入っているかは分からないが復讐を果たすことを諦めない可能性は十分に有り得るどころか、下手をすればお前の生存に併せて行動を起こしかねん可能性すら有り得る・・・マルクトの意はガルディオスの復興及び復讐の成就にありと、こちらの考えを台無しにしかねん行動を取りかねん可能性がな・・・」
ピオニーはそんな様子のままに話を続けていくが、その考えが解るカイと共に重い声を漏らしていく。いかにファブレにいる生き残りが行動するかにより、こちらの算段が崩れかねないと・・・






・・・話に出てきたキムラスカとの関係についてであるが、これは将来的にというのもあるが預言の中身に反するためという意味合いも兼ねてである。その預言の中身は簡単に言うならマルクトとキムラスカの戦争が詠まれていて、かつマルクトの敗けという物になるがそうなればマルクトに未来などあるはずがない上にヴァンの目論見は更にその先にある・・・故にカイと事情を知るピオニーを含めた一部の上層部は、キムラスカとの戦争を避けるのは最優先事項と考えていた。例え友好国とはならずとも、以降に戦争になどならないようにしようとする形でである。

その為にもピオニーは動くことを決意したのであるが、その行動の為の責任者にしたのがカイなのである・・・能力があるのも確かではあるが、どちらかと言えばその自制心の強さを買われる形でだ。ガルディオスの生き残りとして復讐を果たすよりも、マルクトやオールドラントを残すために行動を起こすことの方がいいと復讐心よりもやることがあると考えるその心を。

だが今こうして情報の中に現れたガイはそんなカイとピオニーの考えやら企みやら、全てを台無しにしかねない爆弾としか思えないような存在となってしまった。それも確実にいつ爆発するかどうかも分からない上に、すぐに爆発しないように処理するにはあまりにも難しい状態の爆弾だ。

それでそういった厄介な部分と言えるような理由の主を占めるのは何かと言えば、やはり敵国の首都の仇の家に入り込んでいる・・・という距離もそうであると共に、立場的にも色々と難しい物があることであった。









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