復讐するは我のみあらず

「大佐ぁ・・・!」
「どうしたんですか、アニス?そんなに焦った様子で?」
ダアトの入口に来た所でアニスが慌てた様子で走ってきたことに、ジェイドを筆頭にどうしたのかと聞く。
「そんなこと言ってる場合じゃないんですよぅ!ダアトの中で話を聞いてたらとんでもない情報が入ってきたんです!そのおかげって言ったらダメだとは思うんですけど、それでイオン様とナタリアも外に出られるようにはなったんですけどもうダアトは混乱してて・・・!」
「落ち着いてください、アニス!何があったのかをまず言ってください!」



「・・・キムラスカにいるローレライ教団員からこんな情報が伝えられたんです・・・キムラスカの首都のバチカルでバチカル城とファブレ邸で突然大爆発が起きて、キムラスカの上層部の人達もそうだけど城の中にいたモースも消息不明で生きてる可能性はまずないって・・・」



「「「っ!?」」」
・・・だがジェイドに落ち着くように言われた後に苦い表情を浮かべながら言葉にされた情報に、ルーク達三人は揃って驚愕に目を見開いた。あまりにも唐突な情報であることもそうだが、その中身が現実離れし過ぎていたことに。
「だから私に早く付いてきてください!イオン様とナタリアはその情報のことから外に出されたのはいいんですけど、ナタリアが早くバチカルに戻らないとって言って止めるのに苦労してるんですぅ!」
「分かりました、案内お願いします」
そしてアニスが早く付いてきてほしいと焦り状態に戻りながら手を引いてきたことに、ジェイドは仕方無いと頷き先へと向かう。



(・・・ファブレが滅びた・・・!?)
・・・そんな中でガイは内心であまりにも衝撃的な情報に、どういった気持ちになっていいか分からなかった。今まで誰にも話してこなかったが、自分が仕えているファブレは自分の復讐の為・・・だがそれが自分の手でではなく予期出来ない事態が起きてファブレが滅びた事になったことから、中には自分のサポートの為に共に入り込んでいた人物もいたこともあり喜んでいいのかどうしたらいいのかが分からず・・・


















・・・そうしてイオンとナタリアの元に来たジェイド達だが、一刻も早くバチカルに戻りたいと鬼気迫る様子のナタリアを何とかなだめつつ情報整理をした上でどうするかを決めることにした。

その際に誰かが何かをやったかはともかくとしてもバチカルがそんなことになった以上、アクゼリュスが落ちたことにより戦争になるといった流れにはまずすぐにはならないだろうという話になった・・・元々はアクゼリュスの消滅はキムラスカにモース達の策略により仕組まれたことでマルクトとの戦争の流れにすることだったのだが、それはあくまでキムラスカからして言えば万全の体勢及びそうしようと考えたキムラスカ上層部やモース達がいる状態でやってこそ・・・だがバチカルというキムラスカの首都でそんなことになって上層部やモースがことごとく死んだと見られる状況では、残されたキムラスカの人間からすれば戦争など出来るはずがない。いやむしろそんな状態で戦争が起きたとしても十全に戦える状態とは確実にならないから、残ったキムラスカの者達からしたら是が非でも戦争は避けたい出来事であると。

そしてそんなキムラスカからしたなら最も重要なのは、混乱を収める為のカリスマや上の立場に立つ人間の存在ということになる・・・つまりは今ならバチカルに戻ってもモース達がことごとく死んでいるだろう事もあるから、滅茶苦茶に忙しくなるだろうことさえ除けばナタリアがバチカルに戻っても問題はないどころか、むしろ歓迎されるだろうという話になった。そしてうまく舵取りさえ出来ればマルクトとの戦争を避けることも十分に可能だろうと。

そういった話から一同は細かい話は移動中にすればいいということで、一先ずはバチカルに向かおうという話になった。ナタリアを送り、バチカルの混乱を収めるためにと。









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