復讐するは我のみあらず

「じゃあ誰がやったって言うんですか、大佐!?」
「落ち着いてください、アニス」
「落ち着いてなんていられるわけないじゃん!教会が破壊されたって言うんならパパとママも巻き込まれたかもしれないんだよ!?そんなの聞かされて落ち着けるわけないよ!」
「「「「っ・・・!」」」」
だがそこで兵の報告からようやく気を取り直した・・・と言うには怒りや焦りが勝りすぎているアニスの必死な形相と言葉に、対応していたジェイドだけでなく周りのルーク達も揃って表情を歪めた・・・アニスの立場から考えれば両親の安否が確認が出来てない事もだが、もしもそれで死んでいたならその犯人を許すことが出来ないといった激しさを感じてしまったが為に。
『おい、屑!』
「うっ・・・ア、アッシュ・・・!?」
「・・・ちょうどいい、と言っていいかは分かりませんがアッシュから連絡が入りましたか・・・ならこの際彼にも嫌でも協力してもらった方がよろしいでしょうね」
そんな時に不意にかかってきたアッシュからの焦りが存分に感じられた声にルークは頭痛に顔を歪めるのだが、そんな様子を見て協力してもらおうとジェイドは眼鏡を押さえながら漏らす。


















・・・そうしてアッシュからの通信を行いつつ話をすることになったのだが、そこでの話をまとめるとナタリアはバチカルに残ってアッシュは急いでそのナタリアの元に来るようにするとなり、残りの面々でダアトを経由した後にマルクトの首都であるグランコクマに向かうというようになった。

何故そうなったのかと言えば、バチカルの現状を見てナタリアが場から離れない方がいいと見たこととナタリア自身が場を離れないと言い出したことの合致があった上で、ダアトの様子見はした方がいいという話になったからだ。

ただ何故ナタリアだけがバチカルに残るのかにしたかに、アッシュがそこに来るとしたのか・・・その理由はルークとガイの二人にあった。

二人はキムラスカ所属の人間ではあるが、ルークでは元々からというように見られもしたが今のナタリアを御せると思えないということや、アッシュも話を聞いた上でナタリアを一人にはさせられないというように聞いたことから仕方無いという形でバチカルに向かうことにしたのだ・・・ルークがいないならいいという形で、それをルークも承知してだ。

そしてガイだが、本来ならルークがいないならせめてガイもナタリアについてもらいたいとジェイドから言われた・・・だがガイはその要望に首を横に振ったからだ。確かにナタリアの近くにいてアッシュと共にその手助けをした方がいいのは分かるが、今ルークを放っておきたくないと。

そういったことからアッシュがバチカルに来ることになり、二人はジェイド達と共にダアトに向かうことになったのだが・・・ルークはともかく、ガイの中にはそれだけでない考えがあったからバチカルを出ることにしたのだ・・・






「・・・あんなナタリアにアニスの表情は初めて見た・・・俺も何も取り繕うようなことをしなかったら、あんな表情をしていたのか・・・?」
・・・ナタリアと別れてダアトに向かうための経由地点であるケセドニアに向かう船の一室の中、ガイは一人苦心の表情を浮かべていた。二人のあの様子はバチカルとダアトを破壊した者に対し、明確に強い怒り・・・もっと言うなら復讐心に満ちた物がある上で、自分もあんな表情になっていたのかと考える形で。









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