悪意なき善意に一層の差を思い知らされる
・・・それから数十分後、アッシュは一人で宿を出た。
「・・・ナタリアはどうしたのですか?」
「・・・泣き疲れて眠ってしまったから、部屋のベッドで眠っている。今日は寝かせてやってくれ」
「えぇ、構いませんが・・・本当によろしいのですか?我々に付いてきていただくとはお聞きしましたが」
「・・・今更ナタリアの事は放ってはおけん。その為ならそこの屑との旅も我慢してやる」
「・・・どうやら本当に決意に固いようですね」
宿から出た所で待っていた一行の中から早速とジェイドが値踏みするような目と質問を向けるが、揺るぐことなくルークとのことも我慢と返すアッシュに周りの面々もミレーユを除いて差はあれども意外そうな表情を浮かべる。
「・・・アッシュ、ナタリアは大丈夫だった?」
「・・・ナタリアが泣くことも予想して話をさせたのか?」
「えぇ・・・貴方には先に言っておいた方が良かったと今になって思ったわ・・・」
「いや・・・却って決心が着いた・・・俺が早くナタリアの側にいてやれば、ナタリアを泣かせずに済んでいたと思うとな・・・」
次にミレーユがアッシュに対して申し訳なさそうにするのだが、自分も悪いのだとばかりに表情を歪めるその様子にまた周りは驚きを浮かべる。
「・・・ごめんなさい、アッシュ。今だけでなくこれからもあの娘には支えが必要なの。それも精神的にだけじゃなくて、立場的にも。でもそれを出来るのは私やルークではなく、貴方だけ・・・だから・・・」
「分かっている・・・これはミレーユだけの責任ではなく、俺の責任でもある・・・だからナタリアの支えには俺がなる。心配するな」
「ありがとう、アッシュ・・・」
それで本当に申し訳無いと謝るように漏らすミレーユにアッシュも自分にも責任があるからと返してきた為、真剣に頭を下げる。
「ねぇ、大佐・・・一件落着みたいな空気になってるけれど、ナタリアにとってはこれから辛いばっかりの時間が来るんじゃないの?」
「十中八九そうなるでしょう。ですがアッシュがここで離れる方がより厄介になりかねませんから、私は何も言いませんし貴女も何も言いませんよね?アニス」
「それは言いませんよ~。多分ここでアッシュが離れたら離れたでナタリアがまた凹むだけだろうし、面倒になるのは目に見えてますからね~。それにこれはナタリア自身が乗り越えるべき問題でもあると思いますし」
「そうですね。今までの旅で分かりましたが、ナタリアはミレーユに苦手意識もそうですが劣等感も抱えています。本人は自覚をしている様子はありませんが、だからこそ自覚をすることを第一から始めとして改善していくしかありませんが・・・聞いた限りの様子ではそうなるとはとても思えませんがね」
「ですよね~」
・・・そんな光景にそっと場を離れたジェイドとアニスの二人は周りに聞こえない程度に会話をし、そっと笑いあう。どう今までの様子から考えてもミレーユの影を振り払ってナタリアが動けるようになる姿が想像できない、といった様子で。
・・・その後、アッシュはルーク達一行から離れることなく動くこととなったがナタリアは決して心から明るい笑みを浮かべることはなかった。その原因については皆分かってはいたが、誰もがそこに突っ込む事はなかった。そこを突けばたちまちダムが決壊するようにナタリアの心がまた壊れてしまう・・・そうなると誰もが感じて遠慮をしてしまったが為に。
END
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「・・・ナタリアはどうしたのですか?」
「・・・泣き疲れて眠ってしまったから、部屋のベッドで眠っている。今日は寝かせてやってくれ」
「えぇ、構いませんが・・・本当によろしいのですか?我々に付いてきていただくとはお聞きしましたが」
「・・・今更ナタリアの事は放ってはおけん。その為ならそこの屑との旅も我慢してやる」
「・・・どうやら本当に決意に固いようですね」
宿から出た所で待っていた一行の中から早速とジェイドが値踏みするような目と質問を向けるが、揺るぐことなくルークとのことも我慢と返すアッシュに周りの面々もミレーユを除いて差はあれども意外そうな表情を浮かべる。
「・・・アッシュ、ナタリアは大丈夫だった?」
「・・・ナタリアが泣くことも予想して話をさせたのか?」
「えぇ・・・貴方には先に言っておいた方が良かったと今になって思ったわ・・・」
「いや・・・却って決心が着いた・・・俺が早くナタリアの側にいてやれば、ナタリアを泣かせずに済んでいたと思うとな・・・」
次にミレーユがアッシュに対して申し訳なさそうにするのだが、自分も悪いのだとばかりに表情を歪めるその様子にまた周りは驚きを浮かべる。
「・・・ごめんなさい、アッシュ。今だけでなくこれからもあの娘には支えが必要なの。それも精神的にだけじゃなくて、立場的にも。でもそれを出来るのは私やルークではなく、貴方だけ・・・だから・・・」
「分かっている・・・これはミレーユだけの責任ではなく、俺の責任でもある・・・だからナタリアの支えには俺がなる。心配するな」
「ありがとう、アッシュ・・・」
それで本当に申し訳無いと謝るように漏らすミレーユにアッシュも自分にも責任があるからと返してきた為、真剣に頭を下げる。
「ねぇ、大佐・・・一件落着みたいな空気になってるけれど、ナタリアにとってはこれから辛いばっかりの時間が来るんじゃないの?」
「十中八九そうなるでしょう。ですがアッシュがここで離れる方がより厄介になりかねませんから、私は何も言いませんし貴女も何も言いませんよね?アニス」
「それは言いませんよ~。多分ここでアッシュが離れたら離れたでナタリアがまた凹むだけだろうし、面倒になるのは目に見えてますからね~。それにこれはナタリア自身が乗り越えるべき問題でもあると思いますし」
「そうですね。今までの旅で分かりましたが、ナタリアはミレーユに苦手意識もそうですが劣等感も抱えています。本人は自覚をしている様子はありませんが、だからこそ自覚をすることを第一から始めとして改善していくしかありませんが・・・聞いた限りの様子ではそうなるとはとても思えませんがね」
「ですよね~」
・・・そんな光景にそっと場を離れたジェイドとアニスの二人は周りに聞こえない程度に会話をし、そっと笑いあう。どう今までの様子から考えてもミレーユの影を振り払ってナタリアが動けるようになる姿が想像できない、といった様子で。
・・・その後、アッシュはルーク達一行から離れることなく動くこととなったがナタリアは決して心から明るい笑みを浮かべることはなかった。その原因については皆分かってはいたが、誰もがそこに突っ込む事はなかった。そこを突けばたちまちダムが決壊するようにナタリアの心がまた壊れてしまう・・・そうなると誰もが感じて遠慮をしてしまったが為に。
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