「と言っても乗り越えてもらうのはアッシュだけの話じゃなくて、どちらかと言うと・・・ナタリアに乗り越えてもらうための話をして、アッシュに乗り越えてもらったの」
「ナタリアに乗り越えてもらうために、アッシュに乗り越えてもらう？・・・どういうこと？」
ただミレーユがそこでナタリアとアッシュの両者の事と言ったことに、ティアが理解が出来ないと一層に眉を寄せる。
「・・・ナタリアの状態については表向き元気にしていると言ったように取り繕おうとしているけれど、それが完全には出来ずにいる・・・と言ったように、バチカルからここまで来るまでに思わなかった？」
「あ～・・・それは確かに見えてたかも・・・」
「・・・つーかむしろあんだけ言われたのに、あれから普通になれる方がおかしいよな・・・つーか、何となくミレーユ姉の言いたいことは分かったかも・・・」
「何？なんなんだ、ルークそれは一体？」
ミレーユがあえて明言を避けて意味深にナタリアの状態を問うと、アニスの声に複雑そうに理解が出来たと続けるルークにガイは答えが何なのかと聞いてくる。
「・・・まぁなんつーか、ナタリアにとって今一番欲しいものが何なのかって考えた結果なんだけどよ・・・今のナタリアが欲しいものって安心なんじゃねぇかって思ったんだよ」
「安心？」
「つっても身の安心とかそんな話じゃなくて、その・・・俺じゃなくて、本当の『ルーク』でいて約束を覚えてるアッシュと一緒にいれるって安心だと思うんだよ・・・あんな風に叔父上達に言われちまったんだから、せめて誰か・・・それこそ約束を覚えてる本当の『ルーク』くらいには味方であってほしいって思ってるんじゃないかってな」
「っ・・・！」
ルークは自分の中で精一杯に自分の状況なども含めてナタリアがどういった状態なのかについてを話をしていき、ガイはその考えについて聞いた所で言葉を失う・・・ルークの考えもそうだが、そこまでナタリアが追い込まれていたのではということに。
「・・・ミレーユ姉の考えが全部わかるなんて言うつもりはないけど、それでも今のところナタリアにとって欲しいのはミレーユ姉の励ましよりもアッシュがナタリアにとって揺るぎない味方であること・・・そこに尽きると思うんだよ。キムラスカからあんな風に言われて俺達共々逃げ出さなきゃいけなかったことを考えると、俺達もそうだけどアッシュが味方でいてくれるって状況が一番精神的に楽になれるだろうってな」
「っ、つまりその為にミレーユはアッシュの説得をしたのか・・・？」
「えぇ、ここに来るまでの間にナタリアの言われたことに精神状態を考えてね」
「でもよく説得出来たね～。今までアッシュって言いたいことを言ってすぐに離れるってイメージがあったから、そんなことなんて出来ないって思ってたんだけど・・・」
ルークがいかにナタリアの状態を話から考えたのかと続けガイが確認を取るとミレーユは肯定を返すが、アニスがアッシュの説得がよく出来たと感心するような声を上げたことにミレーユは表情を複雑そうに歪める。
「・・・説得自体はそう、難しい事ではなかったわ・・・私はアッシュとは前に交流があった分、彼の考えに性格がそんなに大幅に変わってなかったしナタリアに対しての想いも十分に残っていたのは貴方達も見てきたから分かると思う・・・けれど・・・」
「けれど・・・？」
「今のナタリアを取り巻く状況・・・これを話すことは私にとってもだけれど、アッシュにとっても聞いて辛いことになったの・・・」
そんなミレーユは前置きをした上で自分とアッシュにとって辛いことだったと話す。その中身がアッシュの説得に必要だったとしても。









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