復讐を果たした先の末路

・・・ガイは絶望したような様子を浮かべたが、そもそもこの問題に関してはガイが思うよりも様々な問題があった。

元々ガイをキムラスカとの戦争の為に祭り上げようとしていた一派であるが、それでもマルクトの皇帝であるピオニーの意志を無理矢理ねじ曲げてまで強行する程大胆でいて強引にはならない。

そして更に言うなら担ぎ上げるべき存在であるガイが自分達に同調してくれるかもそうだが、何より言うことを聞いてくれるか引っ張ってくれるかのどちらかの資質があることが好ましい。言うことを聞くならまだ自分達で支えるなり操るなり動かしようもあるし、引っ張ってくれるならキムラスカとの戦争の旗頭として十分な人材と見られることになる。

だが端から見ているだけでもピオニーが厳粛でいてガイに対して明らかに心証が良くないといった様子で強く当たっていることと、その上でガイがあくまでファブレに復讐さえすればそれでよかったといった態度なばかりか、マルクトが戦争を仕掛けられることなど微塵も考えていなかったといった様子でいて、尚且つ戦争に乗り気でなさそうな様子と来ている。

・・・ここまで来てしまえば、最早貴族に兵士達もガイを担ぎ上げようなどという気には到底なれなくなっていた。ピオニーは明らかにガイの事を快く思っていない上、戦争に出てもらおうにしてもガイを上の立場に立たせるにはあまりにも覚悟が出来なさすぎとしか言いようがない。そんな人物を旗頭に据えたとして、勝てるなどと普通の感覚を持つ者なら考えないのは明白だ。

そんな結末などキムラスカを打倒したいと考えている者達にとって望むことではないが、ならどうするかとなれば・・・ピオニーが望んでいると言うことを察したのもあるが、ガイを見捨てるという結果である。下手に懐に入れても最早何の得にもならないと、そうガイが判断される形で。



「さて、決まりだな・・・さっきも言ったがお前の首をキムラスカに送り届けて戦争が回避出来るならそうするところだが、そう出来んというならお前には別に役目を負わせることにする。ただし先に言っておくが・・・お前をガルディオスに復帰させるような事はしない。それは肝に命じておけ」
「そんなっ!?それは勘弁してください、お願いします!」
「駄目だ・・・これ以上はもういい。牢へと連れていけ」
「陛下!!陛下ぁぁぁっ!!」
ピオニーはそれでもう話すことはなくなったと兵士に牢に連れていくように言い、必死の懇願の声を上げるガイに表情を揺らすことなくただペールと共に移動させられるその姿を見詰めていた。









・・・それでガイ達がいなくなった後で兵士に貴族達を退出させたピオニーは政宗と一緒に自分の私室に向かった。



「・・・流石にあんたも腹に据えかねたみてぇだな、ピオニー。あんだけの様子であんだけ言うあんたの姿は初めて見たぜ」
「それは否定はしないが・・・お前はまだ気持ちが収まりきれてないだろう。直に色々と言えた俺と違ってな」
「・・・そうじゃねぇ、とは言えねぇな確かに」
それで二人の場になったことで口調を崩して話し掛ける政宗にピオニーは返答を返すのだが、その中身に苛立ちと苦さを滲ませた表情を見せる。ガイに対しての偽らざる気持ちを現すように。









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