足元の定まらぬ夢に意味はあるのか

「・・・ねぇ、ちなみに今の話ってヴァン達にして効果はあると思う・・・?」
そんなシンクはならヴァン達に話してみたらどうなるかについて、大して期待してないような力ない様子でコノハに投げ掛ける。
「一応問題点については言えば聞いて改善はするだろうけど、根本的な問題としてレプリカに対する差別意識をどうにか出来ないなら、計画は最終的に完遂出来ずにオールドラントが生物の存在しない星になる可能性が高いだろうなコレ。食料を買いだめてアッシュ達の不満をどうにかなだめたって、これからの人類の代わりにするレプリカを大量に造り出してもあの謡将は所詮はレプリカ・・・っていう風に自分達と対等に扱わないのは目に見えてる。そしてそれはアリエッタ以外の面々も特に変わらないだろうから、自分達が使う側でレプリカは従い使い潰される側って感じに終始接していってしまえば・・・レプリカ達にそこから先を生きていきたいなんて気持ちや自我が目覚めるなんて思えないし、何の為に生きるっていう目的がないんなら尚更だ。だから被験者って立場の人間がいなくなったら、自我のないレプリカ達は緩やかに滅びていくだけになると思うぞコレ」
「・・・目的に自我のないレプリカだけになったら、か・・・そんなことに関してを言ったとこで、ヴァン達がそのレプリカ達にこういった目標を持てだとかそんなことを真剣に教え込むとも思えないね・・・レプリカの数が多ければ多いほどそのレプリカに色々教え込むのに時間がかかるのに、自我や能力だとか様々に身に付けさせてオールドラントの発展をさせろなんてレプリカを心底から見下してるあの男やリグレット達がやるとはね・・・」
対してコノハが返していったヴァン達の取るだろう行動と問題点についてを聞き、シンクもだろうとばかりに力の抜けきったように漏らす。どうあがいてもレプリカを見下すヴァン達の特性上もあって、レプリカだけになって大丈夫な未来を作るようには思えないと。
「・・・と言うかもしそんな風に皆死んでしまったら、預言に詠まれた世界の終焉と大差ないよね?」
「シンクの言う通り大差は無いだろうけど、謡将達からしたら自分が死ぬまで預言にない未来を創造出来たんならそれでいいとでも思うんだろうなコレ。それに今更ここまで練って準備してきた計画の変更なんて、規模的な意味でも心情的な意味でももう無理って言うか引き返せないって謡将も思うと思うぞコレ」
「・・・まぁ今までこうすることが正しいって思った上で下も引き連れてきたのに、今更ここでやることを考え直したいとか中止みたいなひよったこと言ったら反発は確実・・・なんてのは想像に難くない、か」
「だから謡将は誰が説得しても止まれないし、止まろうとしないのが想像がつく・・・ただ元々誉めようもない行動じゃあるけど、実態はもっと誉めようもない理由になるけどなコレ」
「そりゃそんな奴の所なんて長居するようなもんじゃないってあんたも言うはずだよ・・・はぁ・・・」
ただまだシンクが聞くべき部分がまだあるというように話し掛けるが、ヴァンが止まりようがないからどうしようもないという旨の話を返すコノハの言葉を受け、仮面に手を当てて盛大にタメ息を吐いた。心情的にも対外的に見ても、ヴァンの行動にシンクは付いていけないと心底から感じて。









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