(似ていない姉妹だな・・・姿形はまだ成長すれば美人になるだろうとは共に予想出来るくらいの器量はあるが、それ以外が相当に違う・・・)
・・・食卓を囲む三人の女性の中、他の二人より年が離れていて関係性も薄いリグレットは目の前で並んで食事を取る姉妹の姿に似ていないと評する。



・・・事の発端は姉であるティアとようやく教官と生徒という関係になり、何度目かの訓練になるかという時の終わりの事だった。

関係が前より良くなったこともあるが、リグレットがティアの元にわざわざ手間に時間をかけて来ている以上、食事に休息の時間を設けねばリグレットは空腹に疲労を抱えたまま帰ることになる・・・その為、ティアへの訓練の際には家に泊まり食事を取ることになっていたのだがこの日に限っては違った。

二人が訓練を終え、部屋に戻った時に居間にいたのが飲み物を口にしているレオナの姿だった。２年前に神託の盾に入ると言い、既にティアより先に家を出ていたティアの妹の。

そこから再会の挨拶もそこそこに何故家に帰ってきたのかを問うティアに、休暇を与えられた上で実家に行くようにと現在所属する場の最高指揮官であるカンタビレから言われたからとレオナは返した。もう少ししたならいつダアトに帰れることになるかわからない遠征に行く一員に入るということから、ローテーションで兵隊が休んでいるからその番が来たのだとも。

そう聞いて納得したティアから不審者ではないこともあるし、食事の時間だから一緒に食事を取ろうということになったので今こうしてリグレットは二人の姉妹と共に食事をしているのであるが・・・



(ティアはよく私に話し掛けてくるが、レオナは階級差を気にしてかあまり話し掛けてはこない・・・ティアは前衛向きではないが、レオナの立ち居振舞いはパッと見ただけではあるが前衛の人間の動きをしている・・・そして何より違うのがティアは大人になろうとしている子どもが背伸びして無理矢理冷静でいようとしているような印象になるが、レオナはごく自然にそう言った立ち居振舞いになっている・・・経験の違いもあるのだろうが、これは当人達の素質の違いが大きいのか・・・？)
リグレットはしみじみ二人の違いについてを考える。ここまで姉妹は美人という以外に真逆な物なのかと。



・・・まず食事の準備に関してから、二人の違いをリグレットは見た。

ティアは料理を作れることは作れるが兄であるヴァンに教えられた料理であったり簡単なものは作れるが、基本的に味付けも兄寄りの濃い物でそこまでレパートリーもなく料理慣れはしていない。対してレオナはレパートリーも多く、味付けはあっさり目の物であり料理慣れしている。現に食卓に並んでいる料理の大半はレオナが作った物であり、ティアの作った物と比べるとどうしてもレオナの物が味はいいと軍配が上がる。

まぁこのくらいなら個人の趣味嗜好の範囲内とリグレットも思っただろうが、姉妹の会話に行動の仕方があまりにも違うことが印象深かった為によりそう思ったのだ。

食事の用意から今こうして食事をするまでに感じた立ち居振舞いの違いは、姉妹と言う血の繋がりのある存在にしてはあまりにもリグレットが想像するような物からはかけ離れていた。もう少し姉妹なら似るものではと。

しかしどうしても淡々と行動を進める冷静沈着なレオナと、少女としての活発さが残るティアの二人の在り方はやはり姉妹としては何か違うのではと感じていた。



(かといって本人達に無遠慮に聞くのは私も流石に躊躇う・・・ここは戻ったら閣下に世間話がてらにでも聞いてみるか・・・)
ただそれを今会ったばかりの関係性もよく出来ていないレオナに聞くほどリグレットも厚かましくはないし、ティアに聞こうにも所属が違うとはいえ上官という自分の立場に、今さっき会ったばかりの関係性でしかないレオナからすればあまり姉がペラペラ自分の事を話すのは心地よくないだろう・・・そのように思い、リグレットは帰ってから兄であるヴァンに聞こうと内心で決める。










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