兄弟の分かたれた道の選択 前編
「カイランド様が悪いと申し上げるような事は口が裂けても出来ません・・・カイランド様は我々の預かり知らぬ所で動かれてきて、今こうして陽の目を浴びるようになられたのですからそれを批難するというのであれば・・・それなら我々は何をしていたのかと言われ、正直に明かしても誤魔化して答えてもカイランド様と比べれば我々の方が間違っていると言われる事は避けられないでしょう・・・」
「・・・確かに兄上のやってきた事を考えれば、俺のやろうとしていることの方が正しいなんて言われないだろうな・・・」
そのままの様子でペールは自分達がいかにカイと比べて違うのかを口にして行き、ガイもまた流石に否定を返せないというように重く漏らしていく。
・・・そもそもからしてガイはガルディオスを滅ぼされ、命からがらペールの手により助け出された上で崩壊し行くホドから何とか逃げ出して落ち着いて考えた後・・・滅びたガルディオスを復興させるであるとかガルディオスの生き残りはここにいるとアピールしてマルクトに戻ることを選ばず、復讐をすることを選んだ。ガルディオスの復興であったりなどはファブレを滅ぼしてからでなければと、五歳という幼いと言わざるを得ない年齢で抱く恨みに怒りとしては大きな負の念を持つ形でだ。
そうして流れに流れて七歳の頃にペールと共にファブレの屋敷に使用人として入り込む事に成功したガイは復讐を達成するための絶好の機会を伺う中、時は進んで二十という年齢に差し掛かるようになった今にまさかのカイの生存・・・それもエピソードを紐解いていけばどれだけカイが自制してきたのかもそうであるが、マルクト軍の中で尽力してきたのかが分かるために引け目を感じてしまっていたのだ。カイと状況が違った分ある程度は仕方無いとは言え、自分達が選んだ道はカイに比べてしまえば・・・どう足掻いても矮小さを感じてしまうと・・・
「・・・ペール。今すぐに俺がどうするかにどうしたいかを決めることは出来ない・・・だからまだこのままファブレにいるって、ヴァンにはそう手紙を出してくれ・・・」
「・・・分かりました。そう手紙を出します・・・」
だが少し間を空けてガイは考える時間が欲しいと言い、ペールも頷き返すが・・・端から見たならハッキリと逃避にしか見えない光景だというのは明白だった。カイの事を聞いて思うところは出来たのは確かではあるが、だからと言ってそれでハイ復讐は止めますなんて簡単に言えるはず無いと・・・
・・・そんなガイとペールの二人が苦悩する数日ほど前に時間は戻り、マルクトのグランコクマの皇帝の私室へと場面は移る。
「・・・ヴァンの出した手紙はキムラスカのバチカル行きで、ファブレの屋敷にいるペールという人物相手に送られた・・・か。ペールという人物に心当たりはあるか?」
「・・・私の記憶が正しければ、ガルディオスの従者にペールギュントという人物がいました・・・ですが本当にペールだというなら、ファブレの屋敷にいるのは間違いなくろくでもない目的からというのは確かでしょう・・・」
「そうか・・・」
・・・ピオニーより受けた質問に正直に答えていくカイだが、その表情は答える中身に比例するように明るいものとは決して言えない。そのカイにつられるようピオニーもしかめっ面を浮かばせ目を閉じる。
「まっさかここに来てまた新たな事実が明かになるとはな・・・だがあんまりお前からして考えたくないかもしれないが、そのペールとやらは単独でファブレに入っていると思うか?従者が亡き主の一族の為に敵討ちをしようという可能性は無いとは言えんとは思うが、どうにもそれだけではないと思うのだが・・・」
「・・・確かにそう思いたくはないのは分かりますが、私もそれだけではないと思います。そして最も有り得る可能性が何かと言えば、姉か弟のどちらもとは言わずともどちらかは生きている・・・というものだと思います」
だが黙ってもいられないと目を開きピオニーが自身の考えを口にしてどうかと問い掛けると、カイも苦さを滲ませながらも同意というように返す・・・姉か弟のどちらかは生きていることは、ほぼ間違いは無さそうだと。
