宗教の穴と行く先

「まぁその辺りは行動を起こして結果がうまくいけばマルクトは勿論ローレライ教団になど金を渡さなくするようには確実にはするが、キムラスカはどうすると思う?」
「キムラスカも離れたがりはするだろうけど、マルクトから徹底的な拒否をされたら教団がすがれる相手はキムラスカしかいないのは目に見えてるから、そこを振り払えるかどうかってとこだぞコレ。まぁその時にはイオンもモースもヴァンもいなくなって預言も詠めない環境になってるだろうから、教団をそもそも維持出来るかどうかって瀬戸際になるだろうから最悪キムラスカの領土になることも選択する可能性は否定出来ないだろうけど・・・そんなローレライ教団にダアトの人間や土地を得たって、まともに働かせられるかどうかっていうと疑問しか出ないぞコレ。何せそうなったらもう預言なんて詠まれないだろう環境にしかならないから、それを元に動いてきた教団の人間が普通に働けなんて言われたってまず無理だろうしな」
「神託の盾はまぁキムラスカ軍属の兵士となればそれで済むかもしれないが、それ以外の教団の人間は役に立つかどうかどころか下手すりゃ足手まとい以上の何かになりかねない可能性の方が高いってことか・・・ハッ。別にダアトを領土にしたいだとか考えたこともねぇが、そう考えりゃ傘下に入りたいだとか無条件でダアトを引き渡すだなんて言われたって願い下げだなそりゃ」
そんな風なことを聞いた後にキムラスカがどうするかと予測を聞くピオニーは、コノハが口にしたダアトの取りかねない行動や待っているだろう末路に皮肉げな笑みを浮かべた。別にダアトに対して思うところなどないばかりか、いい気味だと言わんばかりに。






・・・コノハからダアトやローレライ教団にヴァン達の事についてを聞かされてきたピオニーやその側近の中では、もうとっくにダアト関連の面々に対しての気持ちはコノハ達を除いて無くなっていた。むしろもう時期に関係無くダアトとは一秒でも早く縁を切りたいと思ってすらいるほどである。

ただそうは言いはしても千年以上存在してきて信者の存在が大多数いることもそうだが、ザルな管理体制であるとはいえその献金で教団は運営されている。故に教団からすればオールドラントで世界を二分する国の一つであるマルクトが教団を信じること及び、献金を止めますと言われるのは是が非でも避けたいところであるだろう。それだけの信者に金が離れるとなれば、コノハ達の行動が成功するだろうことも相まって教団の信仰の核である預言が詠まれなくなってしまうのもあり、著しく教団の影響力が下がるだろうことからだ。

しかしピオニーにマルクトはそんなことを気にしないというか、むしろ落ちるだけ落ちて構わないと思っている上で助けるつもりなど一切ない。それこそコノハが言ったよう、助けてもメリットがないどころかデメリットの方が大きすぎるからである。

元々からしてダアトと言うかその暗部とも呼べる所はマルクトを預言に詠まれているのだから滅ぼしてもいいと思っていたこともあるが、何よりは預言以外にダアトに見るべき物がないのだ。その暗部と呼べる所も含めて預言達成がされればそれでいいどころか、それ以外の喜びや楽しみなど何があるのかという人物ばかりが揃っている場である・・・そんな人物達がいざ預言が無くなってはい自由に生きてくださいと言われたところでどうすればいいのかとなるのは確実であるし、むしろどうにか自分達を導いてくれとなる事は目に見えている。

しかしピオニー達マルクトがそんな滅ぼしてもいいと思った相手に助けてもらいたいという都合のいいダアトを助けたいといった気持ちになるわけなどないし、ましてや何かを差し出せる対価などそれこそ領土くらいでそこに住まう者達を労働力として期待することは簡単には出来ないだろう。故にマルクトはダアトを助けるつもりは全くないし、キムラスカがダアトを引き受けるならむしろどうぞどうぞと諸手を上げて歓迎するくらいだ・・・勿論そういった危険性については全く言わない形でである。









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