兄弟の分かたれた道の選択 前編
「・・・成程、そのような事が・・・」
「あぁ・・・だからすまないが、お前にもやることがあるのは分かっているがマルクトの方を探ってきてくれないか?本当にカイランド兄上が生きているというならもだが、何でマルクトが今兄上についてを養子とするのも追加にする形で発表したのかをだ」
「・・・ふむ・・・」
・・・街角の人の来ない一角にて。
そこで表向きの関係と違いヴァンが下に出たように話す中、ガイがこうしてほしいと願った頼みに少し考え込む様子を浮かべる。
「・・・分かりました。予定は入っていますが、私もカイランド様が生きているというのであれば黙っていられません。マルクトに向かい、本当にカイランド様であるかどうかを確かめて参ります」
「本当か!?」
「ただし、実際に話はせずに遠目から確認するに留めさせていただきたい。理由としてはもし本当にカイランド様であるのであれば私は見紛う事はないと思いますが、あちらもまた幼い頃の聡明さを思い出せばこちらに気付かないとも限りません。そしてその時にホド出身の者と言ったような事を欠片でも周りに漏らされるようなことになれば私の立場が微妙な物になりかねませんし、あちらもあちらで私が何故神託の盾の謡将などやっているのかと疑問に思われるでしょうし皇帝の養子とあらば取り巻きは確実に付いているでしょうからね」
「・・・そこは仕方無いか・・・俺としては実際に話をしに行ってもらって、どういうことなのかと聞いてもらいたかったんだかな・・・」
それで考えをまとめたと行くと言いつつも条件を理由つきで返して行くヴァンに、ガイもなら仕方無いというように漏らしていく・・・ガイにヴァン。秘密にしている物はヴァンの方が多いが、どちらもその秘密を露呈されたくないと思っているのは確かな為に・・・
・・・そうしてガイとの話を終えてバチカルへの滞在を終えたヴァンは、急遽次の目的地をマルクトに変えた。ガイに言われたことを完遂しようと思ったのもそうだが、ヴァンからしても内心気になって仕方なかったからだ。カイランドという存在が生きていたということに。
「カイランド様が生きていた、か・・・報せだけを聞くなら私も嬉しくは思ったが、これからの事を考えればどうなることか・・・」
・・・そうしてキムラスカとマルクトの国境があるケセドニアへバチカルから出港した船の一室の中。
様々な下準備を終えて一人ベッドに腰掛けるヴァンだが、その表情は嬉しいという言葉とは違い複雑さに歪められていた。
・・・ヴァン=グランツ。本名はヴァンデスデルカ=ムスト=フェンデというのだが、ヴァンはガルディオスの家に代々仕える家系の人間であってガルディオスの者には今も敬意を払っている。その証拠が表立っては出来ないとは言え、ガイに対して言葉遣いやら態度を臣下の物として固くしていることがある。
そしてそんなヴァンからしたならカイランドという人物もガルディオスの人間として主の家の者として見て敬意を払っていた上で、言葉通り生存が本当なら嬉しいという気持ちがあるのも確かだ。カイランドはガイの兄という立場もあるが、離ればなれになる時は七歳という年齢であったにも関わらず将来のガルディオス家はカイランドに任せれば安泰だとまだ十二程度の子どもの時分でもそう思わせるほど、立派な人物だったのだ。
だが今のヴァンはカイランドにもそうだがガイにも隠して動いていることがあり、特にカイランドが今所属しているマルクトにとっても相当なことをしでかそうと計画している上に、妥当に進めば記憶の中にあるカイランドの性格もあって相容れない存在になりかねない・・・そういったことを想像して、ヴァンは表情を歪めたのである。本当に生きているのなら、そんなことになってほしくない相手が出来かねないという事になるためにと・・・
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「あぁ・・・だからすまないが、お前にもやることがあるのは分かっているがマルクトの方を探ってきてくれないか?本当にカイランド兄上が生きているというならもだが、何でマルクトが今兄上についてを養子とするのも追加にする形で発表したのかをだ」
「・・・ふむ・・・」
・・・街角の人の来ない一角にて。
そこで表向きの関係と違いヴァンが下に出たように話す中、ガイがこうしてほしいと願った頼みに少し考え込む様子を浮かべる。
「・・・分かりました。予定は入っていますが、私もカイランド様が生きているというのであれば黙っていられません。マルクトに向かい、本当にカイランド様であるかどうかを確かめて参ります」
「本当か!?」
「ただし、実際に話はせずに遠目から確認するに留めさせていただきたい。理由としてはもし本当にカイランド様であるのであれば私は見紛う事はないと思いますが、あちらもまた幼い頃の聡明さを思い出せばこちらに気付かないとも限りません。そしてその時にホド出身の者と言ったような事を欠片でも周りに漏らされるようなことになれば私の立場が微妙な物になりかねませんし、あちらもあちらで私が何故神託の盾の謡将などやっているのかと疑問に思われるでしょうし皇帝の養子とあらば取り巻きは確実に付いているでしょうからね」
「・・・そこは仕方無いか・・・俺としては実際に話をしに行ってもらって、どういうことなのかと聞いてもらいたかったんだかな・・・」
それで考えをまとめたと行くと言いつつも条件を理由つきで返して行くヴァンに、ガイもなら仕方無いというように漏らしていく・・・ガイにヴァン。秘密にしている物はヴァンの方が多いが、どちらもその秘密を露呈されたくないと思っているのは確かな為に・・・
・・・そうしてガイとの話を終えてバチカルへの滞在を終えたヴァンは、急遽次の目的地をマルクトに変えた。ガイに言われたことを完遂しようと思ったのもそうだが、ヴァンからしても内心気になって仕方なかったからだ。カイランドという存在が生きていたということに。
「カイランド様が生きていた、か・・・報せだけを聞くなら私も嬉しくは思ったが、これからの事を考えればどうなることか・・・」
・・・そうしてキムラスカとマルクトの国境があるケセドニアへバチカルから出港した船の一室の中。
様々な下準備を終えて一人ベッドに腰掛けるヴァンだが、その表情は嬉しいという言葉とは違い複雑さに歪められていた。
・・・ヴァン=グランツ。本名はヴァンデスデルカ=ムスト=フェンデというのだが、ヴァンはガルディオスの家に代々仕える家系の人間であってガルディオスの者には今も敬意を払っている。その証拠が表立っては出来ないとは言え、ガイに対して言葉遣いやら態度を臣下の物として固くしていることがある。
そしてそんなヴァンからしたならカイランドという人物もガルディオスの人間として主の家の者として見て敬意を払っていた上で、言葉通り生存が本当なら嬉しいという気持ちがあるのも確かだ。カイランドはガイの兄という立場もあるが、離ればなれになる時は七歳という年齢であったにも関わらず将来のガルディオス家はカイランドに任せれば安泰だとまだ十二程度の子どもの時分でもそう思わせるほど、立派な人物だったのだ。
だが今のヴァンはカイランドにもそうだがガイにも隠して動いていることがあり、特にカイランドが今所属しているマルクトにとっても相当なことをしでかそうと計画している上に、妥当に進めば記憶の中にあるカイランドの性格もあって相容れない存在になりかねない・・・そういったことを想像して、ヴァンは表情を歪めたのである。本当に生きているのなら、そんなことになってほしくない相手が出来かねないという事になるためにと・・・
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