「おそらくお前達がケセドニアに行った時にはファブレを滅ぼした事くらいは伝わってはいただろう・・・だがこのグランコクマには宣戦布告を告げる手紙が送られてきた。それもマルクトを滅ぼすまで容赦はせんといった過激な中身のだ」
「なっ・・・！？」
「・・・まさか今の話で相当な抗議文が送られてきた、とくらいにしか思っていなかったのかお前？」
「そ、それは・・・その・・・その通りです・・・」
「・・・はぁ・・・」
ピオニーはそこから宣戦布告がされたと言うのだが、そこまでの可能性を全く考えていなかったとばかりのガイの返答に深くタメ息を吐き、周りの面々も頭を抱えたそうにしている。
「・・・お前の為にも説明してやるが、その手紙はファブレが滅びてそれからほぼ考えの為の時間など取ったとは思えないような早さで送られてきた。ケセドニアでキムラスカがピリピリしていたのはお前の事を見つけようとしていたのもあるだろうが、戦争が始まることを知らされていたからだろう。そうなった理由は・・・紛れもなくお前だ」
「ど、どうして・・・」
「自分はただガルディオスとして敵討ちをしただけだ、そんな大事になるのはおかしい、むしろ敵討ちをするのが誰も当然だと思うだろう・・・大方そういったことを考えているんだろう。だがマルクトは数十年前からキムラスカとの因縁は続いているし、ホド以降でも各地で戦争とは言わないにしても大小問わず争ってきた間柄だ。そんな中でファブレが滅ぼされたばかりかそれがガルディオスの仕業だと言うなら、当然マルクトがそれを指示したかもしくは関与したと言われるのは明白だ」
「そんな・・・ペールの手こそ借りはしましたが、俺は自分の意思で復讐を・・・」
「ならケセドニアの領事館に駆け込んだのは何だ？お前は自分がガルディオスであり復讐を果たしたからマルクトに戻り、以前のような爵位を持って貴族として復帰したいと考えたのだろう？」
「そ、それはそうですが・・・」
「ならそれで自分がファブレを滅ぼしたガルディオスであり、キムラスカはそれを当然と思いただ受け止める物だと思っていたと言うのか？・・・考えなしの思い上がりに勘違いもはなはだしい！」
「っ！？」
ピオニーはそれでも話を止めるわけにはいかないとガイに話を聞いていくのだが、出てくるのは全てそんなつもりはなかったといったような言葉ばかり・・・その姿にピオニーは怒声で一喝し、ガイの身を一気にすくませた。
「お前の境遇は確かに人から見れば同情されても当然といった見方もされるだろう・・・だがそれは何をやってもいいなどという免罪符ではないし、ましてや思考を放棄していいと言う物などではない！少しでも考えなかったのか！ファブレを滅ぼしたならマルクトにもその追及が及ぶかもしれないと！」
「っ・・・！」
滅多にないピオニーのピリピリとした怒声にガイは身を萎縮させ、何も返せずにいる。そんなつもりじゃなかった、そういったように思っているからこそまともな言葉など出てくるはずもない様子で。
「・・・まさかここまで考えが無かったとはな・・・だがもう遅い。決戦の火蓋は切られていてもうパダン平原ではキムラスカ側がいつ突撃しようかとてぐすね引いて待機していると連絡が来ていることから、もう今頃は開戦していてもおかしくはない。それにヴァン率いる神託の盾も海の藻屑にしたからな・・・こちらとしてももう引き下がりようもない」
「っ！？ま、待ってください！・・・ヴァンを海の藻屑にしたって、一体どういうことなんですか・・・！？」
そして多少気を落ち着かせた様子で話を進めるピオニーだが、そこで出てきた話の中身に唖然としながらガイは確認を取ってくる。話の中身が正しければヴァンが死んだということになるために。









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