復讐するは我のみあらず

「意外かと思われるかもしれませんが、預言は預言保守派が言うように守られるべきものではなく詠まれている中身になるようにといった強制力に近い力があるのですよ。ですからそれを変えるためにもヴァンはフォミクリー技術を求めたのですが、そこについてを知っていたからヴァンはこの年になってから表だって行動を始めた上でスカーもそれを狙ったからこのようにしたんですよ。話によればまだナタリア様は存命のようではありますが、流石に今の状況でわざわざマルクトと戦争をしようとは出来ないでしょう・・・まぁマルクトからわざと戦争を仕掛ければ話は別でしょうけれどね」
「流石にそんなことはしないようには言わせてはもらいますよ。言い方は悪いですが確かにキムラスカを攻め落とせる絶好の機会ではあるでしょうが、こちらから戦争を仕掛ける動機はアクゼリュス関連の預言の事で騙していたことを明かせば十分でしょう。ですが預言にそのような性質があるとなれば何らかの理由からキムラスカに有利になるようなことが起きるだとか、こちらにとって何らかのアクシデントに繋がることが起きかねません。それに今の状態ではどちらが勝っても自分達が勝利したという満足感以外ろくに何も得られるものなどまずないでしょうね」
「えぇ。ですからマルクトさえ調子に乗らなければ、まず戦争になることはない・・・貴殿方が全員納得出来るかはさておき、そういった計算もあってスカーは行動したんですよ。預言通りにしないようにするために、自身にとっての最良の形にするために敢えて我慢をする形でです」
「「「「っ・・・!」」」」
それで預言の性質も併せていかにマルクトが考えるかもジェイドから引き出すディストのスカーの行動についての話に、ルーク達は一斉に苦そうな表情を浮かべた・・・確かにスカーの行動自体は庇いようもないような凶悪な物ばかりであるが、それでも預言による戦争にならないようにとするために効果的であったことは否応なしでいて十二分に理解出来た為に。
「・・・まぁ先程も言いましたが、彼のやったことは個人がやったことと言うにはあまりにスケールがでかくて到底庇いようもない事です。そして当人も決して擁護など求めず、期待もしていないでしょう・・・ですがそんな彼でも目的の為にと我慢や準備を怠らずに動いていたことを私がこうして明かしただけで貴殿方は庇うではないにしても、なんとも言えない妙な気持ちになられたと思うのですが・・・分かりますか?確かに身の上を聞けば同情したいと思うような事情があり、復讐をするのもやむなしと考えることも世の中には沢山ありますし、何も知らないからこそこういったように行動したスカーを恨む者もいることでしょう・・・ですがそれでも彼は望むことを望むようにやり遂げました。それに対して話をしただけで同情やら何やらを求め、復讐を終えた後のイメージアップやら何やらを何もしないなど彼を見てきた私からすれば復讐者にしては怠惰にも程があると思いますよ」
「っ!!?」
「お、おいガイ・・・!?」
・・・そして今までの流れを統括するようにガイ当人と知らずとも怠惰といったように評するディストに、たまらずガイは顔面蒼白になりたたらを踏んで呆然としたようになり、ルークは慌ててガイに駆け寄った。明らかに異常が起きているといった様子を見て。









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