心臓に打ち込まれた罪の楔
「さて・・・アニス・タトリン。残りはお前一人な訳だが、今までの経過を見れば分かるだろう。素直に質問に答えろ、さもないといらん手間をお前にもかけるぞ」
「・・・はい」
直前のティアが余程効いたのだろう、アニスは既に逆らえるだけのテンションとは到底言える物ではない。
「まずは質問だが、何故お前は手紙の中を見た?」
「・・・今までから考えたら、中身は私達の悪口だと思って・・・」
「だからお前が言うには意味が無いから破った、そういうことか?」
「・・・はい」
反発の態度は見せずやけに大人しくアニスはしている。だが、ピオニーはアニスだけは最初から許す気はなかった。
「ならお前の処分を言い渡す。アニス・タトリン、お前は我が国の労働力として一生ただ働きで国に仕えろ。休みなどもちろん無しで、食事と就寝の時間以外は全て労働に当てる。処分は以上だ」
「・・・えっ?」
「よし、連れていけ」
「・・・まっ、待って下さい!なんで・・・なんであたしだけこんな酷い事を言うんですか!?」
一瞬何を言われたのか分からず呆然としていたが、自分を連れていこうと兵士達が動き出した為アニスは慌てて制止をかける。
「今お前が言っただろう、親書の中身を見て破ったと。破ったという事も最悪だが、盗み見た事も最悪だ。和平に繋がる物として渡された手紙を信用出来ないからと覗き破る奴を信頼出来るか。それに今までのあいつらの行動は自業自得だった。お前の言う悪口ってのは正論だろうが」
「そ、それはそうかもしれないけど、この処分は酷すぎますよぉ!」
「・・・陛下、よろしいでしょうか?」
自らの罪はもっと軽いと主張しているアニスの声に、セシル少将が待ったをかける。
「ああ、どうした?セシル少将」
そう言いながらもピオニーはフリングスに視線を送る。そのやり取りを見たセシル少将は懐から手紙を取り出す。
「これはアニス・タトリンが大人しく刑に服さなかった場合に読み上げろと言われた物です。中身は大詠師からアニス・タトリンの事を事細かに聞いた物だそうです」
大詠師、その言葉を聞いたアニスは一瞬だけ間を空ける、だが一瞬空いた後のアニスは背中のトクナガを巨大化させようと地に置こうとした。その瞬間だった。フリングスが巨大化する前の隙をつき、間合いを詰めてトクナガの胴体を横なぎに切り払う。
真っ二つにされたトクナガをアニスが理解できないと止まっていると、即座にフリングスに腕を捕まれ地に押し倒された。
「・・・これで決定的だな」
あっという間の出来事にピオニーは冷酷さを感じさせる冷たい瞳でアニスを見下ろす。
「セシル少将、わかっているだろうが一応読み上げてくれ」
「はい・・・『アニス・タトリン、この者は大詠師モースのスパイとの情報を大詠師本人から聞き出した。動機は預言をよしとしない導師の監視の為との事。そしてモースが言うにはアニス・タトリンがもたらした情報を元にタルタロスヘ導師奪還の指示を六神将に出したとの事。これらを踏まえ近く和平を結ぶ内に大詠師モースをマルクトに処断の為に送るが、先に預言の狗の狗になってタルタロスの位置を知らせたアニス・タトリンの身柄を渡すものなり』・・・という物です」
読み上げ終わったセシル少将からの事実発表により、アニスは目を泳がせなんとか言い訳を探そうとしている。するとピオニーは玉座から立ち上がりアニスの近くまで近寄ると、体を屈めてアニスに視線を合わせる。
「・・・という訳だ。言い訳は無駄だぞ。お前は何も言っていないのに勝手に逃げ出そうとした。つまりその時点でお前は認めてしまったんだよ、スパイだって事をな」
「・・・私は殺してない。確かに情報をモースに渡したけど、私は殺してない!私は悪くない!」
またもや往生際が悪く、自分は何も悪くないと言い出す。だがそうでる事も折り込み済みなピオニーはアニスに厳しく視線を向け、飾らない言葉で話し出した。