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「・・・確かに兄上のやってきた事を考えれば、俺のやろうとしていることの方が正しいなんて言われないだろうな・・・」
そのままの様子でペールは自分達がいかにカイと比べて違うのかを口にして行き、ガイもまた流石に否定を返せないというように重く漏らしていく。
・・・そもそもからしてガイはガルディオスを滅ぼされ、命からがらペールの手により助け出された上で崩壊し行くホドから何とか逃げ出して落ち着いて考えた後・・・滅びたガルディオスを復興させるであるとかガルディオスの生き残りはここにいるとアピールしてマルクトに戻ることを選ばず、復讐をすることを選んだ。ガルディオスの復興であったりなどはファブレを滅ぼしてからでなければと、五歳という幼いと言わざるを得ない年齢で抱く恨みに怒りとしては大きな負の念を持つ形でだ。
そうして流れに流れて七歳の頃にペールと共にファブレの屋敷に使用人として入り込む事に成功したガイは復讐を達成するための絶好の機会を伺う中、時は進んで二十という年齢に差し掛かるようになった今にまさかのカイの生存・・・それもエピソードを紐解いていけばどれだけカイが自制してきたのかもそうであるが、マルクト軍の中で尽力してきたのかが分かるために引け目を感じてしまっていたのだ。カイと状況が違った分ある程度は仕方無いとは言え、自分達が選んだ道はカイに比べてしまえば・・・どう足掻いても矮小さを感じてしまうと・・・
「・・・ペール。今すぐに俺がどうするかにどうしたいかを決めることは出来ない・・・だからまだこのままファブレにいるって、ヴァンにはそう手紙を出してくれ・・・」
「・・・分かりました。そう手紙を出します・・・」
だが少し間を空けてガイは考える時間が欲しいと言い、ペールも頷き返すが・・・端から見たならハッキリと逃避にしか見えない光景だというのは明白だった。カイの事を聞いて思うところは出来たのは確かではあるが、だからと言ってそれでハイ復讐は止めますなんて簡単に言えるはず無いと・・・
・・・そんなガイとペールの二人が苦悩する数日ほど前に時間は戻り、マルクトのグランコクマの皇帝の私室へと場面は移る。
「・・・ヴァンの出した手紙はキムラスカのバチカル行きで、ファブレの屋敷にいるペールという人物相手に送られた・・・か。ペールという人物に心当たりはあるか?」
「・・・私の記憶が正しければ、ガルディオスの従者にペールギュントという人物がいました・・・ですが本当にペールだというなら、ファブレの屋敷にいるのは間違いなくろくでもない目的からというのは確かでしょう・・・」
「そうか・・・」
・・・ピオニーより受けた質問に正直に答えていくカイだが、その表情は答える中身に比例するように明るいものとは決して言えない。そのカイにつられるようピオニーもしかめっ面を浮かばせ目を閉じる。
「まっさかここに来てまた新たな事実が明かになるとはな・・・だがあんまりお前からして考えたくないかもしれないが、そのペールとやらは単独でファブレに入っていると思うか?従者が亡き主の一族の為に敵討ちをしようという可能性は無いとは言えんとは思うが、どうにもそれだけではないと思うのだが・・・」
「・・・確かにそう思いたくはないのは分かりますが、私もそれだけではないと思います。そして最も有り得る可能性が何かと言えば、姉か弟のどちらもとは言わずともどちらかは生きている・・・というものだと思います」
だが黙ってもいられないと目を開きピオニーが自身の考えを口にしてどうかと問い掛けると、カイも苦さを滲ませながらも同意というように返す・・・姉か弟のどちらかは生きていることは、ほぼ間違いは無さそうだと。
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