共通点は少なく違いは多い

「否定や擁護の言葉がないということはお前も少なからずそう感じたのだろう・・・まぁお前がティアの事をどのように思っているのかは私には関係無いが、その姿に加えてどうせ僻地に左遷同様に飛ばされるのは確定している身だったからな。だから私はモースの傘下にねじこんでやったんだ。そんな奴を預かったとてレオナと違って私と衝突するのは目に見えていて、本人が望んでいるのだから相互の利益に問題はないだろうと判断してな」
「待て・・・お前はレオナの事を買っているのか?そのような言い方をするということは・・・」
「あぁ。まぁレオナがいなければ多少思うところがティアに対して出来ていたかもしれんが、レオナの軍人としての姿は一種の理想像に近い。姉と比べるまでもなくな。その姿と比べれば否応なしに評価も高いというものになる」
「っ・・・お前がそれほどまでに言うのか・・・」
そんな反応をさせておきながら自分のペースで話を進めていくカンタビレだが、途中でレオナの事を聞いて相当な高評価であったことにリグレットは二つの意味で驚く・・・カンタビレの性格として他者を誉めるなど滅多にないこともそうだが、レオナの姉であり少なからず好感を持っている自分の教え子のティアがすさまじく低いという事実を前に。
「・・・何を持ってお前がティアの事もそうだがレオナの事を知りたいと思って私の元に来たのかは知らんが・・・ヴァンの差し金ではないだろう。あいつだったらお前という代理を立てて何かしらをさせるでもないだろうし、そもそも結構な時間を過ごした妹二人の事をわざわざ知りたいなどと言い出すようなこともないだろうからな」
「・・・確かにその通りで、私があくまで個人的に二人について聞きたいからここに来ただけだ。どうにも二人の違いがたまたま会った時に目につき、閣下から話を聞いた上でお前がダアトから長期間離れると聞いたから何となくな・・・」
「そうか・・・ならば言っておくが、レオナの事についてを心配することはない。むしろ心配すべきはティアの方だ」
「・・・ティアの方?」
「今さっき言ったばかりだが、ティアが何らかの考えを持って動いているのは容易に察せたがそれが失敗に繋がる可能性が高いだろうということも私は察した・・・無論絶対にティアが何かをしでかすと決まった訳ではないが、あの様子では何らかの行動を起こすのは間違いない。そしてそれを止められるのが誰なのかと言えば、おそらくお前達だろう。大方モース辺りに何か言われるかして、尻拭いなりなんなりをすることになる可能性は高いだろうからな」
「っ・・・!」
そんなリグレットに更にレオナの事よりティアの事を気に留めるようにと前置きをしてもしもの可能性についてをカンタビレが口にすると、否定の言葉が返せずに息を詰まらせるしかなかった・・・リグレットとしても少なからずティアがそういったことをする理由に心当たりがあることもだが、自分達がその行動と結果に対してどうするべきか・・・否応なく考えざるを得ない状態になってしまったが為に・・・









・・・それで言葉を失ったリグレットはカンタビレに黙って突っ立ってるだけなら邪魔だから帰れと言われ、反論出来るような状態でもなかったために黙って部屋を立ち去っていった。









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