漂流魔王、異物として深淵世界を変える 後編

「・・・さて、それでは最後にルークよ・・・決意は揺らがぬな?」
「・・・はい・・・今年の始めに明かしていただいた事実・・・それらを聞いた時には信じられないという気持ちは確かにありました。ですが最早否定をするだけでは否定が出来ない事実を前にしては、現実逃避をする事は出来ません・・・かねてより話をされていたよう、ノブナガ殿の元に向かわせていただきます」
「そうか・・・ならこの後はノブナガに付いていくがいい、必要な手続きはこちらで済ませておく」
「はっ」
そして最後とばかりに一気に空気を重くしてルークに確認を向けるインゴベルトに、ルークが苦渋といった雰囲気を滲ませながらも決めたことは変えないと返した為に話をしていたようにすると返す。
(ケケケケ・・・まっこと、順調よ・・・後は時間をかけず畳み掛けるのだ・・・ダアトが再びこのバチカルに戻ってくるような事になる前にな・・・!)
そんな中で信長は悪どい表情を抑えつつ、内心で考える。次の手を打つ段取りについてを・・・


















・・・それから数日後、イオンとモース達は共にバチカルからケセドニアへと船で到着した。

尚その際にはイオンとモースの間でし烈な言葉のやり取りが繰り広げられたが、基本的に受け手側のモースが知らぬ存ぜぬにキムラスカの勘違いと徹底的に容疑の否認だけしかしなかったことから、特に両者の間で事態が発展することはなかった。



「・・・何でしょうか・・・以前に来た時と違って、やたら街が慌ただしいような気がします・・・」
「はい、イオン様・・・何て言うか、雰囲気的に殺伐としているような気がします・・・」
・・・それで船から降りて街を歩きその様子を見たイオンとアニスは、ケセドニアの様子が前と違うと感じてどことなく嫌な予感を感じていた。
「モース・・・本当でしたらバチカルに弁明の手紙を出した後にすぐにバチカルへ向かう船に乗る予定でしたが、アスターの元に向かいませんか?何かこのまま何もせずにここにいるのはあまり良くない気がします・・・」
「・・・そうですな。普通でしたら杞憂と言いたいところですが、この雰囲気はあまり心地よくありません・・・アスターの元で休息がてら、どういうことか聞いてみましょう」
それでモースにケセドニアの代表であるアスターの元に行こうとイオンが不安げに言えば、普段は反対するであろう言葉に頷く。流石にモースもこの空気を大丈夫と言えないと感じた為に。



・・・それでケセドニアの街の中心にあるアスターの屋敷に来たイオン達。
「・・・お待たせしました、導師に大詠師」
「いえ・・・それで早速ですみませんが、一体何がケセドニアで起こっているんですか?ここまで来たのは街の空気が何か不穏に感じたから、貴方なら何か知っていると思ってなのですが・・・」
「・・・その事ですか・・・」
広間で待っていたイオン達の元に来た、どこか表情の固いアスター。ただイオンはそれに気付かず街の空気について質問するが、アスターは更に表情を固くする。
「・・・その事をお話しする前にお聞きしますが、導師達はバチカルより戻られた所で船に乗った以降の事はお聞きしていないのですね?」
「え・・・もしかして、バチカルで何かあったのですか・・・このケセドニアがこのような空気になるほどの何かが・・・?」
それで覚悟を決めたとばかりに問い掛けを向けるアスターに、イオンだけでなくモースも不安に満ちた表情を浮かべる。明らかに何か起きた、それも良くない方向の事が起きたと感じて。



「ではお答えしますが・・・簡単に言えば、キムラスカはダアトに宣戦布告をしました。それも今までにダアトが預言の名の元に起こしてきたことにこれから起こそうとしていることを付随して発表する形でです」



「「「!?」」」
・・・そしてその予感は間違ってないとばかりにアスターが口にした答えに、三人は一斉に驚愕した。預言もそうだが、キムラスカがダアトに宣戦布告したというまさかの事実に。











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