兄弟の分かたれた道の選択 前編

「ペールの性格についてはよく覚えています。ガルディオスによく仕えてくれた忠誠心溢れる人物であったことは・・・ですがそういった彼の性格を知っているからこそ、私は自分だけの復讐心の為に動くような人物ではないとも見ています。確かに戦争という理不尽な状況で仕えていた家が滅びたからこそ行動を起こす可能性は否定出来ませんが、それでもペールギュントという人物の性格から考えるならその後に取る行動としてはガルディオスの者達を悼む形で静かに後の生を生きるだろう・・・と」
「だがそうしていないということは単独犯という可能性も無いとは言わないが、忠誠心溢れると感じていたことからガルディオスの生き残りがいてそいつに付き従っているのではないか・・・と見ているということか」
「そうなりますが・・・本来なら嬉しい報せになるはずのものが、そのような事になるとは・・・」
「仕方無い、としか言えんだろう・・・カイは血路を切り開いてマクガヴァンの元にまで来れたが、その他の者達は助けが間に合うこともなかったばかりかホド自体が消滅して後に遺体を確認することすら出来ない状況だったんだ・・・誰か生き残っていたかどうかなど名乗り出てくれねばこちらとしては探しようが無いのもあるが、ましてやキムラスカのバチカルのファブレに復讐の為に生きて入り込んでいるんじゃないか・・・などとは思わんからな・・・」
そのままペールについてから二人は深く話し合うのだが、どちらもどちらともに重い表情になるしかなかった。生存が明らかになったペールとその側にいるであろうガルディオスの生き残りについて、想定外でいて望ましくない活動の仕方をしているということに。






・・・カイが如何様にして生き残っていたかに活動してきたかについてであるが、これは実際の所として話に出てきたような中身は全部正しかった。だがその生き残っていたかの中身に関しては全てではあっても、活動してきたかに関しては全てを語っていた訳ではない。むしろ語れない部分が多すぎた・・・それはカイもそうだが、マルクトからしてもである。

なら何が語れないのかと言えば、最も大きな理由はホドでの戦争でキムラスカ以上にダアトに対する不信感を抱いた事にある・・・血路を切り開いて命からがらマクガヴァンの元に辿り着いたカイは、何とかガルディオスの者達を助けに行ってほしいと当時は願い出るしかなかった。しかしキムラスカもそうだが、どちらかと言えば神託の盾の妨害とほぼ言えるような邪魔な行動によりマルクト軍はガルディオスの元に救助の軍を出すことは出来ず・・・ガルディオスは滅ぼされたとなるばかりか、ホドとその周辺の島々が丸々と消滅して消えてしまうという事態になってしまった。

そしてホドが消えたことから戦争は終息という流れになっていくのだが、そんな中でマクガヴァンの話を聞いていたのもあってカイはキムラスカもそうだがダアトの動きの怪しさから、どちらかと言えばダアトが確かな狙いを持って動いたからこんな状況になったのではないかと考えてマクガヴァン達と話し合った。そもそもからしてホドでの戦争にダアトが関わるには仲介にしてもあまりにも拙いというか、不自然な事が多すぎたと。

そんなカイの言葉からマクガヴァンもダアトの不審な動きに何らかの別の狙いがあったからあんなことをしてきたのではないかと思うと同時に、これからカイの生存を周知の物にしたとしてもしガルディオスを滅ぼしたかったとしたならダアトがそれを快く思うだろうか・・・ともしものことを考え、マクガヴァンはカイの生存についてを一部の者のみに報せる形で黙っておいて、自身の手でその裏を探っていこうと考えたのであるが・・・そうした時に動いたのがカイなのである。









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