善意が事態を好転するとは限らない

「・・・今まで色々と言ってきた分だ。今度はこちらからそもそもの問題として、貴女に聞きたいことを聞かせてもらおう」
「えっ・・・あ、貴方から私に・・・?」
そうして弱るナタリアの菅谷トキは今度は自分から話を聞きたいと切り出したことに、不安そうな表情を浮かべる。何を聞かれるのか不安でたまらないというよう。
「貴女がここに来ればより良い結果が得られると考えていた事に関してはこの際よしとさせてもらうが、貴女一人が親善大使一行に加わった所でどうこのアクゼリュス救援がうまくいくと思ったのかな?」
「え・・・そ、それは王女である私がルーク達と共にあればマルクトとの関係もうまくいくであろうことと、アクゼリュスの方々も元気付けられて第七譜術で治療出来ると思ったからですが・・・」
「そうか・・・貴女には酷な事を言うようだが、それらの考えはほとんどが的外れだ」
「なっ・・・!?」
トキはそこからナタリアのアクゼリュス行きにどんなメリットがあるかを問い、戸惑いながらも返ってきた答えにバッサリと的外れと返して絶句させた。
「何故と思うだろうが、まず第七譜術に関しては先程言ったようなことがあるからでそこについてはいいだろう。だが貴女が来ればマルクトとの関係がよりうまくいくだろうというように言っていたが、先程言ったようにあくまで貴女は彼らに勝手に無理矢理付いてきた身だ。なのに王女である自分が来たのだからと言うのはそう命令していないキムラスカからすれば命を下していないのに、さも自分が代表みたいな顔をしている人物がいるというような認識になり、マルクトからしても親善大使という立場にいるのはルークであるはずなのに、普段の地位では彼より高い地位で王女である貴女の存在をどうすればいいのかという問題が出てくる・・・そこでより厄介なのは貴女がさも自分は王女という立場を捨ててはいないというように言ったことだ・・・こう言ってはなんだが、貴女の立場に行動はキムラスカにマルクトからすれば王女として扱うにしても面倒であり、そう扱わないにしても面倒と言った状態なんだよ。様々な観点から見てどう扱っていいか、両陣営から見てどうすれば正解なのかが分からないと言うようにね」
「なっ・・・!?」
そのまま的外れの中の一つの自分が来ればという部分についてがいかにキムラスカとマルクトの両サイドから見て厄介か・・・そう語るトキに、ナタリアは再び絶句する。
「・・・それらの言葉に関してマルクトに所属する者として私も同意します。このような事態になったから有耶無耶になる部分も出ては来るでしょうが、そもそもナタリアはこの一行に付いてきた時から彼女は一貫してただ付いてきただけだというような態度ではなくあくまで自分は王女・・・そう言った態度を崩していませんでした。もしアクゼリュスの救援が無事になったとしたなら、以降のやり取りで彼女の立場に行動というものにどうすればいいかとなっていたでしょう。それこそただの同伴者でもないし、かといって王女としてインゴベルト陛下の命も受けていない・・・そんな存在をどう扱うべきかと」
「そっ、そんな・・・!?」
そしてそこにジェイドまでもがマルクトの立場から見ていかに厄介な物なのかと言ったことを言うと、ナタリアは嘘だと言って欲しそうに声を漏らす。トキの言葉をジェイドが肯定するということはすなわち、少なくともマルクト側から見たならナタリアの態度はどうすればいいか分からない物になり得たのだということになるために。









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