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「・・・はい」
直前のティアが余程効いたのだろう、アニスは既に逆らえるだけのテンションとは到底言える物ではない。
「まずは質問だが、何故お前は手紙の中を見た?」
「・・・今までから考えたら、中身は私達の悪口だと思って・・・」
「だからお前が言うには意味が無いから破った、そういうことか?」
「・・・はい」
反発の態度は見せずやけに大人しくアニスはしている。だが、ピオニーはアニスだけは最初から許す気はなかった。
「ならお前の処分を言い渡す。アニス・タトリン、お前は我が国の労働力として一生ただ働きで国に仕えろ。休みなどもちろん無しで、食事と就寝の時間以外は全て労働に当てる。処分は以上だ」
「・・・えっ?」
「よし、連れていけ」
「・・・まっ、待って下さい!なんで・・・なんであたしだけこんな酷い事を言うんですか!?」
一瞬何を言われたのか分からず呆然としていたが、自分を連れていこうと兵士達が動き出した為アニスは慌てて制止をかける。
「今お前が言っただろう、親書の中身を見て破ったと。破ったという事も最悪だが、盗み見た事も最悪だ。和平に繋がる物として渡された手紙を信用出来ないからと覗き破る奴を信頼出来るか。それに今までのあいつらの行動は自業自得だった。お前の言う悪口ってのは正論だろうが」
「そ、それはそうかもしれないけど、この処分は酷すぎますよぉ!」
「・・・陛下、よろしいでしょうか?」
自らの罪はもっと軽いと主張しているアニスの声に、セシル少将が待ったをかける。
「ああ、どうした?セシル少将」
そう言いながらもピオニーはフリングスに視線を送る。そのやり取りを見たセシル少将は懐から手紙を取り出す。
「これはアニス・タトリンが大人しく刑に服さなかった場合に読み上げろと言われた物です。中身は大詠師からアニス・タトリンの事を事細かに聞いた物だそうです」
大詠師、その言葉を聞いたアニスは一瞬だけ間を空ける、だが一瞬空いた後のアニスは背中のトクナガを巨大化させようと地に置こうとした。その瞬間だった。フリングスが巨大化する前の隙をつき、間合いを詰めてトクナガの胴体を横なぎに切り払う。
真っ二つにされたトクナガをアニスが理解できないと止まっていると、即座にフリングスに腕を捕まれ地に押し倒された。
「・・・これで決定的だな」
あっという間の出来事にピオニーは冷酷さを感じさせる冷たい瞳でアニスを見下ろす。
「セシル少将、わかっているだろうが一応読み上げてくれ」
「はい・・・『アニス・タトリン、この者は大詠師モースのスパイとの情報を大詠師本人から聞き出した。動機は預言をよしとしない導師の監視の為との事。そしてモースが言うにはアニス・タトリンがもたらした情報を元にタルタロスヘ導師奪還の指示を六神将に出したとの事。これらを踏まえ近く和平を結ぶ内に大詠師モースをマルクトに処断の為に送るが、先に預言の狗の狗になってタルタロスの位置を知らせたアニス・タトリンの身柄を渡すものなり』・・・という物です」
読み上げ終わったセシル少将からの事実発表により、アニスは目を泳がせなんとか言い訳を探そうとしている。するとピオニーは玉座から立ち上がりアニスの近くまで近寄ると、体を屈めてアニスに視線を合わせる。
「・・・という訳だ。言い訳は無駄だぞ。お前は何も言っていないのに勝手に逃げ出そうとした。つまりその時点でお前は認めてしまったんだよ、スパイだって事をな」
「・・・私は殺してない。確かに情報をモースに渡したけど、私は殺してない!私は悪くない!」
またもや往生際が悪く、自分は何も悪くないと言い出す。だがそうでる事も折り込み済みなピオニーはアニスに厳しく視線を向け、飾らない言葉で話し出した。
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