兄と姉への想いと興味のない信仰
(・・・兄として正直、複雑だ・・・二人の妹の対称的な在り方を否定するつもりはないが、レオナとの事を思い出すとティアに対して取っていた行動が正しかったのか間違っていたのか・・・それが分からなくなる・・・)
・・・バチカルの牢の中。備え付けられた粗末なベッドに腰掛けながら、ヴァンは目を閉じ真剣に考え込んでいた。自分の妹二人についての複雑な想いを。
・・・ヴァンがこうして考え込むそもそものきっかけは、ティアによりルークがマルクトまで飛ばされて探しに行った時にレオナもいることを確認したからだ。
最初、ヴァンは何故レオナまでもがいるのかと柄にもなく表情に驚きを出してしまった。ただそれで理由を聞いた時には納得した上で表向きは他の者達への配慮を見せるために離れなければならなかった為、レオナ個人とじっくり話をすることなく距離を置いた。
ただそこから少しして共に船に乗る機会があったため、ヴァンはルークと目的を持って話をする前にレオナに話をしたいと切り出しルークの元から連れ出した。ティア以上に会っていなかった期間の長い妹とのプライベートな時間を取りたいと。
「・・・どうしたのかしら、兄さん。姉さんと話をしなくていいの?」
「いや、こうして偶然とはいえ顔を合わせるのも何年ぶりになると思うとレオナと話をしておきたいと思ってな。それにバチカルにまで着けばレオナは再びカンタビレの軍に戻るのだろう?」
「えぇ、その予定。こうして姉さん達に付いていく形を取ったのはあくまでルーク様にもしもがないようにとの上司達の判断だったけれど、バチカルに着くのならそれ以上行動を共にする理由はないもの」
「そうか・・・」
・・・それで船の甲板部分にて、周りに人がいないのを確認してから話題を振るヴァンにレオナは淡々と返していきその様子に納得する。
「・・・話はそれで終わり?」
「いや、まだ聞きたいことがある・・・レオナは私の言い分とティアの言い分、どちらが正しいと思う?」
「それは、兄さんの事を敵視している姉さんの事について聞いているの?」
「あぁ」
「・・・どうしてそんなことを聞くの?」
「いや、これまでの道中でティアとレオナの間にトラブルがあったと聞いたのだが私が一因だと思ったと同時に聞いてみたかったのだ。レオナの立場からして、どのように思っているのかと」
そんな会話に終わりかと首を傾げるレオナに対し、ヴァンは質問を向ける。レオナから見て自分とティアのどっちが正しいと思うのかと。
「・・・別にどちらも正しいとは思っていないわ」
「む?・・・どうしてそう思うのだ?」
だが返ってきた答えはどちらでもないと言い切る物で、ヴァンは不思議そうに理由を問う。
「まず姉さんに関して言うなら、手段から間違っているという他にないもの。先のカイツールの国境での態度から見て、あの話し合いで手を引いたくらいなら最初から兄さんに襲い掛かるのではなく多少手順を踏んででも兄さんに会えるようにした方が断然良かったわ」
「・・・手厳しい事を言うな」
「事実よ。それに姉さんがそうしていたならファブレの屋敷も平穏なままでルーク様が疑似超振動によりマルクトまで飛ばされることもなく、私も今頃は師団長の元にいる頃だったもの。少なくともあの話で気持ちが揺らいで矛を納めるくらいなら、最初からやらない方が良かった事でしかないわ」
「・・・本当に手厳しいな・・・」
ただ淡々としながらもティアの行動に対する批難を述べていくレオナに、ヴァンは苦々しげな顔をしながらも擁護の言葉を吐けなかった。レオナ達の立場から言わせればティアの行動に巻き込まれた上、その結果も巻き込まれた割に何一つ報われるような結果ではないことだと分かる為に。
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・・・バチカルの牢の中。備え付けられた粗末なベッドに腰掛けながら、ヴァンは目を閉じ真剣に考え込んでいた。自分の妹二人についての複雑な想いを。
・・・ヴァンがこうして考え込むそもそものきっかけは、ティアによりルークがマルクトまで飛ばされて探しに行った時にレオナもいることを確認したからだ。
最初、ヴァンは何故レオナまでもがいるのかと柄にもなく表情に驚きを出してしまった。ただそれで理由を聞いた時には納得した上で表向きは他の者達への配慮を見せるために離れなければならなかった為、レオナ個人とじっくり話をすることなく距離を置いた。
ただそこから少しして共に船に乗る機会があったため、ヴァンはルークと目的を持って話をする前にレオナに話をしたいと切り出しルークの元から連れ出した。ティア以上に会っていなかった期間の長い妹とのプライベートな時間を取りたいと。
「・・・どうしたのかしら、兄さん。姉さんと話をしなくていいの?」
「いや、こうして偶然とはいえ顔を合わせるのも何年ぶりになると思うとレオナと話をしておきたいと思ってな。それにバチカルにまで着けばレオナは再びカンタビレの軍に戻るのだろう?」
「えぇ、その予定。こうして姉さん達に付いていく形を取ったのはあくまでルーク様にもしもがないようにとの上司達の判断だったけれど、バチカルに着くのならそれ以上行動を共にする理由はないもの」
「そうか・・・」
・・・それで船の甲板部分にて、周りに人がいないのを確認してから話題を振るヴァンにレオナは淡々と返していきその様子に納得する。
「・・・話はそれで終わり?」
「いや、まだ聞きたいことがある・・・レオナは私の言い分とティアの言い分、どちらが正しいと思う?」
「それは、兄さんの事を敵視している姉さんの事について聞いているの?」
「あぁ」
「・・・どうしてそんなことを聞くの?」
「いや、これまでの道中でティアとレオナの間にトラブルがあったと聞いたのだが私が一因だと思ったと同時に聞いてみたかったのだ。レオナの立場からして、どのように思っているのかと」
そんな会話に終わりかと首を傾げるレオナに対し、ヴァンは質問を向ける。レオナから見て自分とティアのどっちが正しいと思うのかと。
「・・・別にどちらも正しいとは思っていないわ」
「む?・・・どうしてそう思うのだ?」
だが返ってきた答えはどちらでもないと言い切る物で、ヴァンは不思議そうに理由を問う。
「まず姉さんに関して言うなら、手段から間違っているという他にないもの。先のカイツールの国境での態度から見て、あの話し合いで手を引いたくらいなら最初から兄さんに襲い掛かるのではなく多少手順を踏んででも兄さんに会えるようにした方が断然良かったわ」
「・・・手厳しい事を言うな」
「事実よ。それに姉さんがそうしていたならファブレの屋敷も平穏なままでルーク様が疑似超振動によりマルクトまで飛ばされることもなく、私も今頃は師団長の元にいる頃だったもの。少なくともあの話で気持ちが揺らいで矛を納めるくらいなら、最初からやらない方が良かった事でしかないわ」
「・・・本当に手厳しいな・・・」
ただ淡々としながらもティアの行動に対する批難を述べていくレオナに、ヴァンは苦々しげな顔をしながらも擁護の言葉を吐けなかった。レオナ達の立場から言わせればティアの行動に巻き込まれた上、その結果も巻き込まれた割に何一つ報われるような結果ではないことだと分かる為に。
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