兄弟の分かたれた道の選択 前編
「・・・すまない、話を戻そう。今回はあくまで我々としてはカイランド様が本当にカイランド様なのかを調べるのが目的だ。本来ならリグレット達の手を借りるような事ではないのではと思うかもしれぬが、そこはマルクトの思惑を探るということを目的として動くのだからと納得させてくれ・・・カイランド様を養子にすることを大々的とは言わずとも発表したのは何を持ってなのかと考えるためという事でな」
「はっ!」
ヴァンはその空気を自ら切り替えるように話を進め、リグレットもその中身にすぐに敬礼を返した・・・ヴァンの私的な用事から呼び出された面々であるが、そういった言い分があるならそれに従うようにすると。
・・・そうしてヴァン達を乗せた船はグランコクマの港にまで辿り着くのだが、そこでヴァンは一般の神託の盾の兵士の服に身を包みリグレットの副官といったような立ち位置の兵士に一時的に装うことにした。カイの姿を見ることが出来るなら遠目から見るのではなく近くで見たいが、だからと言って顔を見せたままでは自分が誰だか分かってしまうということでだ。
その上でリグレットを代表としてグランコクマに入る理由もカイの事が目標にあるというのではなく、船の物資の補給及び数日間の船員の休息の為の滞在を願ってという名目にした。これはマルクトからしてダアトと事を荒立てる気はないだろうが、かといって妙な目的であれば警戒されるであろうから当たり障りない理由についてを簡単に設定付けた物だ。こんな名目ならマルクトは一概にダアトの者達である自分達の受け入れは拒否しないだろうと。
それで船で港に来た際に入港の目的はとマルクトの兵に止められはしたが、そういった旨を伝えると少し待った後に入港を許可されてヴァン達はグランコクマに足を踏み入れカイの情報を探ろうとしていこうとした・・・
「ようこそ、グランコクマへ。私はカイ=キスク、マルクト軍で大佐の階級についています。此度は補給と休息の為にグランコクマに寄られたとお聞きしましたので、私が皆様の補給の担当をさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします」
「っ、こちらこそよろしくお願いいたします・・・」
・・・そうしてリグレットを先頭にして船から出てきた一同だが、そこに待っていたのは青を基調としたマルクト軍の軍服ではなく白がメインで青色がサブの服を着た金髪の顔が整った者なのだが・・・そこでその人物は自身をカイ=キスクと名乗り、笑顔で手を差し出してきた。
その事にまさかいきなり目的の人物に会えると思っていなかったリグレットは多少息を呑むものの、すぐに気を取り直し手を握り返した。
(・・・カイランド様・・・間違いない、この方は昔見たままのカイランド様が成長されたカイランド様だ・・・疑いようもない・・・!)
そして傍らで見ていたヴァンはカイの顔を見た瞬間、偽物だという疑念など挟むことなど一切なく本物だと結論付けた。それほど鮮明に昔のカイランドと重なるその爽やかで高潔な笑顔に。
「一先ずは宿まで案内致します。船旅でお疲れでしょうし、補給に関しての話し合いはこのような拓けた場所でする話ではありませんからね」
「お気遣いありがとうございます。では向かいましょう」
そんなヴァンの内心など気にすることもなく手を離してまずはと笑顔で宿を勧めてくるカイに、リグレットも頷き返して早速と宿に向かっていく・・・
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「はっ!」
ヴァンはその空気を自ら切り替えるように話を進め、リグレットもその中身にすぐに敬礼を返した・・・ヴァンの私的な用事から呼び出された面々であるが、そういった言い分があるならそれに従うようにすると。
・・・そうしてヴァン達を乗せた船はグランコクマの港にまで辿り着くのだが、そこでヴァンは一般の神託の盾の兵士の服に身を包みリグレットの副官といったような立ち位置の兵士に一時的に装うことにした。カイの姿を見ることが出来るなら遠目から見るのではなく近くで見たいが、だからと言って顔を見せたままでは自分が誰だか分かってしまうということでだ。
その上でリグレットを代表としてグランコクマに入る理由もカイの事が目標にあるというのではなく、船の物資の補給及び数日間の船員の休息の為の滞在を願ってという名目にした。これはマルクトからしてダアトと事を荒立てる気はないだろうが、かといって妙な目的であれば警戒されるであろうから当たり障りない理由についてを簡単に設定付けた物だ。こんな名目ならマルクトは一概にダアトの者達である自分達の受け入れは拒否しないだろうと。
それで船で港に来た際に入港の目的はとマルクトの兵に止められはしたが、そういった旨を伝えると少し待った後に入港を許可されてヴァン達はグランコクマに足を踏み入れカイの情報を探ろうとしていこうとした・・・
「ようこそ、グランコクマへ。私はカイ=キスク、マルクト軍で大佐の階級についています。此度は補給と休息の為にグランコクマに寄られたとお聞きしましたので、私が皆様の補給の担当をさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします」
「っ、こちらこそよろしくお願いいたします・・・」
・・・そうしてリグレットを先頭にして船から出てきた一同だが、そこに待っていたのは青を基調としたマルクト軍の軍服ではなく白がメインで青色がサブの服を着た金髪の顔が整った者なのだが・・・そこでその人物は自身をカイ=キスクと名乗り、笑顔で手を差し出してきた。
その事にまさかいきなり目的の人物に会えると思っていなかったリグレットは多少息を呑むものの、すぐに気を取り直し手を握り返した。
(・・・カイランド様・・・間違いない、この方は昔見たままのカイランド様が成長されたカイランド様だ・・・疑いようもない・・・!)
そして傍らで見ていたヴァンはカイの顔を見た瞬間、偽物だという疑念など挟むことなど一切なく本物だと結論付けた。それほど鮮明に昔のカイランドと重なるその爽やかで高潔な笑顔に。
「一先ずは宿まで案内致します。船旅でお疲れでしょうし、補給に関しての話し合いはこのような拓けた場所でする話ではありませんからね」
「お気遣いありがとうございます。では向かいましょう」
そんなヴァンの内心など気にすることもなく手を離してまずはと笑顔で宿を勧めてくるカイに、リグレットも頷き返して早速と宿に向かっていく・・・
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