足元の定まらぬ夢に意味はあるのか
「・・・ぶっちゃけ食料の事でもそうだけど、アッシュであってもそうでなくてもトラブル一つで謡将が造り上げた世界が終わる可能性が高いんだコレ。そして決定的な理由は今挙げた中身に繋がってる部分もあるけど・・・本当に世界を変えて存続させたいと思うんじゃなく、世界を変えればそれで満足してしまうだろうって事を自覚してないだろうって事なんだ」
「・・・あ~・・・確かにコノハが言ってること分かるかもしれない・・・あいつら預言とそれを重視する世界を壊すことが出来れば、結構冗談抜きに満足して脱け殻になりそうな感じするね」
・・・そしてこれが最も肝心な事だとコノハが何とも言えない様子で口にすると、シンクも確かにと脱力したような気持ちを抱きながら理解出来ると返す。
・・・神託の盾に所属して然程時間が経っていない二人であるが、ヴァンと忠誠心の高い二人を始めとした面々が自身らの目的にいかに邁進しているかはよく見てはいる・・・しかしそうして人目につかない所で頑張り活動し準備する姿の中に、目的を達成したその後のビジョンがあるとはコノハの目には映らなかった。
これは食料の問題についてを真剣に考えてないこともそうだが、その姿勢に世界を壊して変えることが第一と言うかそれが全てではないのかという熱量を感じたのだ。
・・・確かにヴァン達の目的は規模にして言えば壮大であり、それを達成させるためには余計なことに目を向けるような余力は無いように思える。しかし世界を変えるという目的を見据えるなら変えた先も見据えて動くべきであるのに、そこについてを考えているような様子を食料のことも含めてコノハは感じられなかったのだ。
だが何故そこまでの目的があるのにそこから先を考えていないのかと言えば・・・
「そもそも世界を変える事って預言のせいで不幸になったからってことで、それに対する怒りや憎しみをぶつけたいって事から謡将が始めたことだからなぁ・・・それに仲間として似たような立場で裏切るような事のない二人を引き入れたもんだから、謡将も他の大多数の面々も自分達とレプリカ達だけ世界にいるようになればそれで目的達成で後は全部うまく行く・・・って感じなのが目に見えるんだよなコレ」
「むしろコノハの話を聞いたことからそれ以外に感じなくなったよ。それでそうなった当初くらいは自分達が一丸になれば今までやったことに比べれば余裕みたいに考えるんだろうけど、今の話を聞いた後だとアッシュ達が何もしないって仮定しても食料の問題で滅茶苦茶つまずくよね・・・」
「だから俺はここに長くいるとこじゃないって言ったんだコレ」
「居心地の悪さだけじゃなく、将来的に沈むのがほとんど確定してる船って意味もあったんだね・・・」
コノハはそれでいかにヴァン達が復讐に重きを置いているかに先を見てないかを語り、シンクは先程の言葉の意味を本当の意味でも察して疲れた声を漏らす。かなりの確率でヴァン達には明るい未来が見えないということに。
・・・そう。大義名分を掲げてその後についても考えているように思われているが、実質的に復讐を遂げることの方が心情的な部分を大きく占めているとコノハは見たのだ。
これはある程度は仕方無いと言えば仕方無い。元々の動機は各々違えど、ヴァンに近しい面々は預言や今の世界の在り方に怒りを覚えて行動しようと決めたからだ。
そしてそのモチベーションがあるから確かな歩みを強く踏み締める形でヴァン達は行動してきたのであるが、そんな強い気持ちは得てして冷静さを欠かせる状態を作りやすいのだ。そしてそこで大義名分を掲げるというのは分かりやすく人々の士気を高めるには確かに効果的ではあるが、高揚した気持ちは更に冷静に考える気持ちや思考を失わせる事になる。
ヴァン達からすれば、自分達は他の者達に比べていかに強く自我を持っているかと考えていることだろう。だがそうして大義名分に酔い、自身の気持ちや考え方が間違いではないという考えは視野を狭くして、見えるはずの物を見えなくさせてしまう・・・そしてそれが後の禍根になりかねないとコノハは判断したのだ。
