漂流魔王、異物として深淵世界を変える 後編
「今年はあの預言があるから、そう遠くない内にダアトというかモースがこのバチカルに来るのはまず間違いない。その上でガルディオスからアクゼリュスの状況が悪くなって、近い内に和平の使者をこちらに送る手筈になっていると情報を受けた・・・となればその使者が来たなら、モースは確実にお前にすりよってくるだろう。預言を達成する時が来たのだとでも言ってな」
「あぁ、そうなるだろうな。モースなら絶好の機会とわしに裏ですりより、表では預言を知らせてない者達を納得させるための言葉を様々並べ立ててくるだろう」
「まぁモースからすりゃ和平の使者なんてもんがマルクトから送り出されてるなんざ予定が狂うから到着なんかしてほしかねぇだろうが、到着したとしてもきっかけとしちゃ十分過ぎるもんだ・・・マルクトがキムラスカを策に嵌めるためにこっちに来たとでも言えば、預言を知らねぇでマルクトに対して反感感情を持つ貴族を抱き込めると考える・・・ま、どう転ぶにしたってモースの望み通りの展開を作れるな」
「それはわかるが・・・何故ヴァンを探索に出させるなと言うのか、その理由を聞いてないぞ」
「あぁ、そうだったな」
それで預言に詠まれた中身をどのような形ででもモースは遂行しようとしてくるのかと話す信長だが、インゴベルトは肝心のヴァンを捕らえる理由についてを問い返す。
「まぁ理由は単純で、ヴァンを自由にしてモースとの連携を組ませないようにするためだ」
「それだけなのか?」
「確かにそれだけ聞きゃ、大したことねぇように思うだろ?だがこっから先にはまだ続きがあんだよ・・・!」
信長はその理由を単純と言いつつもぎらついた笑みをインゴベルトに対して浮かべる。悪い企みをこれでもかと言わんばかりに浮かばせているといった笑みを・・・
・・・そして数週間程時間が経ち、事は進んでルークが無事であったという情報が来た上でバチカルへと戻ってきた。
「・・・ご無事でよく戻ってこられた、ルーク殿」
「ノブナガ公・・・貴方がわざわざ出迎えてくれるとは・・・」
「こちらとしてはケセドニアにカイツールまで直にお迎えに上がりたかったのですが、そう出来ぬ事情がありました。ですのでせめて港までお迎えに上がりたいと思い、馳せ参じたまでです」
・・・港の船着き場にて、常日頃にない貴族としての姿に言葉遣いでルーク達に対し頭を下げる信長。だがその頭を下げた下にある顔はニヤニヤと悪巧みを考えているとすぐに分かる弛んだ笑みであった。
「・・・さて、他の皆様方がどのような理由でこちらに来られているかもお聞きしています。私が城まで案内致しますので、付いてきてください」
「待ってください・・・あの、ティアの事も聞いているんですよね?ノブナガ殿は・・・だったらこれから来るティアはどうなるんですか?彼女はただ・・・!」
「そちらに関しては今のこの場の私にではなく、謁見の間でお話しください・・・ここで話をしても陛下の意向がない以上、私が何かを決めることは出来ませんので」
「・・・分かりました、後でお話します」
そして頭を上げわざとらしいばかりに笑顔を浮かべる信長に、一行の中からダアトのトップであるイオンがティアという人物に対して切実に訴えるような声を向ける。だがあっさり後で言うよう丁寧にあしらう信長にイオンは頷く以外に出来ず、その姿を一行の中にいたガイとマリィとジェイドはそっと冷ややかな目を浮かべながら見ていた。見た目の年齢にある事情を差し引いても、けして導師として見せてはならない面を見せるイオンの姿を。
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「あぁ、そうなるだろうな。モースなら絶好の機会とわしに裏ですりより、表では預言を知らせてない者達を納得させるための言葉を様々並べ立ててくるだろう」
「まぁモースからすりゃ和平の使者なんてもんがマルクトから送り出されてるなんざ予定が狂うから到着なんかしてほしかねぇだろうが、到着したとしてもきっかけとしちゃ十分過ぎるもんだ・・・マルクトがキムラスカを策に嵌めるためにこっちに来たとでも言えば、預言を知らねぇでマルクトに対して反感感情を持つ貴族を抱き込めると考える・・・ま、どう転ぶにしたってモースの望み通りの展開を作れるな」
「それはわかるが・・・何故ヴァンを探索に出させるなと言うのか、その理由を聞いてないぞ」
「あぁ、そうだったな」
それで預言に詠まれた中身をどのような形ででもモースは遂行しようとしてくるのかと話す信長だが、インゴベルトは肝心のヴァンを捕らえる理由についてを問い返す。
「まぁ理由は単純で、ヴァンを自由にしてモースとの連携を組ませないようにするためだ」
「それだけなのか?」
「確かにそれだけ聞きゃ、大したことねぇように思うだろ?だがこっから先にはまだ続きがあんだよ・・・!」
信長はその理由を単純と言いつつもぎらついた笑みをインゴベルトに対して浮かべる。悪い企みをこれでもかと言わんばかりに浮かばせているといった笑みを・・・
・・・そして数週間程時間が経ち、事は進んでルークが無事であったという情報が来た上でバチカルへと戻ってきた。
「・・・ご無事でよく戻ってこられた、ルーク殿」
「ノブナガ公・・・貴方がわざわざ出迎えてくれるとは・・・」
「こちらとしてはケセドニアにカイツールまで直にお迎えに上がりたかったのですが、そう出来ぬ事情がありました。ですのでせめて港までお迎えに上がりたいと思い、馳せ参じたまでです」
・・・港の船着き場にて、常日頃にない貴族としての姿に言葉遣いでルーク達に対し頭を下げる信長。だがその頭を下げた下にある顔はニヤニヤと悪巧みを考えているとすぐに分かる弛んだ笑みであった。
「・・・さて、他の皆様方がどのような理由でこちらに来られているかもお聞きしています。私が城まで案内致しますので、付いてきてください」
「待ってください・・・あの、ティアの事も聞いているんですよね?ノブナガ殿は・・・だったらこれから来るティアはどうなるんですか?彼女はただ・・・!」
「そちらに関しては今のこの場の私にではなく、謁見の間でお話しください・・・ここで話をしても陛下の意向がない以上、私が何かを決めることは出来ませんので」
「・・・分かりました、後でお話します」
そして頭を上げわざとらしいばかりに笑顔を浮かべる信長に、一行の中からダアトのトップであるイオンがティアという人物に対して切実に訴えるような声を向ける。だがあっさり後で言うよう丁寧にあしらう信長にイオンは頷く以外に出来ず、その姿を一行の中にいたガイとマリィとジェイドはそっと冷ややかな目を浮かべながら見ていた。見た目の年齢にある事情を差し引いても、けして導師として見せてはならない面を見せるイオンの姿を。
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