復讐を果たした先の末路

・・・そして翌日、牢の中にいたガイの元に人が訪れる。



「・・・ガイ・・・」
「き・・・君達は・・・ファブレの屋敷のメイドの子達・・・どうして・・・」
「・・・私が呼ばせていただきましたわ。この子達は当時たまたま休みだった子達で、ファブレを離れていて難を逃れた子達・・・マルクトの方々にこの子達とガイを会わせていただけないかと願いましたら、許可が出たので連れて参りました」
「っ・・・!」
ガイが格子越しに見たその姿はファブレ内で見たことのあるメイドの女性三人とナタリアで、ナタリアからの説明にたまらず顔をひきつらせる。公爵とその一族を殺せればそれでいいと思っていたからそんな事情で難を逃れた者がいたとは考えていなかったが、そんな被害者三人から向けられている目が・・・憎悪に染まっているのを見た為に。
「・・・貴方の事情については聞いたわ、ガイ・・・貴方の立場からしたら、確かにファブレの事は憎くて仕方の無かったことかもしれない・・・けれど、そう聞いたとしても私達が貴方に抱くのは貴方に対しての憎しみよ・・・!」
「なっ・・・!?」
そしてその憎悪をこらえきれないとハッキリ口にする代表のメイドの女性にガイは絶句する。そこまで言われるのかと。
「貴方が公爵様を恨むのは貴方の勝手よ!でもそれを行動に移して公爵様達を殺したばかりか、屋敷の皆まで殺した!ガルディオスが滅んだ時に関係してなかった人なんかいっぱいいたのに、貴方はそんなことも関係無く・・・!」
「そ、それ・・・は・・・」
そして叫び声で告げられる女性の悲痛な声に、ガイは言い訳の言葉が出ずに視線を反らす。
「何よ!?復讐を果たして嬉しいんでしょ!?だったら言えばいいじゃない!皆死んで当然だった!何だったら今目の前にいる私達だってファブレの関係者だから殺したくてたまらないって!」
「そんな、そんな・・・こと・・・」
「じゃあだったらなんで皆を殺したのよ!・・・返してよ!あの人を返してよぉぉぉっ!」
「ちょっと!落ち着いて!」
「えっ・・・あの、人・・・?」
だが逃げることを許さないと尚も怒りをぶつけていく女性だが涙を流しながら格子を握り体を揺らし出したことに、二人の内に一人が体を押さえて止めに入りガイはどういうことかと分からず不安げに眉を寄せる。
「・・・あの子は白光騎士団の中の一人と付き合っていたのよ。それも年内には結婚もすることを視野に入れてた形でね」
「っ!!」
だが残りの一人からその真相を聞かされ、ガイは驚きとともに顔色を青くした。まさかそんなことになっていたとは思っていなかったとばかりに。
「・・・私達メイドは出会いの場が限られてる。目ぼしい異性は貴族の方々を除けば近いところにいるのは兵士の人達・・・この子もそういった中で兵士の中の一人と付き合っていたの。流石に屋敷の中で付き合っている姿を見せたら職務怠慢になるから屋敷ではそんなことはしなかったけど、私達は屋敷を出ていた時のこの子とあの人の事については聞いてた・・・それなのに、貴方は二人の事を引き裂くような事をした!ファブレが憎いからってついでに滅ぼす形で、この子の想い人まで殺して・・・!」
「っ・・・!」
その姿にどういった出会いだったのかを説明する女性だったが、やはりというかこちらも次第に憎しみを抑えきれずに射殺すような目を向けガイを萎縮させる。









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