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「・・・あ~・・・確かにコノハが言ってること分かるかもしれない・・・あいつら預言とそれを重視する世界を壊すことが出来れば、結構冗談抜きに満足して脱け殻になりそうな感じするね」
・・・そしてこれが最も肝心な事だとコノハが何とも言えない様子で口にすると、シンクも確かにと脱力したような気持ちを抱きながら理解出来ると返す。
・・・神託の盾に所属して然程時間が経っていない二人であるが、ヴァンと忠誠心の高い二人を始めとした面々が自身らの目的にいかに邁進しているかはよく見てはいる・・・しかしそうして人目につかない所で頑張り活動し準備する姿の中に、目的を達成したその後のビジョンがあるとはコノハの目には映らなかった。
これは食料の問題についてを真剣に考えてないこともそうだが、その姿勢に世界を壊して変えることが第一と言うかそれが全てではないのかという熱量を感じたのだ。
・・・確かにヴァン達の目的は規模にして言えば壮大であり、それを達成させるためには余計なことに目を向けるような余力は無いように思える。しかし世界を変えるという目的を見据えるなら変えた先も見据えて動くべきであるのに、そこについてを考えているような様子を食料のことも含めてコノハは感じられなかったのだ。
だが何故そこまでの目的があるのにそこから先を考えていないのかと言えば・・・
「そもそも世界を変える事って預言のせいで不幸になったからってことで、それに対する怒りや憎しみをぶつけたいって事から謡将が始めたことだからなぁ・・・それに仲間として似たような立場で裏切るような事のない二人を引き入れたもんだから、謡将も他の大多数の面々も自分達とレプリカ達だけ世界にいるようになればそれで目的達成で後は全部うまく行く・・・って感じなのが目に見えるんだよなコレ」
「むしろコノハの話を聞いたことからそれ以外に感じなくなったよ。それでそうなった当初くらいは自分達が一丸になれば今までやったことに比べれば余裕みたいに考えるんだろうけど、今の話を聞いた後だとアッシュ達が何もしないって仮定しても食料の問題で滅茶苦茶つまずくよね・・・」
「だから俺はここに長くいるとこじゃないって言ったんだコレ」
「居心地の悪さだけじゃなく、将来的に沈むのがほとんど確定してる船って意味もあったんだね・・・」
コノハはそれでいかにヴァン達が復讐に重きを置いているかに先を見てないかを語り、シンクは先程の言葉の意味を本当の意味でも察して疲れた声を漏らす。かなりの確率でヴァン達には明るい未来が見えないということに。
・・・そう。大義名分を掲げてその後についても考えているように思われているが、実質的に復讐を遂げることの方が心情的な部分を大きく占めているとコノハは見たのだ。
これはある程度は仕方無いと言えば仕方無い。元々の動機は各々違えど、ヴァンに近しい面々は預言や今の世界の在り方に怒りを覚えて行動しようと決めたからだ。
そしてそのモチベーションがあるから確かな歩みを強く踏み締める形でヴァン達は行動してきたのであるが、そんな強い気持ちは得てして冷静さを欠かせる状態を作りやすいのだ。そしてそこで大義名分を掲げるというのは分かりやすく人々の士気を高めるには確かに効果的ではあるが、高揚した気持ちは更に冷静に考える気持ちや思考を失わせる事になる。
ヴァン達からすれば、自分達は他の者達に比べていかに強く自我を持っているかと考えていることだろう。だがそうして大義名分に酔い、自身の気持ちや考え方が間違いではないという考えは視野を狭くして、見えるはずの物を見えなくさせてしまう・・・そしてそれが後の禍根になりかねないとコノハは判断したのだ。
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