姉妹の差と向けられる評価
・・・数日前、リグレットがマルクト軍の乗るタルタロスを襲い、導師イオンの奪還を行っている最中の事だった。
事はうまく進んでイオンを捕らえて本当の目的も達成出来たのはいいが、その後にリグレットはルーク達の襲撃を受けてイオンを手放さなければならない上にしばらく追撃も何も出来ない状態になってしまった。この事自体はリグレットは自身の油断もあったことを悔やんではいるが、命あっての物種だと割り切ってもいる。
だがその襲撃の際のグランツ姉妹の行動・・・簡単に言うならばティアが自身を見た際に攻撃の手を止めて戸惑い、レオナがその真逆に自身の首元に手刀を添えていつでも首をかき切れるように油断も情を抱いた様子もなく動くという対照的な行動がリグレットの中に非常に印象に残っていた。
「・・・レオナは仕方無いにしても、ティアについては少しは情報が入ってきていたから多少は成長しているかと思っていた・・・だがあの様子を見る限り、身体に見合った程度の成長しかしていないように見えなかった・・・レオナが兵士として完璧に振る舞っていたのも相まって、あれは酷いとしか言えなかった・・・あれではいくらティアより多分に兵士としての素養があったとは言え、私が会った頃のレオナにすら劣るぞ・・・」
そしてそう思った時の事と昔の事を思い出し、より一層リグレットは苦い想いを浮かべる。
まがりなりにも自分が兵士としての基本を教えたこと、それなりに自分としてはティアの事を気に入っていたこと、個人差こそあっても人は成長する物・・・様々に理由こそあるが、リグレットはティアなら兵士としてうまくやれるだろうという気持ちを抱いていた。
だが自身を見て酷く狼狽してティア自身もそうだが、共に行動していたルーク達にも多大な危険をもたらしたことに関しては、敵という立場にありながら叱責の言葉をぶちまけたい気分にリグレットは陥っていた。レオナが自身を牽制していたことにガイがその場に現れて動いたからこそどうにかあちらは状況を切り抜けたが、二人の存在が無ければ折角成功していた奇襲を自らの手で台無しにした上に、また牢屋の中に放り込まれるという全く逆の状況にティア達は陥っていただろう。
・・・一応はリグレットも人間であるからこそ、自身に対しての想いから敵対したくないだとか逆らいたくないと言った気持ちを抱いて戸惑ったということに関しては多少なりにもティアに感じるところはあった。だがそのティアと同じ血を引いている上に一応はその妹の立場にいるレオナが全く気持ちを揺るがせることなく、兵士として冷静に情を浮かべることなく行動していたその姿に情けなくも感じたのだ。例え経験の差に素養の違いはあっても、何故ティアとレオナの違いはここまで現れたのかと。
・・・リグレットからすればレオナはあくまで昔に一度会ったきりで、ヴァンとティアの妹という存在でしかない。だがそんなレオナの兵士としての姿が、ティアに対してもっと教えることが出来たのでないかと思わせる物となってしまった。自身の教えが甘かったのではないかと思うような形で・・・
「・・・しっかし本当に似てない姉妹だよな、お前ら・・・そこに師匠も加わって三人兄妹って話だけど、それでも似てるって感じがしねぇし・・・」
「よく言われるわ。でも私は私だし、姉さんは姉さんで兄さんは兄さん・・・それだけのことだから、似てるかどうかなんて気にしてないもの」
「まぁ人から言われてどうにかなるもんじゃねーか。似てるかどうかなんてな」
・・・そしてまた場は変わるというか戻り、遠巻きにジェイド達とティアが距離を取っているルークとレオナはリラックスした様子で歩きながら話をしていた。
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事はうまく進んでイオンを捕らえて本当の目的も達成出来たのはいいが、その後にリグレットはルーク達の襲撃を受けてイオンを手放さなければならない上にしばらく追撃も何も出来ない状態になってしまった。この事自体はリグレットは自身の油断もあったことを悔やんではいるが、命あっての物種だと割り切ってもいる。
だがその襲撃の際のグランツ姉妹の行動・・・簡単に言うならばティアが自身を見た際に攻撃の手を止めて戸惑い、レオナがその真逆に自身の首元に手刀を添えていつでも首をかき切れるように油断も情を抱いた様子もなく動くという対照的な行動がリグレットの中に非常に印象に残っていた。
「・・・レオナは仕方無いにしても、ティアについては少しは情報が入ってきていたから多少は成長しているかと思っていた・・・だがあの様子を見る限り、身体に見合った程度の成長しかしていないように見えなかった・・・レオナが兵士として完璧に振る舞っていたのも相まって、あれは酷いとしか言えなかった・・・あれではいくらティアより多分に兵士としての素養があったとは言え、私が会った頃のレオナにすら劣るぞ・・・」
そしてそう思った時の事と昔の事を思い出し、より一層リグレットは苦い想いを浮かべる。
まがりなりにも自分が兵士としての基本を教えたこと、それなりに自分としてはティアの事を気に入っていたこと、個人差こそあっても人は成長する物・・・様々に理由こそあるが、リグレットはティアなら兵士としてうまくやれるだろうという気持ちを抱いていた。
だが自身を見て酷く狼狽してティア自身もそうだが、共に行動していたルーク達にも多大な危険をもたらしたことに関しては、敵という立場にありながら叱責の言葉をぶちまけたい気分にリグレットは陥っていた。レオナが自身を牽制していたことにガイがその場に現れて動いたからこそどうにかあちらは状況を切り抜けたが、二人の存在が無ければ折角成功していた奇襲を自らの手で台無しにした上に、また牢屋の中に放り込まれるという全く逆の状況にティア達は陥っていただろう。
・・・一応はリグレットも人間であるからこそ、自身に対しての想いから敵対したくないだとか逆らいたくないと言った気持ちを抱いて戸惑ったということに関しては多少なりにもティアに感じるところはあった。だがそのティアと同じ血を引いている上に一応はその妹の立場にいるレオナが全く気持ちを揺るがせることなく、兵士として冷静に情を浮かべることなく行動していたその姿に情けなくも感じたのだ。例え経験の差に素養の違いはあっても、何故ティアとレオナの違いはここまで現れたのかと。
・・・リグレットからすればレオナはあくまで昔に一度会ったきりで、ヴァンとティアの妹という存在でしかない。だがそんなレオナの兵士としての姿が、ティアに対してもっと教えることが出来たのでないかと思わせる物となってしまった。自身の教えが甘かったのではないかと思うような形で・・・
「・・・しっかし本当に似てない姉妹だよな、お前ら・・・そこに師匠も加わって三人兄妹って話だけど、それでも似てるって感じがしねぇし・・・」
「よく言われるわ。でも私は私だし、姉さんは姉さんで兄さんは兄さん・・・それだけのことだから、似てるかどうかなんて気にしてないもの」
「まぁ人から言われてどうにかなるもんじゃねーか。似てるかどうかなんてな」
・・・そしてまた場は変わるというか戻り、遠巻きにジェイド達とティアが距離を取っているルークとレオナはリラックスした様子で歩きながら話をしていた。
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