共通点は少なく違いは多い

「・・・とにかく、そう言うことからティアとレオナの二人は趣味嗜好が違う姉妹になっていったのだ。ティアは私の影響を受けた物が多く、レオナはその反対と言ったようにな・・・そして趣味嗜好とは違う面での違いが何かと言えば、二年前に神託の盾に自ら入ると行動に起こした事だ」
「・・・閣下に何も言わずに神託の盾に入ったのですか?」
「あぁ、そうだ。ティアと違って一般に神託の盾に入る手順を踏んでな」
ヴァンはそこからまた別の違いについて神託の盾にレオナが入った時の事についてを口にする・・・現在段階をすっ飛ばして神託の盾としてヴァンの側近になりたいと実力も何もかもを無視したティアと違い、一人の人間として段階をちゃんと踏んで入ったレオナの事についてを。
「その事を知った私は一応自分の事もそうだが、レオナの後々の立場の事を考えて密かにレオナを呼んで何故そうしたのかと聞くとこう答えたのだ。『いずれ神託の盾に入るなら早い内に入って実力を身に付けた方がいい。それにこういう言い方は姉さんにとって気持ちよくないだろうけれど、姉さんみたいにいずれ入るのは確定しているのだからと安穏としていたらもし何かがあった時に生き残れない』・・・とな」
「それは・・・」
「・・・お前も少しの時間でもレオナと接したから分かるだろうが、あの娘はティアと違って現実的に物を見ている。その上でティアは私の側近として私を補佐することが役割だと考えているようだが、レオナは私にこだわらずに自らの道を自らで決めて動いている。預言などに頼ることなくな」
「・・・そこもまた、正反対と言った所ですか」
ヴァンはそこで当人に話を聞いたことを明かした上で話をするが、預言の事を口にした時に両者が共に何とも言い難い空気を伴わせる。二人にとってよくも悪くも大きく関わる要素な為に。
「・・・そんなレオナだが、あの娘の性格を考えればモースのように預言保守派の多いところにはあまり行かせたくはなかった。その為、私は自分の権限を持ってカンタビレの元に配置させるようにと動いたのだ」
「カンタビレ・・・閣下はあまりカンタビレに良く思われていなかったはずですが・・・」
「それでも彼女であればレオナを他の者に任せるよりはいいと判断したが為だ。とは言え本人に直接なり間接なりにでも伝わるような事があれば拒否を示される可能性があったから、慎重に私が動いたんだ」
「そうだったのですか・・・ですがレオナの話によればカンタビレの軍はいつ帰るかも分からない遠征に向かうとの事ですが・・・」
「それか・・・確かモースからの命令で近い内に相当な僻地に向かわされると聞いたが、そこにレオナも向かうのか・・・」
そこで話題を変えるようにカンタビレの軍に入るようにしたとヴァンは話すが、リグレットから遠征についてを聞き苦い顔をする。愛してやまないもう一人の妹と長時間会えないだけならまだしも、下手をすれば今生の別れになりかねない可能性があると考え。
「・・・どうしますか?カンタビレからレオナを引き抜きますか?」
「・・・いや、それは止めておく。話を聞く限りではレオナはカンタビレの軍に馴染んでいるようだし、却ってこちらに呼び戻すよりは安全だ。それに機が来ればこちらから呼び掛ければカンタビレ共々こちらになびいてくれることも有り得るから、今はそうはしないでおく」
「分かりました。ではまた次の機会ということで」
リグレットはそんなヴァンにレオナを手段を問わずに引き戻すかと問うが、幾分か冷静さを取り戻した上での考えの声に了承を返す。レオナについて必要以上の介入はしないと。









.
4/9ページ
スキ