漂流魔王、異物として深淵世界を変える 後編
・・・それから信長はルーク達を引き連れ、バチカルの城へと向かった。先頭でニヤニヤと悪い笑みを浮かべていることなど、後ろのルーク達には気付かせぬままに。
「・・・お待ちしておりました、ノブナガ様。只今大詠師が謁見中です、お通りください」
「おう」
「えっ・・・モ、モースが来ている事もそうですが・・・今他の方が謁見しているというのに、平気で中に入っていいのですか・・・?」
「えぇ、構いません。むしろ大詠師がおられる内にお話をしたいのですよ。導師も含めて全てを」
「全て・・・?」
「では参りましょう」
謁見の間の扉の前に辿り着くなり、入口の兵士は謁見中にも関わらず通るように道を開ける。信長もまた普通に対応した事にイオンがたまらず止めに入るが、全く気にする様子も見せずに話を進め謁見の間へと歩を進める。
「・・・失礼します、インゴベルト陛下」
「おぉノブナガ、戻ったか」
「っ・・・ど、導師・・・お探ししておりましたぞ・・・」
・・・それで謁見の間に入り常日頃のタメ口などどこにいったのかと疑わせる程綺麗な礼と言葉遣いを見せる信長にインゴベルトも普通に対応するが、モースは信長の後ろにいたイオンの姿に慌てて取り繕うように探していたと口にする。
「さて、まずは導師にカーティス大佐。貴殿方がこちらに来られた訳についてお話しください」
「は、はい・・・」
そんなモースに構わず丁寧に先を促す信長だが、どこか不気味さを感じているのかイオンは歯切れの悪い様子で頷く。
・・・それから二人が主導して話は進み、マルクトがイオンの仲介を頼んだ上でキムラスカとの和平を結びたいといった内容の話をインゴベルトにしていった。ただこの話に反対というか、信じられないといったように声を上げたのはモースだ。
「っ・・・!」
しかし他からも反論に合いインゴベルトもその言葉の方に頷いたことに、モースは苛立ちと共に足早に謁見の間を後にしようとする・・・
「おっと、退出するのは少々お待ちを大詠師」
「っ・・・何でしょうか、ノブナガ殿・・・!?」
だがそれを止めたのはニヤリとした笑みを浮かべる信長で、隠せぬ怒りを滲ませながらも用向きについてを問い返す。
「いえ、ここから先の話には貴方も残っていただかねばならぬのです。貴方にも少なからず関係する話ですのでね」
「・・・私にも、関係する話・・・?」
だがその怒りもすぐに戸惑いに変わった・・・今からの和平に関わる話が何故自分に関わる事になるのかと理解出来ずに。
「えぇ、お話と言うのは・・・ティア=グランツという人物が起こした、ファブレ邸襲撃の件ですよ」
「なっ!?そ、それは・・・!」
「どういうことですか、ノブナガ殿・・・何で今の話からティアの事になるんですか・・・!?」
そこで信長が口にしたティアの事にモースだけでなく、イオンもどういうことかと声を大きくする。
「何故今の流れにティア=グランツが関係しているのかと言いますが、率直に申し上げるとダアトを信頼出来ないのですよ。大詠師はさもマルクトが我々キムラスカを騙しにかかっているかのように申し上げていましたが、我々も我々でダアトに対する不信感を抱く形でです」
「な、何故・・・マルクトならともかく、我々ダアトが・・・!」
「ティア=グランツ連行の際に関しての状況はルーク様の手紙によりある程度把握しています。その中でそちらのジェイド=カーティス大佐はルーク様の身の安全の為にティア=グランツを引き剥がしたそうですが、導師はその行動に異を唱えたそうで」
「それは、当然です!ティアは確かに迷惑をそちらにおかけしたかもしれませんが、彼女はその事を謝りましたしルークに害意を持っていないと言いました!そんな彼女を信じないなどおかしいと私はジェイドに言ったんです!」
「・・・では貴方は、本人がそうしないという言葉だけを信用したのですね?ロクに証拠も提示しない、加害者の言葉を簡単に」
「・・・え・・・?」
信長は気にした様子も見せず淡々と話を進めモースが動揺する中でイオンが盛大に声を上げ反論するが、冷淡な笑みを浮かべ証拠について口にされた事にキョトンとした上で不安そうな表情に変わる。
