復讐を果たした先の末路

・・・それでマルクト兵士がバチカルの街中と城内を固めて安全を確保した後、政宗は周りを兵に固められたガイを伴いジェイドと小十郎達が待つ謁見の間に向かう。



「・・・待たせたな、お前ら」
「いえ、ちょうどよかった所です。この通り拘束は済んだ上で大人しくしていただいた所です」
・・・謁見の間に入り、声をかける政宗に小十郎が答えつつ玉座の前に背後をマルクト兵士に見張られる形で膝だちで並ぶインゴベルト達に視線を向ける。そこには特にナタリアが極めて不本意であると敵意を浮かべる貴族に将官達の顔があった。
「・・・さて、そちらからすれば今は不本意な事態だってのは見て分かる。だがそれを踏まえた上で言わせてもらうなら、こっちもこんな戦争をするなんざ不本意だった」
「何をのうのうと!!伯父様達をガルディオスに殺させておきながら!!」
「・・・その前提がそもそも間違ってるから不本意だと言ってんだ。こっちは」
政宗はまずはこの状況は自分達にとっても不本意な物と言うが、ナタリアが声を荒げて嘘だというよう叫んできた為少し苛立ったように呟く。
「・・・その証拠を示すためにも出来ればファブレ関係者の生き残りがいたらこいつを見せたいんだがな・・・」
「っ!?ガ、ガイ!?貴方、生きていましたの!?」
「っ!!」
それでも政宗は仕方無いと怒って返さずガイに視線を向けるのだが、そこでナタリアが驚愕に声を上げたことにたまらずガイは身をすくませた。
「ナタリア・・・そこにいる男を知っているのか・・・?」
「知っているも何も、彼はファブレの使用人だった人ですわ!・・・ただ屋敷が燃えたことから彼もまたファブレと共に亡くなったと思っていたのですが・・・」
「共に亡くなってなかったどころか、そいつがファブレを滅ぼした犯人・・・ガイラルディア=ガラン=ガルディオスだ」
「「「「っ!?」」」」
インゴベルトはその反応に誰かと問いナタリアが信じられないといったように漏らす中、あっさりと政宗が口にした事実にガイもろともキムラスカの人間は驚愕に目を見開いた。ここでガルディオスの事が明らかになると思っていなかったと。
「王女殿下がこいつの事についてご存じなら話が早い・・・元々こいつはガルディオスの敵を取るためにファブレに侵入していたが、それはあくまで個人的な物でこいつはマルクトの為にだとかこんな風に戦争になるまでに発展するだとか一切考えていなかったらしい」
「っ!う、嘘ですわ!ガイがガルディオスの生き残りだなんて!」
「だったらこの宝刀ガルディオスを見てみろ・・・この剣はこいつの話によればファブレの玄関先にホドでの戦利品として飾ってあったらしいが、それが本当ならこれに見覚えくらいはあるだろう」
「そ、それは・・・確かに宝刀ガルディオスですわ・・・ファブレに行った時にはいつも見ていましたから、間違いありませんわ・・・」
政宗はそのままガイについてを話すがガルディオスと言うことを信じたくないといったように返すナタリアに宝刀ガルディオスを取り出すと、信じざるを得ないといったように漏らす。宝刀ガルディオスは偽物ではないと。
「この剣はガルディオスの物だから復讐を果たした時、ファブレから取り戻して逃げてきたと言っていた・・・この事から少なくともこいつがファブレを滅ぼした事もそうだが、バチカルから逃げ出したことも分かるはずだ。ただ犠牲にならなかっただけなら別に逃げる必要もなかった筈なのに、何故そこまでして逃げ出したのかを考えれば・・・少なくとも良からぬ考えで逃げたということくらいは分かるはずだ」
「っ!・・・じゃ、じゃあ・・・まさか本当にガイがガルディオスの生き残りで、ファブレを滅ぼしたと・・・!?」
「っ・・・!」
それで改めてそこからガイがガルディオスでなくとも犯人であるだろう事を強調するよう話をする政宗に、ナタリアも信じたくないというような様子になりながらも視線を向けるとガイはたまらず視線を背けた。否定を返したいが返せないと、そう自白するかのように。









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