姉妹の差と向けられる評価
「でもよ、いいのか?今更だけど姉上って立場のティアに反目するような事をしてよ」
「姉さんだからと遠慮するつもりはないわ。むしろこういう時に身内だからこそいい意味でも悪い意味でも特別扱いのような事をする方がよくないと私は思うもの。特に今の姉さんだからこそね」
「・・・気持ちはわからねぇでもねぇけど、それだと俺を特別扱いっつーかこんな風に側にいて守るのもあんまり良くねぇんじゃねーのか?」
「貴方は本来特別扱いされて然るべき立場の人間であることに加えて、姉さんに例え事故の形とは言え国を出てしまうような事態になった・・・本来なら姉さんがその身を盾と剣と化してルークを守らなければならない立場なのを、私が代わりに行っているだけだから」
「・・・ホント、姉妹なのに似てねぇよなお前ら・・・でもあんまり無理すんなよ。俺を守ってくれるって気持ちは嬉しいけど、それでお前が怪我したり無茶したりなんて姿は見たくねぇからな・・・」
「っ・・・えぇ、気をつけるわ・・・」
ルークはそんな姉と対峙する事へのレオナへの気遣いを口にするが全く動揺のない返しが戻ってきた為、せめて無理はしないように気恥ずかしげに告げると今まで反応が薄かった筈のレオナが若干揺れた。それも恥ずかしそうに。
・・・ティアよりレオナを信頼するとそう決めたルークは、話し合いが終わった後に自分への口調をせめて旅の間くらいは崩すようにとレオナに頼んだ。ここで頼んだと言うのは命令をしても兵士としてにティアの身内としての立場から、頑なに固辞されるだろうと感じてのことである。
そしてそんな頼みをレオナは断ろうとはしたがルークが折れず、やむ無く口調を崩すことにしたのだ。キムラスカ関係者の目があるならすぐに口調を戻し、バチカルに戻るまでという条件付きでだ。
・・・ただ普段のレオナであれば、いくら条件付きとは言え身分の差が明らかな相手でルーク自身から言い出した事とは言えそんな要求に首を縦に振るようなことはなかっただろう。そんなレオナが渋ったという経緯こそあれどもそうしたのは、レオナ本人はまだ自覚が薄いが・・・年頃の近い男性でいて軍人として扱わず、ただの一人の人間の女性としてルークが見て接していることに端を発している。
ルークは上下関係という物に関してあまり頓着しておらず、人目がないなら相手に態度を崩させ自分も気楽に過ごしたいと思うタイプである。勿論ある程度そうしてくれる相手にそうしてもらった方がいい相手を選びはするが、そういった性分な為に意外と思われることも多いがルークは相手を事をよく見るのだ。
そんなルークの不器用ながらも確かな気遣いが伺える言動に、次第にレオナは軍人としてではなく一個人として少しずつ牽かれていっているのだが・・・それはルークも同様なのである。
レオナに自覚はあまりないが、ティアも含めグランツ姉妹は単純な見た目において十分に美人と言っていい部類に入る。その上で鉄面皮と思っていたがそうではないことに気付き、気持ちとしてもティアより好ましいと思った上で接していて頼りにしていて近くで行動している・・・年頃の男が意識しない方が無理があるシチュエーションであり、ルークには婚約者はいるがその相手に対して異性を見るような魅力を感じるような事も無かった為、レオナがそういったことに関して初めて魅力を感じた相手と言えた。故に戸惑いを覚えつつも、その戸惑いを隠そうとルークも頑張っているのである。
・・・本来では有り得ないグランツ兄妹の二人目の妹の存在・・・その存在が物語を変えていき、姉の命運をも大きく変えていく・・・英雄と見られるはずだった道が、大きく逸れていく形で・・・
END
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「姉さんだからと遠慮するつもりはないわ。むしろこういう時に身内だからこそいい意味でも悪い意味でも特別扱いのような事をする方がよくないと私は思うもの。特に今の姉さんだからこそね」
「・・・気持ちはわからねぇでもねぇけど、それだと俺を特別扱いっつーかこんな風に側にいて守るのもあんまり良くねぇんじゃねーのか?」
「貴方は本来特別扱いされて然るべき立場の人間であることに加えて、姉さんに例え事故の形とは言え国を出てしまうような事態になった・・・本来なら姉さんがその身を盾と剣と化してルークを守らなければならない立場なのを、私が代わりに行っているだけだから」
「・・・ホント、姉妹なのに似てねぇよなお前ら・・・でもあんまり無理すんなよ。俺を守ってくれるって気持ちは嬉しいけど、それでお前が怪我したり無茶したりなんて姿は見たくねぇからな・・・」
「っ・・・えぇ、気をつけるわ・・・」
ルークはそんな姉と対峙する事へのレオナへの気遣いを口にするが全く動揺のない返しが戻ってきた為、せめて無理はしないように気恥ずかしげに告げると今まで反応が薄かった筈のレオナが若干揺れた。それも恥ずかしそうに。
・・・ティアよりレオナを信頼するとそう決めたルークは、話し合いが終わった後に自分への口調をせめて旅の間くらいは崩すようにとレオナに頼んだ。ここで頼んだと言うのは命令をしても兵士としてにティアの身内としての立場から、頑なに固辞されるだろうと感じてのことである。
そしてそんな頼みをレオナは断ろうとはしたがルークが折れず、やむ無く口調を崩すことにしたのだ。キムラスカ関係者の目があるならすぐに口調を戻し、バチカルに戻るまでという条件付きでだ。
・・・ただ普段のレオナであれば、いくら条件付きとは言え身分の差が明らかな相手でルーク自身から言い出した事とは言えそんな要求に首を縦に振るようなことはなかっただろう。そんなレオナが渋ったという経緯こそあれどもそうしたのは、レオナ本人はまだ自覚が薄いが・・・年頃の近い男性でいて軍人として扱わず、ただの一人の人間の女性としてルークが見て接していることに端を発している。
ルークは上下関係という物に関してあまり頓着しておらず、人目がないなら相手に態度を崩させ自分も気楽に過ごしたいと思うタイプである。勿論ある程度そうしてくれる相手にそうしてもらった方がいい相手を選びはするが、そういった性分な為に意外と思われることも多いがルークは相手を事をよく見るのだ。
そんなルークの不器用ながらも確かな気遣いが伺える言動に、次第にレオナは軍人としてではなく一個人として少しずつ牽かれていっているのだが・・・それはルークも同様なのである。
レオナに自覚はあまりないが、ティアも含めグランツ姉妹は単純な見た目において十分に美人と言っていい部類に入る。その上で鉄面皮と思っていたがそうではないことに気付き、気持ちとしてもティアより好ましいと思った上で接していて頼りにしていて近くで行動している・・・年頃の男が意識しない方が無理があるシチュエーションであり、ルークには婚約者はいるがその相手に対して異性を見るような魅力を感じるような事も無かった為、レオナがそういったことに関して初めて魅力を感じた相手と言えた。故に戸惑いを覚えつつも、その戸惑いを隠そうとルークも頑張っているのである。
・・・本来では有り得ないグランツ兄妹の二人目の妹の存在・・・その存在が物語を変えていき、姉の命運をも大きく変えていく・・・英雄と見られるはずだった道が、大きく逸れていく形で・・・
END
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