宗教の穴と行く先

・・・ローレライ教団はコノハが言ったが金はひたすらに集まりやすく、その上で出ていきにくい環境になっている。これがコノハのとある知り合いが前に相対していた不死コンビなら宗教は金になるかどうかで論争になっていだろうが、あくまで宗教は宗教なだけでそれを金にするかに出来るかは環境や人の差が出てくるものである。

その点ではローレライ教団に関してはコノハが言ったよう、非常に金が集まりやすい環境であった。オールドラントの結構な割合の人間がローレライ教団の信者と言える状態の中、集められ送られる金の額はそれこそキムラスカやマルクトが国内で徴収する税金と比べてもある程度は匹敵する。

しかしピオニーが言ったようにあくまでもローレライ教団はダアトという場にて神託の盾という独自の兵力を持っていてその信者が活動していると言ったくらいで、国という形で起動している訳ではないのだ。それにキムラスカやマルクトなら集まった金を国や民の為に還元するといった事を表向きだけでも目指して動かねばならないが、あくまで宗教団体の総本山であるダアトにはそんな名目で金を使う必要はない。

無論ダアトの維持の為に必要な分の金・・・食料や備品の買付であったり建物を建てるであったり様々な事に金を使う必要はあるが、だからと言って規模的に見てそれだけだけで済ませていたならダアトには使いきれないお金が今頃山積みとなっているのは明白だ。

だからこそローレライ教団と言うか預言保守派はある程度余裕のある金を手元に置いたなら、後は神託の盾に金を使うようにとしていたのだ。これは様々に活動していて兵が死にやすく消耗しやすい神託の盾を維持するのに金を注ぎ込み、常に兵力を保持するための手段として金が渡されていた故のことである。と言うかそれくらいしか全うな金の使い方が無かったからこそ、神託の盾に丸投げされたに等しかったと言ってもいいだろう。

しかしそんなやり方を通していた神託の盾に謡将としてヴァンが入ったことにより、その金の使い方が大きく動く事になった。それこそ使わない金があるならくれればこちらが有効活用出来ると、封印術を作ると決断するくらいには金を集めるだけの余裕を得られる程無心するレベルでだ。

・・・そしてそんな金を集めるだけ集めているのに、何か妙なことに使うのではと気にしたり怪しむことなど全くない程にヴァン以外の教団の面々は能天気だった。それだけの金が動いているというのにだ。

やはりこの辺りは教団の体質もあるが、金が余りすぎて使いきれないということがあまりにも大きな理由だった。貯めすぎても経済が回らない上、貯めたところでそれこそダアトに一例として大地震が起きて教会を始めとした建物であったり人々の生活の復興の為に使うくらいだろうが・・・ダアトの上層部はそんなことが起きるなどと全く思ってない上、一部はそんな時が来たとしたなら金の無心を無心とは思わせないようダアトが被害を受けたからどうにかしてほしい・・・と言って情に訴える形で解決しようとし、熱心なローレライ教団信者は金を出すことだろう。

ただそれでもそうしたような金がありすぎるからこその無頓着さから、ヴァンが金を自由でいて壮大に使える環境を作り封印術やらレプリカやらを作れるようになっていったのだ。ヴァンもそういった環境があると知っていたからこそ、そこに入り込む事にしたのだろうが・・・









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