善意が事態を好転するとは限らない

「・・・とりあえずは二人にはゆっくりしてもらった上で、ラオウの元に向かおう。話はそこからだ」
「えぇ、分かりました・・・では行きましょうか」
「っ・・・!」
そんなやり取りにもう先に行こうと割って入るトキだが、ジェイドが頷いた後に視線を向けた為にティアは苦々しげな顔をしながら二人が歩いていく後を付いていく。そしてガイとイオンとアニスは何とも言いがたそうな様子でルーク達に視線を向けてから、その後についていった。



「・・・ルーク・・・」
「・・・何だよ・・・?」
それで二人きりになった場でナタリアがルークに力ない様子で話し掛けると、まだ顔色は悪いものの少しは落ち着いた様子で顔を向けて答える。
「・・・私は間違っていた、のですか・・・?」
「・・・さっきの話を聞く限り、間違ってねぇなんて言える要素の方がねぇだろ・・・」
「っ!・・・ひ、酷いですわルーク・・・!」
「・・・慰めとか自分が間違ってねぇって言葉が欲しいんだろうが、それなら俺だけじゃなくて他の奴らからフォローくらい来てたろ・・・なのにイオンからすらそれが無かったってことは、そう言うことだろ・・・」
「っ!・・・うっ、うぅっ・・・!」
「・・・はぁ・・・」
それでナタリアは正しいと言ってほしいと言わんばかりの声を向けるが、力なくもそれはないと言い切るルークの答えに途端に泣き出したまらずタメ息をルークは吐いてしまう・・・先程までは確かにルークも非常に落ち込んでいたが、自分以上に起伏の激しい存在を見てしまうと冷静になってしまうということを感じながら・・・



「・・・随分とナタリアに厳しいことを言われましたね。ケセドニアで主に活動する貴方の立場を考えれば、今後彼女がキムラスカの王女に戻れたならあまり良くない事態になることも有り得ると思うのですが」
「何、医者の仕事は別にケセドニアでなければ出来ぬ仕事ではない。それにあのように言って行動を改めないようであれば、様々な意味でそれまでということだ」
「成程・・・ではケセドニアにキムラスカで働けなくなったら、私を頼ってください。貴方ほどの腕の医者であれば働き口は斡旋しますよ」
「心遣い感謝する」
それで場面は移りラオウの元に向かう一行の中、ジェイドがトキに話し掛けるが平然と返ってきた答えに納得しながらナチュラルに勧誘をする・・・トキからすれば先程の言葉達は自分が働けなくなることもそうだが、ナタリアが行動を改めない上で自分の活動を私情で制限するなら見切りをつけるつもりでいるということだとジェイドも見た為に。


















・・・その後、ルーク達はトキ達の行動に更に呆気に取られることになる。そしてその上でナタリア達がどうなったかにどう考えるようになったかは、また別の話となる・・・










END









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