兄弟の分かたれた道の選択 前編

・・・ホドという地が周辺の島々共々消滅し、地図から姿を消すことになった。そのきっかけとはマルクトという国が領土としていたホドという地に、キムラスカという敵国が攻め入りその際に起きた何かによって・・・大陸に周辺の島々諸とも消滅したというのが一般的な認識であり、ホドを領地としていた貴族であるガルディオスという一族の者達全てもそのホドの消滅と共に全員亡くなったと思われた。

しかし事実は違い、二人の男子が生き残っていたのである・・・一人は一族郎党を自分を除き殺したファブレを同じように滅ぼすと、復讐に燃えてその家に入り込んだ次男。そしてもう一人は本来なら存在しないガルディオスの長男であり、一族復興に世界の存続を願う者の二人であった・・・


















「・・・どうしたんだ、ペール?そんな深刻そうな顔をして・・・」
・・・ホドが滅びて十五年と言った月日が流れ、一族の仇であるファブレの家に入り込んで虎視眈々と復讐の機会を伺っていたガイ=セシル・・・いや、本名はガイラルディア=ガラン=ガルディオス。
そんな屋敷の使用人に成りすましたガイが住む部屋の中、ベッドに腰掛け対面上に座る同じようにファブレに入り込んだ配下であるペールという老人に訝しそうに問い掛ける。何故秘密で話をしたいと言い出したのかもそうだが、その表情がやけに重苦しいのかと。
「・・・私も未だに信じがたい事なのですが、たまたま中庭に来ていた公爵が城から来た伝令の兵と話す中身が花をいじっていた私の耳に聞こえてきたのです・・・マルクトがガルディオスの遺児であるカイランドをガルディオスの人間としてマルクトに戻すばかりか、現皇帝であるピオニー陛下の養子としたことを発表してきた・・・と」
「な、何!?カイランド兄上が生きていただと!?」
「しっ!・・・大きく声を出せば周りに聞かれます」
「あ、あぁすまない・・・」
・・・だがペールが動揺しながらも告げた言葉にたまらずガイは驚愕に声を漏らし、すぐに静かにと指を立てられたことに動揺しながらも頷く・・・ガイがここまでになるのは死んだと思っていた兄の名が出てきたのもあるが、やはりその中身が中身であった。
「・・・と、取り敢えず改めて聞くが、それはペールの聞き間違いではないんだな?」
「はい、それは・・・と言っても私も最初は耳を疑いましたが、公爵もその兵に緊迫した様子で確認を取っていき急いで屋敷を後にしていきました・・・ですから少なくともマルクトからそれなりの手紙が届いたのは確実かと・・・」
「・・・本当にカイランド兄上が、生きて・・・!?」
ガイはそのまま本当か聞いていくが、嘘ではない可能性の方が高いという根拠を語るペールにガイもまた呆然としながらも真実ではと感じだす。
「・・・どうされますか、ガイラルディア様?もしそれが本当だとしたなら・・・」
「・・・本当なら嬉しいが、実際に兄上の姿を見てみないことには・・・マルクトが嘘をついているということも否定出来ない以上、やはりどうにも・・・かといってキムラスカからマルクトに向かうなんて、そうそう簡単には時間も取れないし確実に会えるかどうかも・・・」
「・・・それならばヴァンが数日の内にバチカルに来ることになると連絡がありましたので、ヴァンに話をして本当にカイランド様なのか確かめて来てもらうように言ってはいかがでしょうか?ヴァンなら本当にカイランド様かどうかを判断出来るかと思いますが・・・」
「ヴァンが来るのか・・・そうだな、少し話してみるか・・・」
ペールが主に対してどうかと聞くのだがハッキリと判断をつかせにくいとガイが悩む様子を見て、他の協力者であり外で活動しているヴァンに頼めばと勧めるとそれしかないかと漏らす。色々とありすぎてどうしようもないという気持ちを盛大に滲ませながら・・・


















・・・そうして数日が経ち、ヴァンがファブレの屋敷に来てしばらくの時間を過ごした後にガイはヴァンに目配せをし、外で話すようにペールは残して二人はファブレの屋敷を出てバチカルの街中の一角でカイランドという人物についてをガイは話した。









.
2/15ページ
スキ