善意が事態を好転するとは限らない

「まぁこの事については知らなくても仕方ない。障気を研究するような機会などまず無かった上で、一般的に広まっていない事実だからな・・・ただし、ナタリア王女。貴女の行動に考え方は些かというような物ではなく、かなりの問題がある」
「な、何ですって!?私の何が問題だと言うのですか!?」
トキはそんな反応になるのは仕方無いと言うが、続いたナタリアの行動の批判に当人はすぐさまに怒りを露にする。何故自分がそんなことを言われなければならないのかと。
「第七音素と障気の繋がりの事に関して知らなかったのはまだいいだろう・・・だが貴女の取ってきた行動は傍目から見れば、とても責任のある者の行動ではない」
「な、いきなり何を!?」
「まず一つ聞くが、貴女は自分がどういった立場でここにいると考えておられますか?」
「どういったとは、キムラスカの王女としてですわ!当然ではありませんか!」
「では何故貴女は彼らに予定にない形で力付くでも付いてきた?貴女の立場を考えれば、キムラスカを勝手に出てくるなどと許されない筈だが」
「それはお父様が頷いてくださらなかったからですわ!だから私はこうするのが正しいと思い、ルーク達と共にここまで来たのです!そしてアクゼリュスの救援が成功したなら、お父様も分かってくださる筈ですわ!」
「・・・先程言ったことを忘れたのかな?キムラスカは預言の為にアクゼリュスを滅ぼし、戦争を起こすことを選択したということを」
「っ!?」
そのままトキは王女としての行動についてを話していくが、ヒートアップすしていくナタリアは途端に言葉を失った・・・先程話した預言の事があるからこそ、それを思い出した事に嫌な予感を感じざるを得ない様子で。
「貴女が事実を信じるかどうかに関しては私の関与する所ではないが、元々キムラスカがそういう目的であった事を考えればわざわざ自国の王女である貴女を死地に送るようなことはしたくはないというのが普通の感性だ。まぁこの事に関しては知らなかったからまだしもとしても、そうして自分の勝手で国を離れる王女というものが結果を出して自分の勝手を許させるなどというのはおかしな事でしかない」
「お、おかしなことって・・・」
「貴女の父君であるインゴベルト陛下の内心はどうあれ、貴女は一応は臣下という立場にある。それを親子の関係にあるから、自分が成功させるからと平然と臣下から反対行動を取られるなど本来有り得てはならぬ事だ。そんなことを平然とさせることもそうだがそれを許してしまえば、王という存在が間違った判断を下すなら軽んじた態度を取っても構わないという前例を作ってしまうのと同義だからね」
「なっ!?わ、私はそんなつもりは・・・!」
「確かに貴女にはそんなつもりはないのだろう。だが血縁関係にない臣下にもそうだが、血の繋がった存在である貴女の勝手を許すということをしてしまえばインゴベルト陛下の威厳というものは著しく損なわれる事になる。そしてそれで他に勝手な事をしてきた臣下がいたとして、貴女はそこでナタリア様もされたことでしょうなどと言われたとしたなら・・・貴女は自分は王女だからそうしても構わないのだというよう、王の娘であることを盾にするのかな?」
「っ!?・・・そ、そんなこと・・・出来る筈、ありませんわ・・・そんなことをしてしまえば、理不尽な権力を振りかざすことになってしまいます・・・」
「そう。だが貴女は今そうしてしまっているわけだ。インゴベルト陛下の命を自分の意志に考えがあるからと、無視する形で」
「っ!!」
・・・そうして会話を続けるトキとナタリアだが、機先を制された上で順序よく話を進めていくトキの話口にナタリアは言葉を詰まらせていくばかりになっていった。いかにキムラスカの臣下として、王女として相応しくないことをしでかしているのかをトキに突き付けられてきている為に。










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