宗教の穴と行く先

「まぁその辺りは陛下達にお任せって事になるんで、後は時期が来てヴァン達にモース達が動くまで待つくらいだぞコレ」
「あぁ、分かってるが・・・アッシュはそちらはどうするというか、どうなると思っている?聞くところによればヴァン達に対してどうするか迷っているらしいが、そちらに寄ると思うか?」
そうしてコノハが話をまとめようとするのだが、ピオニーから口にされたアッシュという人物の名に肩をおどけるようにすくめる。
「いや、あれは反旗を翻してもこっちには引き込まないぞコレ。というかあれが人の話を聞くとは思えないどころか、こっちに威圧的に言うことを聞かせるだけ聞かせようとしてきて、それだけの事をやったとしてもその後俺達が何か言っても知ったことかってなるのが目に見えるんだよな~。自分のやったことに考えたことが最善でそれに従うことに何故異論を唱えるのかだとか、俺が貴様らの言うことを聞かねばならん理由などないって言うのが」
「・・・確かにそう聞けばアッシュを引き込まないという気持ちになるのは分かるが、反旗を翻すのは確定はしているんだな?」
「まぁそれは。付き合いは二年弱程度しかないけど、あいつヴァンに対して持っていただろう敬意ってヤツが計画の始動の時間が近付くにつれてどんどん揺らいで来てるのが分かるんだ。多分この辺りはヴァンから計画の全貌を明らかにされてないから信頼を向けられてないんじゃないかって事もそうだし、キムラスカやナタリア王女殿下が死んで失われる事を避けたいって思ってるのもあると思うぞコレ」
「中途半端に計画を知らされた上で、失いたくない物があるから反旗を翻すということか・・・」
「ただそんな感じなもんだから、アッシュはヴァンに対してだったりキムラスカやナタリア殿下だったりとどこにも気持ちが残ってるのに、どこに対しても裏切りを犯したみたいな気持ちになることから全部が終わって生き残ったとしても、ダアトに残るだとかキムラスカやナタリア殿下の元には帰ろうとしないのが目に見えてる・・・見方を変えたなら自分が選んだこともあるから苦渋の決断をしたみたいに見えるかもしれないけど、俺から言わせれば自分勝手に振る舞って悲劇の主人公ぶって同情はするなって言いつつ、実は俺に気を使えみたいに望んでる極めてめんどくさい奴だぞコレ」
「・・・辛辣な言葉ではあるが、ルークに対する在り方を聞いたから間違いではないと思えるなそれは・・・」
そんなコノハが容赦も何もなくアッシュに対して何の期待もない上で抱いている印象や考えを口にしていき、ピオニーは単純にその話に何とも言い難げにルークと名を口にしながら納得するしかなかった。






・・・アッシュとは元々『ルーク=フォン=ファブレ』という存在であったが、ヴァンがフォミクリー技術を持って造った今のルークと入れ換えにして自らの手元に置いた存在である。これはアッシュ自身が持つ特性を狙ってもあるが、預言において重要な役割を持っていた人物であったからヴァンが助けることにしたキムラスカの次期王様になると目されている人物である。

ただそんな人物であるアッシュだが、コノハから言わせれば単純にめんどくさい・・・それも頭に極めてとつくほどの人物であった。素行の荒さに取っつきにくい言動もそうだが、コノハが言葉にしたよう誰も寄り付かせないような態度や考え方をしていることだ。

そして何より極めつけなのはその入れ替わった身代わりの役割であるルークをヴァンから刷り込まれた言葉により、一方的に嫌い疎んでいるという点だ。一応ルークを嫌う理由があることはある上で納得出来ないこともないのだが、実際に見たことも会ったこともない相手をそこまで偏執的に嫌い疎むその姿勢はあまりにも面倒極まりなかった。

故にハナからコノハはそんなめんどくさいアッシュを味方に引き入れることは考えなかったし、何なら見捨てる気満々であった。アッシュやキムラスカに苦行の未来が待とうとも・・・









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