漂流魔王、異物として深淵世界を変える 後編

「そういうこった・・・んじゃそろそろ行くぞ。流石にもういい加減行かなきゃ色々遅れちまう」
「そうですね・・・では行きましょう」
それで信長が改めて出立するよう口にしたことに逸る気持ちを抑えてガイは頷き、二人はユリアシティを後にしていく・・・


















・・・それでユリアシティを出てキムラスカにマルクト軍と合流した二人はダアトまで行き、意気消沈したイオンと話をつけてモース達の断罪を行う場を設けることになった。

そしてその場で信長はジェイドにガイ達と共にダアトと言うか預言保守派がやってきたこと及び、キムラスカにマルクトが秘密裏に詠まれた預言に対して行ってきたことについてを明かしていった。その中身にダアトの人間達は信じられないと言った反応を見せていたが、ガルディオスの事もあって次第に全部が全部嘘ではないと言うことだけは理解すると言った空気になっていった。

ただ信長からしてみればそんなダアトの人間の反応など本題ではなく、キムラスカとマルクトを嵌めようとしたモースを始めとした預言保守派にユリアシティの住民達を処刑し戦争を終わらせるという旨を告げると、モース達は醜くがなりたてだした・・・ある者は自分は助かりたい、ある者は預言にそんなこと詠まれていない、ある者は自分は無関係だ、ある者は信長達をどうにかしろ・・・そういったようにだ。

そんなモース達の反応に次第にダアトの者達は困惑といった様子を浮かべた者もいたが、どちらかと言えば失望といった様子の者が多かった。やはり教団の上層部に加えて、今まで預言を忠実に裏で守ってきた存在達の醜態は衝撃だったのだろう。

それでその空気の中、信長は指示を下した。全員の首をはねるよう、ダアトの人間達に見せつける形で・・・そして兵達は一斉にモース達の首をはねた。情けなど一切見せることなく。

その光景にダアトの者達は顔を青くしたり背けたり、酷い者になれば吐いたり絶叫する者もいた・・・だが信長はそんなことなど気にすることもなく話を進め、ダアトのこれからについての対応を口にしていった。簡潔にまとめるならダアトはキムラスカの傘下に入り、ダアトの人間はしばらくの間パダミヤ大陸から入出国は出来ない、そして預言はもう詠まないようにしろ・・・と言った中身だ。

この宣告にダアトの人間はざわつきであったり、不満そうな表情を浮かべていた。特に預言を詠むなと言われた時に。だが戦争に負けたことに加えてモース達を始めとする預言保守派であり武力行使を辞さない過激派が目の前で一掃されてしまったこと・・・更には預言の中身を平和的に利用してこなかった事が人々の心に影を落としたようで、誰も大声で抗議の声を上げるような者はいなかった。

そういった反応を見て信長は話を終わらせるとし、ジェイドにガイ達と共にダアトを後にしていった。



「・・・よう、ご苦労さん」
「・・・本当に、閣下はお返ししていただけるのだろうな?」
「ま、心配すんな。俺らがバチカルに戻るのと入れ替わりに戻す予定だから、もうちょい待て。後、約束通り変な行動すんなよ?お前らにはダアトの改革の為に動いてもらわなきゃならねぇんだからよ」
「・・・敵であった我々にお前達の最大の敵とも言えるダアトの改革をしろ・・・何ともふざけている、普通なら有り得ん事をさせるものだ・・・と言いたいが、今の我々では逆らうことも出来んからな・・・」
「ま、そう言うわけだ。お前らの配下もそうだが、それ以外の神託の盾も今回の戦争で大分数を削られたからな。オマケにお前らのお仲間幹部は半分俺らの元に来ちまって、計画も全部バレちまってる・・・ここは俺らに乗っといた方が命も含めて得だって感じたから、ヴァンも乗ったんだぜ?俺の言葉によ」
「くっ・・・!」
それで港まで来た信長達は待っていたリグレットの応対を受けるが、決して歓迎をするといったムードではない。むしろ敵対しているといった空気を醸し出すリグレットだが、それを物ともしないばかりかニヤニヤ笑い挑発するような信長の返しにリグレットは怒りをグッとこらえる。












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