漂流魔王、異物として深淵世界を変える 前編
「まぁ何にせよ、後はダアトの奴らがさっさとバチカルから出るのを待ってから内密に動くことだ。どうせ奴らの事だから目的が達成されたとなりゃ、大層な口上を述べてすぐさま撤退するだろうから時間はかからねぇだろうよ」
「・・・奴らにとっては預言通りにナタリアが死に、侍女の子どもと内密に入れ換える事が出来ればキムラスカに用などないということか・・・忌々しいが、お前の言葉通りに今はさっさと奴らがバチカルから出るのを待つしかないか・・・」
その上で後は待てばいいと言う信長にインゴベルトは苛立たしげに同意する。ダアトの人間に対して最早情など持てるはずもないと言った様子で・・・
・・・それから数日どころか一日経った後、ダアトから来た者達はお祝い申し上げますと言った言葉を並べていった後にすぐにバチカルを出ていった。その姿勢は真実を知っている信長達からすれば分かりやすすぎる程に目的を達成したから帰りますと言わんばかりの行動にしか映らなかったが、それはそれで好都合と怒りを覚えるインゴベルトの気持ちをなだめて後の処理を行った。表向きには王妃の体調が優れないことから公務を離れることを宣伝し、その傍らで密かに侍女らしい人物が港に身投げをして行方不明になったという噂を流す形で。
・・・そしてそんな噂に引かれてと言うわけではないが、侍女の夫がバチカルの城へと姿を現した。
「・・・そんな、事が・・・」
「そっちがバチカルに戻ってくるまでに勝手に事を進めたことに関して文句の一つでも言いたい所だろうが、こうでもしなきゃダアトの奴らの目を欺く事が出来なかった・・・それは理解しろ」
「・・・分かっています、妻の言葉からそうしなければ本気で我々からメリルを奪われかねなかった・・・と言うことは。それを感謝こそしても、恨むなどありません・・・」
・・・城の中の一室にて、信長は侍女の夫であるバダックという男と話をしていた。主に子どもの入れ換えについてを。
机を挟んで面と面を向かい合わせて話す二人だが、バダックはその巨体を縮こまらせる形で真剣に頭を下げる。妻と娘を助けてもらった事を本当に感謝していると言った様子で。
「まぁそれならいいが・・・まず先に聞くが、この事実を黙ってくれるか?」
「それは聞かれるまでもありません。今その事実を明かせば妻に娘の身柄はおろか命すら危ぶまれる事態になると知って、どうして事実を明らかにしましょうか・・・!」
「ならいいが・・・この数日でインゴベルト達にも話したことだが、一つお前に頼みたいことがある。まずは、聞くか?」
「頼みたいこと、ですか?妻に娘の命を救っていただいたのです。私に出来る事なら何でもさせていただきますが・・・」
「・・・よし。なら表向きで構わねぇ。だから妻を失って傷心中というように装った上で、各地を回ってきてくれ。各地の情報、特にダアト関連の情報を仕入れてくる形でな」
「・・・それは、私に諜報活動をしてほしいと言うことですか?妻を失ったことで自暴自棄になったといったフリをするような形で・・・」
「まぁそういうこった」
そんな様子に信長は悪い笑顔を浮かべかけながらもバダックに取引を持ちかけ、首を傾げながらも理解を示した様子に更に笑みを深める。悪巧みが成功しだしているといった様子で。
.
「・・・奴らにとっては預言通りにナタリアが死に、侍女の子どもと内密に入れ換える事が出来ればキムラスカに用などないということか・・・忌々しいが、お前の言葉通りに今はさっさと奴らがバチカルから出るのを待つしかないか・・・」
その上で後は待てばいいと言う信長にインゴベルトは苛立たしげに同意する。ダアトの人間に対して最早情など持てるはずもないと言った様子で・・・
・・・それから数日どころか一日経った後、ダアトから来た者達はお祝い申し上げますと言った言葉を並べていった後にすぐにバチカルを出ていった。その姿勢は真実を知っている信長達からすれば分かりやすすぎる程に目的を達成したから帰りますと言わんばかりの行動にしか映らなかったが、それはそれで好都合と怒りを覚えるインゴベルトの気持ちをなだめて後の処理を行った。表向きには王妃の体調が優れないことから公務を離れることを宣伝し、その傍らで密かに侍女らしい人物が港に身投げをして行方不明になったという噂を流す形で。
・・・そしてそんな噂に引かれてと言うわけではないが、侍女の夫がバチカルの城へと姿を現した。
「・・・そんな、事が・・・」
「そっちがバチカルに戻ってくるまでに勝手に事を進めたことに関して文句の一つでも言いたい所だろうが、こうでもしなきゃダアトの奴らの目を欺く事が出来なかった・・・それは理解しろ」
「・・・分かっています、妻の言葉からそうしなければ本気で我々からメリルを奪われかねなかった・・・と言うことは。それを感謝こそしても、恨むなどありません・・・」
・・・城の中の一室にて、信長は侍女の夫であるバダックという男と話をしていた。主に子どもの入れ換えについてを。
机を挟んで面と面を向かい合わせて話す二人だが、バダックはその巨体を縮こまらせる形で真剣に頭を下げる。妻と娘を助けてもらった事を本当に感謝していると言った様子で。
「まぁそれならいいが・・・まず先に聞くが、この事実を黙ってくれるか?」
「それは聞かれるまでもありません。今その事実を明かせば妻に娘の身柄はおろか命すら危ぶまれる事態になると知って、どうして事実を明らかにしましょうか・・・!」
「ならいいが・・・この数日でインゴベルト達にも話したことだが、一つお前に頼みたいことがある。まずは、聞くか?」
「頼みたいこと、ですか?妻に娘の命を救っていただいたのです。私に出来る事なら何でもさせていただきますが・・・」
「・・・よし。なら表向きで構わねぇ。だから妻を失って傷心中というように装った上で、各地を回ってきてくれ。各地の情報、特にダアト関連の情報を仕入れてくる形でな」
「・・・それは、私に諜報活動をしてほしいと言うことですか?妻を失ったことで自暴自棄になったといったフリをするような形で・・・」
「まぁそういうこった」
そんな様子に信長は悪い笑顔を浮かべかけながらもバダックに取引を持ちかけ、首を傾げながらも理解を示した様子に更に笑みを深める。悪巧みが成功しだしているといった様子で。
.