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「・・・お待ちしておりました、ノブナガ様。只今大詠師が謁見中です、お通りください」
「おう」
「えっ・・・モ、モースが来ている事もそうですが・・・今他の方が謁見しているというのに、平気で中に入っていいのですか・・・?」
「えぇ、構いません。むしろ大詠師がおられる内にお話をしたいのですよ。導師も含めて全てを」
「全て・・・?」
「では参りましょう」
謁見の間の扉の前に辿り着くなり、入口の兵士は謁見中にも関わらず通るように道を開ける。信長もまた普通に対応した事にイオンがたまらず止めに入るが、全く気にする様子も見せずに話を進め謁見の間へと歩を進める。
「・・・失礼します、インゴベルト陛下」
「おぉノブナガ、戻ったか」
「っ・・・ど、導師・・・お探ししておりましたぞ・・・」
・・・それで謁見の間に入り常日頃のタメ口などどこにいったのかと疑わせる程綺麗な礼と言葉遣いを見せる信長にインゴベルトも普通に対応するが、モースは信長の後ろにいたイオンの姿に慌てて取り繕うように探していたと口にする。
「さて、まずは導師にカーティス大佐。貴殿方がこちらに来られた訳についてお話しください」
「は、はい・・・」
そんなモースに構わず丁寧に先を促す信長だが、どこか不気味さを感じているのかイオンは歯切れの悪い様子で頷く。
・・・それから二人が主導して話は進み、マルクトがイオンの仲介を頼んだ上でキムラスカとの和平を結びたいといった内容の話をインゴベルトにしていった。ただこの話に反対というか、信じられないといったように声を上げたのはモースだ。
「っ・・・!」
しかし他からも反論に合いインゴベルトもその言葉の方に頷いたことに、モースは苛立ちと共に足早に謁見の間を後にしようとする・・・
「おっと、退出するのは少々お待ちを大詠師」
「っ・・・何でしょうか、ノブナガ殿・・・!?」
だがそれを止めたのはニヤリとした笑みを浮かべる信長で、隠せぬ怒りを滲ませながらも用向きについてを問い返す。
「いえ、ここから先の話には貴方も残っていただかねばならぬのです。貴方にも少なからず関係する話ですのでね」
「・・・私にも、関係する話・・・?」
だがその怒りもすぐに戸惑いに変わった・・・今からの和平に関わる話が何故自分に関わる事になるのかと理解出来ずに。
「えぇ、お話と言うのは・・・ティア=グランツという人物が起こした、ファブレ邸襲撃の件ですよ」
「なっ!?そ、それは・・・!」
「どういうことですか、ノブナガ殿・・・何で今の話からティアの事になるんですか・・・!?」
そこで信長が口にしたティアの事にモースだけでなく、イオンもどういうことかと声を大きくする。
「何故今の流れにティア=グランツが関係しているのかと言いますが、率直に申し上げるとダアトを信頼出来ないのですよ。大詠師はさもマルクトが我々キムラスカを騙しにかかっているかのように申し上げていましたが、我々も我々でダアトに対する不信感を抱く形でです」
「な、何故・・・マルクトならともかく、我々ダアトが・・・!」
「ティア=グランツ連行の際に関しての状況はルーク様の手紙によりある程度把握しています。その中でそちらのジェイド=カーティス大佐はルーク様の身の安全の為にティア=グランツを引き剥がしたそうですが、導師はその行動に異を唱えたそうで」
「それは、当然です!ティアは確かに迷惑をそちらにおかけしたかもしれませんが、彼女はその事を謝りましたしルークに害意を持っていないと言いました!そんな彼女を信じないなどおかしいと私はジェイドに言ったんです!」
「・・・では貴方は、本人がそうしないという言葉だけを信用したのですね?ロクに証拠も提示しない、加害者の言葉を簡単に」
「・・・え・・・?」
信長は気にした様子も見せず淡々と話を進めモースが動揺する中でイオンが盛大に声を上げ反論するが、冷淡な笑みを浮かべ証拠について口にされた事にキョトンとした上で不安そうな表情に変わる。
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