漂流魔王、異物として深淵世界を変える 前編
「・・・おい、クリムゾン。お前はどう考える?俺の案について」
「・・・私は、お前の考えに乗りたいと思っている。もしガルディオスを助けることを足踏みするような選択をしたとするなら、ナタリア様の事を表沙汰にすることだけではなくルークの事まで流されて進めてしまうのではないか・・・そう思ってしまったんだ」
「っ・・・ルークの事、か・・・そうだな、そなたも十数年もして預言の通りになるとなればルークを預言の犠牲にする事になるのだったな・・・」
そこで話題をクリムゾンへと視線を向けて考えを問う信長に肯定と共に、ルークという名を出した事にインゴベルトもその名に苦い面持ちを浮かべる・・・クリムゾンの子どもであるルークもまた、預言に詠まれた上で死と同義の事が待っていると知らされていたことで。
「と言うより、ダアトはキムラスカの事を全く考えてねぇんだぞそれ?・・・まぁルークが死んだとして考えてもナタリアはいるが、メリルが表舞台に立ったまんま王妃ってんなら、むしろナタリアは出さない方がいい。そこでナタリアの事を明かしたらどういうことだとなる上に、クリムゾンの言うように足踏みするような体勢で事に挑んだって最悪ダアトに何故黙ってたと逆ギレされた上に悪いのは事実を黙っていた俺達だ・・・って悪者扱いされる可能性すらあるからな」
「っ・・・それは、バダック達の事を裏切る事にもなる・・・」
「そうなるが、事実を明かせばバダック達も含めて俺らがまずい状況になる。だからこそナタリアの事は切り出せないままになるが、そうなりゃルークが預言通り死んだ瞬間キムラスカはお家断絶は避けられん事態になるぞ。お前らが悪名覚悟に不貞でもして、誰かを孕ませでもせん限りな」
「「・・・っ!」」
更に信長がダアトが取るだろうキムラスカへの行動から自身らの行動が制限に加え、打開策も限られると挙げた言葉に二人はたまらず息を呑む・・・王族として相応しくあろうとしてきた二人にとって、いかに必要な手段であると分かっても民や貴族を問わず不誠実な見られ方をされることが間違いない解決手段など望んでない為に。
「・・・どうする、インゴベルト?クリムゾンは俺に同意を示した。ルークの事もあるからだろうがだ。後はお前がどう決断するのか、だ」
「・・・分かった。危険性についての不安をまだ心の内から払拭出来た訳ではないが、ここで我らが尻込みすれば以降も何かをするたびに危険性に目が行き、結果として何も起こせずズルズル行くだけという悪循環を引き起こす事も有り得る・・・ならばここは危険性を天秤にかけた上で行動しよう。預言なき世を目指すためにも・・・!」
「・・・よく言った、インゴベルト」
そして改めてどうかと突き付けるよう選択を迫る信長に決心はついたとインゴベルトは同意すると強い決意を込めて答え、満足そう・・・それでいて邪悪とも取れるような笑みを浮かべ、信長はインゴベルトに近付き肩を叩く。
「何、ユージェニーにガルディオス達への接触と交渉は俺に任せろ。こういった時の為に俺がいるから、全部任せてくれりゃいい」
「・・・済まぬな、ノブナガ・・・」
自身に任せろ、そう告げた信長にインゴベルトは肩の荷が降りたようにホッとした様子で声を漏らす。難解な案件を担当してもらっているその事に安堵したように・・・
・・・それから一月もしない内に、キムラスカとマルクトでホドを主戦場とした戦争が開始された。その中でクリムゾン率いるキムラスカ軍がホドの領主であるガルディオスの一族を殺し、そこからホドは消滅の道を辿りガルディオスの痕跡は何も残らない物と一般的に見られることになった・・・
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「・・・私は、お前の考えに乗りたいと思っている。もしガルディオスを助けることを足踏みするような選択をしたとするなら、ナタリア様の事を表沙汰にすることだけではなくルークの事まで流されて進めてしまうのではないか・・・そう思ってしまったんだ」
「っ・・・ルークの事、か・・・そうだな、そなたも十数年もして預言の通りになるとなればルークを預言の犠牲にする事になるのだったな・・・」
そこで話題をクリムゾンへと視線を向けて考えを問う信長に肯定と共に、ルークという名を出した事にインゴベルトもその名に苦い面持ちを浮かべる・・・クリムゾンの子どもであるルークもまた、預言に詠まれた上で死と同義の事が待っていると知らされていたことで。
「と言うより、ダアトはキムラスカの事を全く考えてねぇんだぞそれ?・・・まぁルークが死んだとして考えてもナタリアはいるが、メリルが表舞台に立ったまんま王妃ってんなら、むしろナタリアは出さない方がいい。そこでナタリアの事を明かしたらどういうことだとなる上に、クリムゾンの言うように足踏みするような体勢で事に挑んだって最悪ダアトに何故黙ってたと逆ギレされた上に悪いのは事実を黙っていた俺達だ・・・って悪者扱いされる可能性すらあるからな」
「っ・・・それは、バダック達の事を裏切る事にもなる・・・」
「そうなるが、事実を明かせばバダック達も含めて俺らがまずい状況になる。だからこそナタリアの事は切り出せないままになるが、そうなりゃルークが預言通り死んだ瞬間キムラスカはお家断絶は避けられん事態になるぞ。お前らが悪名覚悟に不貞でもして、誰かを孕ませでもせん限りな」
「「・・・っ!」」
更に信長がダアトが取るだろうキムラスカへの行動から自身らの行動が制限に加え、打開策も限られると挙げた言葉に二人はたまらず息を呑む・・・王族として相応しくあろうとしてきた二人にとって、いかに必要な手段であると分かっても民や貴族を問わず不誠実な見られ方をされることが間違いない解決手段など望んでない為に。
「・・・どうする、インゴベルト?クリムゾンは俺に同意を示した。ルークの事もあるからだろうがだ。後はお前がどう決断するのか、だ」
「・・・分かった。危険性についての不安をまだ心の内から払拭出来た訳ではないが、ここで我らが尻込みすれば以降も何かをするたびに危険性に目が行き、結果として何も起こせずズルズル行くだけという悪循環を引き起こす事も有り得る・・・ならばここは危険性を天秤にかけた上で行動しよう。預言なき世を目指すためにも・・・!」
「・・・よく言った、インゴベルト」
そして改めてどうかと突き付けるよう選択を迫る信長に決心はついたとインゴベルトは同意すると強い決意を込めて答え、満足そう・・・それでいて邪悪とも取れるような笑みを浮かべ、信長はインゴベルトに近付き肩を叩く。
「何、ユージェニーにガルディオス達への接触と交渉は俺に任せろ。こういった時の為に俺がいるから、全部任せてくれりゃいい」
「・・・済まぬな、ノブナガ・・・」
自身に任せろ、そう告げた信長にインゴベルトは肩の荷が降りたようにホッとした様子で声を漏らす。難解な案件を担当してもらっているその事に安堵したように・・・
・・・それから一月もしない内に、キムラスカとマルクトでホドを主戦場とした戦争が開始された。その中でクリムゾン率いるキムラスカ軍がホドの領主であるガルディオスの一族を殺し、そこからホドは消滅の道を辿りガルディオスの痕跡は何も残らない物と一般的に見られることになった・・・
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