復讐するは我のみあらず

「・・・一体なんですか、彼は?復讐に関してやたらと何か考えているようでそこに甘さが見えたから、彼の中にあるだろう考えとスカーとの対比を口にしただけなのですが・・・」
それでルーク以外もガイの周りに心配して集まるのだが、ディストは訝しそうに視線を向ける。
「・・・いえ、気にしないでください。それより我々は少し彼を落ち着けるためにもここを離れますが、貴方はここにまだいますか?」
「えぇ。詠師にここにいてほしいと言われましたし、あまり不用意に動くつもりもありませんから何かあればこちらに来てください。お答え出来る事であればなんでも答えますよ」
「分かりました。ではまた後で来ますのでその時にお話ししましょう」
一人ガイに寄っていなかったジェイドはディストに確認を取った後、ルーク達と共に場を離れていく。そんな一行、いやガイの後ろ姿をディストは胡散臭そうな目で見詰めていた。明らかに何かあるだろう様子のガイの事を。


















(・・・俺は・・・俺は一体、今まで何をしていたんだ・・・今までガルディオスの為に何も出来ず、復讐の後の為にもと何かを考えることもなかった・・・そしてもう復讐をすべき相手であるファブレももういないばかりか、マルクトが預言通り滅ばないようにとキムラスカ上層部にダアトやユリアシティまで滅ぼされた・・・俺は一体これから、どうすればいいんだ・・・!?)
・・・それでダアトの街中があの様子であり宿など取れる状況ではないことからダアトを出た平原部にて夜営を始めたルーク達だが、そこでガイはルーク達から離れた所で一人動揺している様子を隠すことも出来ずに堂々巡りの考えに陥っていた。スカーの起こしたこととその考えに動機を知って、あまりにも自分が幼稚であり考えなしであり・・・ファブレがもう無くなっているのもあり、これからどうすればいいのかがわからなくなってしまったこともあり。



「・・・なぁ、ガイ大丈夫なのか?」
「とても見る限りでは大丈夫だと言えるようには見えませんが・・・」
そんなガイの様子を傍目で見ながら、ルークとイオンは心配そうに声を漏らす。
「とりあえず今日はこのままにしておきましょう。明日以降我々がどうするかをディストに聞くことも含めて話し合った方がいいでしょうからね」
「それでいいんですか、大佐・・・?」
「どうせ今の状況ではダアトでやることもありませんからケセドニアに向かわねばなりませんし、スカーと謡将達がどこで戦ってその結果がどうなったのかを知る必要があります。ですので少なくともケセドニアに行くまでは考える時間はありますが、彼は何故スカーや復讐関連であぁも悩んでいるのか・・・事と次第によっては事情を聞いた方がいいでしょう。何か彼にあるのは分かりますが、あの状態の彼を連れていくのはどうかと思いますからね」
「・・・そうですね・・・」
ジェイドはそんな二人の声に答えつつ今後の事をガイも含め考えを口にしていき、ティアも複雑さを滲ませつつ頷く。ティアとしても決して今の状態はよい物ではないというのがあるために。


















・・・図らずも産み出された本来なら存在しないはずの新たな完全同位体。その存在によりもたらされた新たなうねりは大きく世界に人々を変えていく。

そしてその中の一人に同郷の領主の息子がいるのだが、そう遠くない内に傷の男と出会うことになる。決して良くない意味でになるが・・・その事をまだ、領主の息子は知らない・・・






END









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