宗教の穴と行く先

「・・・まぁそんなアッシュだからこそキムラスカにもダアトにも居場所はないから、マルクトに行くだなどというような事はないのだろうな。ある意味そんな安易な考えでこちらに来るような事はないだろうし、そもそもマルクトはキムラスカからして敵国だ。妙な価値観を持つアッシュからすればマルクトにも行けないとなるのはまた予測はつく」
「そんで最終的にアッシュがどうするかって言ったら、キムラスカが苦境に陥ったならキムラスカの為にって体裁を考えて仕方無く戻るみたいな道だろうけど・・・ダアトの問題を抱えてる状態ならあいつがどんな風に頑張ってもどうにもならないどころか、むしろこんがらがっていくだけだろうなコレ」
「そしてそれを対岸の火事にすれば、マルクトは高みの見物が出来るって訳だ・・・ま、そこから先は実際に奴らの企みを阻止してからだな。予測はしてもいいかもしれんが、あまりこうなるだろうと確定させ過ぎるのも良くないだろうからな」
ピオニーはそんなアッシュについてから話題をまとめるように話を進め、コノハからこうなるだろうとの言葉を受けてこれからが楽しみだというよう笑みを浮かべた。コノハ達という味方がいて、勝算がかなり高い事から自信を覗かせる形で・・・






・・・コノハ達もそうだが、ピオニー達も例えアッシュが何らかの理由からキムラスカに戻ることを選んだとしてもろくな結果にならないだろうと考えていた。もし戻るとしたなら様々な理由を口にして自分からしての面子を守りつつというめんどくさい状態であるだろうが、そういった面子を重視して捨てきれないということはつまりは自分の望まない事を受け入れる度量がないということだ。

そんなアッシュがどうにかダアトも含めたキムラスカを自分の面子やワガママを押し殺してまでだとかして、私情一つなく行動を起こせるとは到底コノハ達は思わなかった。そしてそうなったならまず間違いなく事態をうまくいかせるどころか、むしろ混迷に陥らせる方に事態を持っていくだろうと。具体的に可能性を挙げるなら、ダアトなんぞ見捨てろと先に受け入れを判断したのにそれを覆せばいいと言い出すなどだ。

元々の経緯からダアトを好きになるなどという感情など今後も持てないだろうアッシュが、その時となって堕ちるだけ堕ちたダアトを見捨てる選択肢を取るのは想像に難くはないだろうが、そうしてしまえば先に受け入れていたインゴベルト陛下達の判断であったり庇護を求めてきたダアトの者達の意思に反することになるだろうが・・・アッシュがそんな相手のことを考えての判断をするとはとても思わないのだ。王族として選ばれた存在だと認識してヴァンの元に連れられていってからは悪い意味でその選民意識に拍車がかかり、神託の盾として過ごしてきて粗暴さを身に付けてしまったアッシュが。

・・・あくまで今は一例を挙げたに過ぎないが、キムラスカにとってもダアトにとってもアッシュの存在は決していいと言えるような物とはならないだろう。しかし一々そんなことを言うつもりなどコノハ達にもピオニー達にもない。あくまで予想は予想であって確実に起きることではない上、マルクト側からしたならそんなことを言う理由はないのだから・・・









END









.
8/9ページ
スキ