悪魔の手による演劇変更

「・・・これで分かったか?俺がヴァンに対して何故攻撃をしたのかは」
「えぇ、よくわかりました・・・ですがそうだと言うなら貴方はルークに対して、恨みとは言わずとも負の感情は無いのですか?今の考えに至るまでは多少なりとも彼に良からぬ気持ちを抱いていたと言うなら、しこりのような物くらいはあると思いますが・・・」
「・・・全く思わないところがないと言えば嘘にはなるが、負の感情に関しちゃもうそいつには持っちゃいねぇ。むしろ何を思ってるかと言ったら、哀れむ気持ちだ」
「っ・・・哀れ、む・・・?」
アッシュはそれでヴァンに対する考えは話したと言い、ジェイドが続けてルークに対する気持ちを聞くと予想外の答えが返ってきたといったよう当人が戸惑う。いきなり脈絡なく言われた哀れむという言葉に。
「・・・俺はもう『ルーク』には戻らんと言ったし、その名に立場にも未練はない。だがそうなるならそいつに残るのは俺が受けるはずだった『ルーク』という名を持つが故の因果を引き継ぐことになる・・・もし今のままキムラスカに戻ったとしたなら、預言に詠まれたのにその通りに死ななかった存在として見られる形でな」
「!?」
「そしてそこにそいつはレプリカだとナタリアでも誰でもキムラスカ側に明かして事実が知られようモノなら、一層そいつの立場は危うくなる所ではないだろう・・・十中八九ではなく、まず間違いなくキムラスカ側はそいつを始末にかかるだろうな。今まで自分達を騙してきた偽物は始末する、俺がいないのなら預言通りにするためにヴァンの思うようにするのはシャクだが身代わりにする、俺をキムラスカに戻すのに偽物は始末するべき・・・考えられる理由は様々だが、共通して邪魔だという考えを抱かれてな」
「そっ、そんな・・・俺、殺されるのか・・・どうやったって・・・!?」
そこからいかな目でルークが見られ、対処を取られるか・・・アッシュが語るそのあまりな中身にルークは顔色を瞬時に青くさせ、体をガタガタと震えさせる。自身の命の危機を告げられ。
「今の状況ならまず間違いなくな。そして俺は何度も言うがキムラスカに戻る気はない・・・何を言われようとな」
「じゃあお前は俺に死ねっていうのかよ!?お前の身代わりになってお前が生きる代わりに!」
「誰がそんなことを言った?」
「へっ!?・・・い、いやだって・・・お前は帰る気はないんだろ、キムラスカに・・・?」
アッシュは平然と間違いないと言い切りルークは半ば批難混じりに叫ぶが、死ねとは言ってないと返したことに思わずキョトンとして動揺のまま問い返す。死ねと言ってないのかと。
「俺が言ったのはあくまでキムラスカにそのまま戻るならだ。そうしないならそれは関係無い事になる。キムラスカに戻らないならな」
「はっ!?」
「お、お待ちくださいルー・・・アッシュ!まさか貴方・・・自分がキムラスカに戻らないだけでは飽きたらず、ルークまでもキムラスカから引き剥がそうと言うのですか・・・!?」
「フン、俺はあくまで選択肢を提示しているだけだ。そいつが事実を知って尚キムラスカに戻るか、それともそうせずどこか別の場所に行くかをな・・・それともお前は俺やそいつが為す術も無く殺される可能性が高いと知り、敢えてそうしろと言っているのか?ナタリア」
「そ、そんなことは言っていません!それにキムラスカに戻ったなら私が何とか口添えして二人の事を受け入れるようにしていただきますわ!」
「まず間違いなくそんなものが通じる筈がないと分かってない奴の言葉など信じることなど出来ん」
「えっ・・・!?」
そこからキムラスカから離れればいいとあっさり言いきったアッシュに驚くルークを尻目にナタリアが勢いよく悲劇は起こらないし起こさせないといったように言ってくるのだが、信じれる訳がないと言い切られて何故と驚愕に止まる。








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