宗教の穴と行く先

「・・・はっ?前々から思っちゃいたが、封印術まで開発するとかどんなに金を注ぎ込んでんだよローレライ教団・・・」
「本当にお大臣にも程があるって言いたいのは分かるけど、これがローレライ教団の実態なんだよな~コレ」
・・・マルクト皇帝のピオニーの私室にて。
そこでピオニーは渡された紙の束を見ながら何とも言い難い表情を浮かべ、対面上に立つコノハは自身の仮面を外した状態で気楽な様子で返した。自分が調べあげ持ってきたリストに対して。
「そうは言うが、流石に封印術まで作れるなんてのはやりすぎじゃないかと思うぞ。ハッキリ言って滅茶苦茶金を食うばかりで使い所に有用な効果なんてほとんど見出だせないクソな発明品だろ、あれ」
「導師の力と言うか抵抗するための手段をいざという時には削ぐためが目的だって言ってたぞコレ。と言ってもイオンが抵抗するためとは言え誰かを傷付けるために力を使うなんてそうそうないから、念押しにしたってかなり無駄な使い方だろうとは俺も思うけど・・・教団としては折角集まったお金をもて余すなんて言う事になるのは良くないって事から、かなりのお金が謡将がその地位についてから神託の盾の活動費の為に回されるようになったのが原因なんだ。と言っても元々集まったお金の使い方も教団の活動費以上に集まるもんだから、モースみたいな腐れ外道が私腹を肥やすくらいしか使い道がなかったんだぞコレ」
「・・・ホント、改めて聞くとマジでクソだなローレライ教団・・・」
そんな二人はローレライ教団の金の使い方についてを話し合うのだが、コノハから返ってくる何の気もない言葉にピオニーは頭を抱えてしまった。そのあまりにも雑でいて、ろくでもない実態に関して。






・・・今二人が話していることは、コノハが持ってきたヴァンが自身に従う者のみで率いる神託の盾の中でどういった事が行われているかのリストについてであるが・・・封印術と言うものをヴァン達は作っていたが、これは国家予算の十分の一程の金を注ぎ込んで完成するような代物である。

効果としては人体のフォンスロットを閉じることにより対象者の能力を著しく低下させ譜術を使えなくさせることであるが、封印術は致命的というか仕様上個人にしか使えず、複数人相手には使えないという非効率的な物なのだ。ハッキリ言って人一人相手にそんな金をかけてしまうのはやりすぎであり無駄であるとしか言えない。

ただそんな風にヴァン達が金を使えるのには理由がある。それは教団の形態のせいである・・・






「まぁお金はあって困らない物じゃないっていうか、オールドラント全土に点在してて恩恵を受けてる教団の信者から捧げられてるようなもんだから、いっぱいもらいすぎてるから返す・・・なんていうのはおかしいって話になるからだぞコレ。それに教団への献金に関しては教団にお金を捧げてるって形になるから、マルクトやキムラスカが税金をかける事は出来ない上に両国の人達はおろか、ケセドニアに果てはダアトの下の位置にいる人達も献金することに躊躇いはない・・・ぶっちゃけキムラスカやマルクトのどちらも併せてならともかく、どっちか片方の徴収する税金にもある程度匹敵するくらいにお金は集まってるんだな~コレ」
「・・・だがダアトに教団はその活動に金を使わない訳ではないが、人や活動の規模的な意味ではキムラスカやマルクトに劣る事からそこまで金は使うことはなく、必然的に金は溜まっていく一方だからヴァン達に回しても問題ないと見られるということだろうが・・・皮肉に当て付けだって理解しながらヴァン達は活動しているんだろうな。かつて自分達を不幸にしたダアトの金で、世界を壊すということを目指しているんだからな」
その上でコノハがダアトの経済がどんな風になっているのかを話していくのだが、その中身にピオニーは皮肉だと言葉にしながら笑っていた。ヴァン達が分かっててやっているだろうことに。









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