兄と姉への想いと興味のない信仰

・・・ヴァンは自分のやろうとしていることに関して、止まるつもりはないし後悔もしていない。しかし妹二人にろくに構わなかったことがこのような結果になったことに関しては、後悔の念が強くなっていった。レオナの冷静さに優秀さが余計に際立つ為にだ。

自分が中途半端な関わりを持ったからティアはあぁなったのか、自分と関わりが少なかったレオナがあぁなったことを考えれば自分は何もしなかった方が良かったのか、それともいっそ自分がちゃんと向き合っていけばティアはあぁはならなかったのでは・・・妹二人の違いがヴァンの中でグルグルと考えが回り、兄としての責務を果たしていないと言われているような気持ちにさせられていた。









・・・そういったようにヴァンが妹二人に関してを悩み続ける中、バチカルの客室に場面は移る。



「・・・フン。カンタビレの所の兵士であることに加え、あの女の双子の妹と聞いたが・・・存外どころか、断然姉よりマシだったな・・・あれなら妹と姉を取り替えてもらいたかったくらいだ・・・」
客室の中で不機嫌そうにしながらも、とある姉妹についての評価を口にするモース。その姉妹とは誰なのかと言えば、グランツ姉妹の事である。



・・・事はつい先程の事である。謁見の間にて気分が悪いことが起きたとさっさと退出したモースは、少しした後に姉の方であるティアを自身の元に呼び出した。用件はファブレの屋敷に譜歌を使って襲撃して入り込み、ヴァンを襲った件だ。

この事についてをモースは聞いたのだが、動機についてを聞いても個人的な事だから言えないに屋敷に謝りに行ったからそれで終わり・・・と言った答えを平然と返してきたことに、内心では怒りを必死で耐えていた。自分がいかにインゴベルトを始めとしたキムラスカの上層部に散々抗議やら何やらを受けてきたかを考えてないこともそうだが、ティア当人が謝ったから済んだことだと平然と言ってきたことにだ。

ただそれを表に出すことはなく、モースは少し話をした後にティアを部屋から下がらせた・・・もうどうせ死ぬのが確定している人物な上、自分の怒りを口にしてもそんなつもりはなかったと言うばかりか、下手をすればこんなことの為にモース様に抗議するのは不当だなどと言いに行って事態をより酷くしかねないと感じた為に。

そんなティアに対する色々な考えは一先ず置いておき、次にモースはレオナを呼び出した。理由としてはカンタビレの配下の兵ということは気に入らないが、それでもルークの護衛をした方がいいと判断して行動してここまで来たことに関して一応は話をせねばならないと呼び出したのだ。

それで呼ばれて来たレオナであったが、会話を重ねるごとに明らかに姉とは違うその姿を見て印象を次第に変えていった。それも姉とは比べるまでもなく高くなるほどにだ。

最初こそは姉以上の無愛想な女にしか思えなかったが、姉と違い余計な行動はしないばかりか無駄口を叩く事なく淡々と会話をしていくその姿は姉と先に話していたこともあり、これが兵士として本来あるべき姿なのだとモースは思った。カンタビレ配下の兵であるということを考慮してもだ。









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